映像美への追及 / 内製と連携を重視するクリエイター集団「ufotable(ユーフォーテーブル)」とは⑥《デジタル映像部編》

アニメスタジオ・ufotable(ユーフォーテーブル)について解説・考察する記事第6弾。今回は「デジタル映像部」についてです。現在のufotableの根幹といってもいい彼らの技術について紹介します(2024年2月更新)。

前回の記事はこちら↓↓↓


デジタル映像部の成り立ち

当初は『ufotable撮影部』として2003年に設立されました。本格始動したのは2004年放送の『ニニンがシノブ伝』(当初は社名のみクレジットされ各スタッフの名前はクレジットされていなかったそうです)。それより前の『住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダー』ではゴンゾ・ディジメーション(現・GONZO)が撮影を担当していました。2004年以降は元請作品すべてで撮影を担当しています。

CG制作・2Dワークス(劇中に出てくるプリントやポスター、ラベルなどの貼り込み素材)は設立当初からのメンバーであった永田武士氏と鈴木龍氏が担当。
永田氏は2004年まで在籍し、『住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダー』CGディレクター、『ニニンがシノブ伝』撮影監督・CGディレクターのほか、サンライズ制作『ガンダムSEED』の3DCGディレクターも担当。2004年末に退社し、現在は大阪電気通信大学の大学院総合情報学研究科デジタルアート・アニメーション学専攻・准教授として在籍し、数々の作品で賞を受賞しているそうです(学校の図工の教科書にも載っているとか)。
鈴木氏は『住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダー』で永田氏と共同でCGディレクターを担当。2004年以降は設立されたばかりの撮影部にて撮影を担当しつつ、制作進行としても活動を開始。同時に2004年から制作デスクにも就任しました。これは「各職種に制作進行の技能も身につけさせ、様々な業界のノウハウを覚えさせる」という初期のufotableの思想によるものでしたが、鈴木氏は2005年の『フタコイ オルタナティブ』を最後に撮影部を脱退して制作デスクとして制作部のまとめ役となり、現在は制作部のリーダー的存在として活動しています(現在の役職は制作マネージャー)。
2003年から参加していたCGスタッフの笠原健一郎氏も2005年に制作部に移動しており、現在はufotableのWebサーバーやサーバーシステムなど社内全体のシステムを管理・保守するシステムマネージャーを務めています。

ufotableは初期作品でもCGも使用していましたが、その範囲は今ほど多くはなく、スタッフも1~3名と最小限でした。本格的にCGを導入したのは2007年公開の『劇場版 空の境界 第一章』から。以降はufotable作品でもCGを多く導入するようになります。その関係から2010年11月より『撮影部』の名称を『デジタル映像部』に変更しました(なお、2009年までは撮影部で撮影のほかに特殊効果を仕上げスタッフと共同で担当していた関係から、仕上げ部撮影部を合わせて「デジタル部」と呼んでいました。現在も『Fate/stay night[HF]第二章』などで特殊効果のクレジットに「ufotableデジタル部」と表記されることがあり、その際は仕上げスタッフと撮影スタッフの共同名義であるのことが多いです)。


デジタル映像部とは

まず、『ufotableデジタル映像部2013年度採用募集PV』をご覧ください。

同チームは寺尾優一氏をチーフとし、ufotable元請作品の撮影・3DCG制作のほか、映像制作用の作業管理ツールの開発を担当しています。2024年2月の時点で所属スタッフは25名。吉川氏やツール開発チーム、編集班の一部を除く殆どのクリエイターが撮影業務・CG業務の双方の作業を兼任しています。撮影とCGの双方を扱えることによる利点は後ほど後述します。

デジタル映像部では撮影・CG制作業務のほかに同社元請作品のPVやCM制作も行っています。一部作品では宣伝担当の製作会社に完全に任せることもありますが、『劇場版 空の境界』『Fate/Zero』『Fate/stay night シリーズ』など、アニプレックスと組んだ作品群に関してはアニプレックス・高橋祐馬氏などと連携しながら寺尾優一氏がPVやCMを手掛けているそうです。『鬼滅の刃』に関しては特報CMが多いため全ては制作していませんが、本編PVに関してはufotableが制作しています。
ufotable制作CMの特徴は『ufotable』の社名を原作者の次に大きく推す点CM専用のCGモデルを用いる点次々と切り替わる場面カットなどが特徴的で、何本か見ていると「あ、これは寺尾さんが作ったPVだな」とわかるようになると思います。

ufotable制作・編集のPV・CMに関してはufotable公式YouTubeに公開されているPV・CMが該当するようなのでチェックしてみてください。


また、『Fate』シリーズなど一部作品ではブルーレイディスクのメニュー画面の映像制作も行っています。さらに、実写映像制作を行うこともあり、実際に『おへんろ。〜八十八歩記〜 夏・私たちも歩いた』にて寺尾優一氏と演出・作画部の栖原隆史氏がカメラマンとして映像制作を行っています。そのため、実写映像用の撮影機材も備わっており、普段はエフェクト素材作成のための撮影やロケハンなどに使用されているそうです。

2007年6月からは、デジタル映像部の活動や映像制作の紹介を行うブログ『ufotable digital team』が不定期掲載されています。寺尾氏が執筆しており、業界に興味がある人は必見のブログです。


デジタル映像部の大きな特徴は3つ。一つ目はスタッフが撮影とCGの双方の作業を同時に担当している点。二つ目は映像制作の初期段階から全セクションの工程に参加して密接に連携している点。最後は絵コンテ・演出など演出家としての活動も行っている点です。この点に関しては改めて後述します。


