安倍総理は、バックチャンネル(北村滋 国家安全保障局長)を使って、習近平氏来日の『国賓』待遇の要件を、中国側にしっかりと伝えている。
北村国家安全保障局長が、異例の厚遇で訪中
2019年12月6日、安倍総理の懐刀(ふところがたな:知謀にたけ、秘密の相談や計画などにあずかる信頼のおける部下)である 北村滋 国家安全保障局長が、訪中。王 岐山 (おうきざん)国家副主席(事実上のNo.2)と、楊 潔篪(ようけっち)外交部長(事実上の外交トップ)と会談している。
北村氏は、外交・安全保障の施策取りまとめのトップとは言うものの あくまでも一官僚である。それが、メンツを重んじる中国のトップクラスの政治家と会談をしたのだから、その会談の中身の重要性と、国際社会で追い詰められる中国の窮状をうかがい知ることが出来る。
王副主席は、会談の冒頭で「習主席も今回の(北村氏の)訪中を大変重視している」と述べたことにもそれが表れている。
王岐山副主席に伝えた内容
この会談の核心部分を、ネットニュース番組「虎ノ門ニュース」の解説者である 青山繁晴 参議院議員が、一瞬考えてから、決意したように解説をしてくれた。(2019年12月9日)
まず、共同通信の記事の関連部分を読み上げる。
『北村局長は、今後の首脳往来に向け「両国間で課題について十分に話をしたい」(と述べました。)』
そして、一瞬考えてから、決意したように解説を続ける。
『これが肝心なところで、えーと、機密にあえて触れながら言うと、これ、北村さんは単に露払いで行ったんじゃなくて、「このままだと、国賓で迎えられなくなってしまいますよ」と、「少なくとも尖閣諸島に、不法に侵入している事実は何とかしないといけないし、香港の市民の権利、それから、ウイグル人、チベット人、モンゴル人の南の方々の権利・人権、そういうことをもっと大事にしてくれないと、国賓として迎えられません」この言葉通りではないと思いますけど、そういう主旨を、中国側にあらかじめ伝えると言って訪中したんです。』
凄いリーク!
自民党内や保守論客からも、国賓待遇への批判が高まっているので、意を決してのリークと考えられる。
*但し、青山氏が代表幹事を務める自民党の有志議員グループ「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」は、習近平国家主席の国賓としての来日に反対する決議文を総理に直接手渡している。
安倍総理は、メディアを通して先に表ざたにすると、メンツをつぶされた中国(習近平氏)が意趣返しで、尖閣に手を出すなどの嫌がらせをされないように、国民や党内からの批判覚悟で、信頼できる北村氏に裏側での交渉を託したのだ。
総理の記者会見
その総理の想いがよく出ていたのが、12月9日の臨時国会終了の記者会見。
ブルームバーグニュースの記者の質問 21分~
日中関係についてお聞きしたいと思います。
中国の習近平国家主席が、来春、国賓として来日すると思います。日本人の拘束問題や尖閣諸島周辺海域での中国公船の行動を受けて、自民党内からも反対する声があります。このような懸念はどのように受け止めますでしょうか。
(前略)『習近平国家主席を国賓としてお迎えることについては、さまざまな声があることは承知しています。』
(中略)
『中国との間には、尖閣諸島周辺海域における領海侵入や、日本人拘束事案等、様々な懸案が存在しています。こうした懸案については、これまでも習主席に直接提示してきています。引き続き、主張すべきはしっかりと主張し、そして、中国の前向きな対応を強く求めていきます。』
安倍総理は、『国賓待遇』をカードに、尖閣の領海侵入の改善や、拘束された邦人の解放などの実利を取ろうとしていることが分かる。
また、国賓となると、陛下に接遇をして頂かなくてはならなくなる。香港やウイグルにおける人権弾圧に対して、国際社会から厳しい目を向けられている中国に、それ相応の環境整備を求めるのは、当然といえば当然のことである。
追記:その後の経緯〔日中首脳会談〕
12月23日の虎ノ門ニュース内でも、青山繁晴氏は、午後に行われる安倍総理と習近平主席との日中首脳会談の中身について言及。
前日(22日)午前の段階で、安倍総理が、尖閣・邦人拘束・人権(香港とウイグルのみで、チベットと南モンゴルについては除外)について伝達することを確認済み。後は、記者会見で明らかにするかどうかは、その時次第だと解説。
外務省の発表は、青山氏の裏取り通りの発表となった。
*見出し写真は外務省。
陰になっているが、安倍総理の向こう側が茂木外務大臣、さらに向こうが北村国家安全保障局長。
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