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#470 こっから始まんだ

漫才のシーンを見て涙が出てくるとはどういうことか。

今、日テレ系の日曜ドラマとして毎週放送されている「だが、情熱はある」という作品を毎週観ている。このドラマは、そのユニット名を冠した番組が放送されたり、全国津々浦々でライブビューイングが行われるような漫才LIVEを開催したりして人気を博した芸人ユニット「たりないふたり」、南海キャンディーズの山里亮太さんとオードリーの若林正恭さんの半生を描いたものである。お二人がどのように芸人を志し、下積み時代に苦しみ、売れてからももがき続け、そして出会いユニットを組んで…と、そんな”ほぼ実話”となっている。

僕は「たりないふたり」のことをよく知っていたわけではなく、知識としてそういうユニットが存在していると知っていた程度である。たりないふたりの漫才も、ラストLIVEのものを一度見たことがある程度。芸人・オードリーが好きだし、南海キャンディーズは不仲時代を経て今の姿がとてもいいなと感じていたので、その両組のこれまでが描かれる本作を楽しみにしていた。

主演はSixTONESの森本慎太郎さん(山里亮太さん役)と、King & Princeの髙橋海人さん(若林正恭さん役)。山崎静代さん役が富田望生さん、春日俊彰さん役が戸塚純貴さんである。様々な部分で再現できるのか?未知数だったが、これがまた驚くほどの再現力である。

特筆すべきは、やはり漫才の再現だろう。当初は、漫才のシーンは役者さんによる再現は難しいとして、後ろ姿を少し映す程度のダイジェストとなる予定だったらしい。しかし、役者さんによる再現があまりにも真に迫っていたため、南海キャンディーズもオードリーもM-1のときの漫才をフルで再現して撮影することになったらしい。凄まじい稽古を積まれたことだろうと思う。なお、その漫才は今もYouTubeで観ることができる。

漫才の再現が難しいとされるのは、その”間”に理由があるとされている。ドラマの中で、山里さんがしずちゃんのボケに対してどの程度の間で突っ込んだらウケが良かったかを細かく記録して分析するところが描かれていたし、先日のオードリーのANNでも、若林さん本人が春日さんのズレたツッコミに対してどのような間でツッコミ返すかがズレ漫才において重要だという話をされていた。セリフや動作を真似しても、同じように面白くはならないのだ。

それが、このドラマでの両組の漫才はどうだろう。もちろん本家には及ばないだろうが、かなり高い精度で間の部分も再現されている。実はTikTokなどのメディアでは、本家とドラマの漫才を比較する映像などがファンによってアップされていたりするのだが、しずちゃん役の富田望生さんに至っては本家のしずちゃんと完全にハモる箇所がいくつかあるほどである。

さてこの漫才、再現度に感動することはもちろんなのだが、両組がここに至るまでを観ているものとしては別の感動も禁じえない。特に僕はオードリーのお二人が好きだし、本家の漫才をテレビで初めて見たあのM-1の日を思い起こしてしまった。

僕がこのストーリーに感動するのは、まさに「Connecting the dots」をまざまざと見せつけられるところにあるのかなとも感じている。なかなかチャンスを掴むことができずに苦しむ若林さんが、また早くに成功してもコンビ内格差に苦しみもがく山里さんが、それでもなんとか必死に積み上げてきたことの一つ一つが繋がる瞬間。そして、そこに手を差し伸べてくれる誰かが必ずいるということ。その先に何があるのかわからない中でももがいていくことで光明を見出すことができる、まだまだ”こっからだ!”と勇気をもらえるドラマだと思う。

あ、ちなみに主題歌であるSixTONESの「こっから」は、本日6月14日発売。こちら、めちゃくちゃカッコいい楽曲なのでぜひ。

1,2,3,4 順番通り
行ってないだけで予定通り
(中略)
こっから始まんだ

ここの歌詞が好き。

日曜ドラマ「だが、情熱はある」は、残すところ2話。日曜22時30分から日テレ系で。TVerでのリアルタイム視聴もできる。

(了)

○この内容をもとにお話したstand.fmの放送は、こちらから聞くことができます


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