各スタッフが撮影とCGの双方を扱えることの利点

アニメーション制作のうち、プロダクションにおける最後の工程である撮影(コンポジット)。撮影のスタッフは基本的に素材の合成(コンポジット)と撮影処理の工程しか関わらず、作画と同時期かそれよりも早い時期から制作を始めるCG部門とは使用するソフトや作業工程、制作スタッフも別れています(実際には「絵コンテ撮・線撮(絵コンテやレイアウト・原画などを撮影して編集でつないだ映像。基本的にはアフレコ時など本来の素材が間に合わないときに使用する素材)」などの作業も含まれるため、コンテ完成時や原画の工程で撮影スタッフが参加することも多いですが)。専門スタジオの中には撮影とCGの双方の作業を請け負うところも多いですが、その場合も撮影スタッフとCGスタッフは明確に分けられていることが多いです。

しかし、ufotableデジタル映像部の場合は、撮影スタッフのほぼ全員が3DCG制作も行っています。より正確に言えば、CGアニメーターとして入社したスタッフに撮影の技術を教育して、撮影・CG の双方の作業が行えるように育成するパターンが多いそうです。現在のデジタル映像部では23名中、撮影専門の吉川冴氏とツール開発チームの一部を除くスタッフ全員が撮影(コンポジット・エフェクトなど)とCG制作(モデリング・リギング・CGアニメーション・CGエフェクト)の双方をすべて担当しています。

では、撮影スタッフがCGアニメーション制作も行えることの何が良いのか。これは主に3つ理由があります。それは、

・CGエフェクトの品質向上
・作業効率の改善
・CGとコンポジットの親和性の向上

他にも理由はあると思いますが、先ずはこの3点です。

まず1つ目は「CGエフェクトの品質向上」。撮影の工程は多くのスタジオで「After Effects」と呼ばれるソフトウェアを使用しています。ufotableでもその点は変わりません。しかし、従来のAfter Effectsで完結する撮影手法では表現の幅に限界のあるといわれています。これは、水などの流体表現や爆発などのエフェクト表現が該当するそうです。この問題に対して表現の自由度を底上げしてくれる手法が、別のソフトウェアで3DCGを使用して作成したCGエフェクトです。従来のAfterEffectsによる手法では表現の幅に限界のあった流体表現やエフェクト表現が、3DCG素材も駆使することで表現の幅が格段に上がり映像品質の向上につながります。この手法は他のスタジオも専門のCGスタジオに発注することで表現している手法です。しかし、ufotableでは撮影スタッフがCG素材も作成することで、作業者自身が思い描いているエフェクトを自身の手で作り出すことができるため、CGエフェクトの表現力がさらに増しています。これは2つ目の要因にも大きく影響してきます。

2つ目は「作業効率の改善」。上記にて、CGエフェクトの素材は他のスタジオの作品でも使用されていると記載しました。しかし、作成までの流れとして、「CGスタッフに素材を発注⇒各スタッフで集まり打ち合わせ⇒実作業⇒完成素材の確認(又は修正依頼)⇒CGスタッフから届いた素材に更に撮影で効果をのせてコンポジット」という複雑で時間を要する工程が必要となります。この素材発注や打ち合わせなどの工程は外注のCG専門スタジオに発注した場合、チェックや修正指示も含め数日以上の時間を要し、多くの貴重な作業時間を消費してしまいます。社内にCGスタッフが在籍している場合にはその時間が減らせますが、発注までにかかる段取りは上記のように多いです。一方で、ufotableの場合は社内に撮影・CGの双方を扱えるスタッフが常駐しているため、外注先への連絡や打ち合わせなどに従来かかっていた時間・費用を削減できます。さらに、従来はCGスタッフに依頼していたCG素材の作成について、撮影スタッフが担当カットの3DCG素材作成からコンポジットまでの工程すべてを担当することで撮影とCGスタッフの間で必要であった素材発注のための指示出し・連絡業務などの時間を減らせるほか、撮影スタッフの思い描くエフェクト表現を他のスタッフに時間をかけて発注しなくても自身で作り出すことができます

3つ目は「CGとコンポジットの親和性の向上」。CGのモデリングやアニメーションに精通している撮影スタッフが撮影処理(コンポジット・エフェクト処理など)を行うことは、画面の完成形をイメージしながらCGをモデリングすることができ、さらに、作画や美術、CGが撮影にて融合する際の親和性が上がるそうです。

この手法はufotableの映像美を作り上げるうえでも大事な要素のひとつです。近年では撮影専門スタジオの大手・旭プロダクション(『プリズマ☆イリヤ シリーズ』『劇場版 ソードアート・オンライン』『ソードアート・オンライン アリシゼーション』などで撮影業務全般を務め、ufotable作品では『GOD EATER』にて共同で撮影を担当)も同様に撮影スタッフがCG素材も制作する手法を一部チームで採用しています。


各セクションとの連携 / CGによる空間表現と各セクションへのサポート体制

デジタル映像部は撮影・CGの双方の工程がプリプロダクション(企画・プロット・設定・シナリオ・絵コンテなど所謂「設計図」の制作)の工程から参加し、以降、ほぼ全工程に何かしらの形でかかわっています

まず、デザイン・設定制作の段階でCGモデルや撮影処理の方向性を決めていくのは他のスタジオ作品と大きくは変わりません。しかし、デジタル映像部の場合は社内に全セクションが集結していることを生かして、キャラクターデザイン、美術ボード、色彩設計など、各セクションの準備段階から他のスタジオ以上に各部署のスタッフと深く関わり連携をとっていきます

まず、CGの関わりとしては、美術設定・美術ボードを元に主要となる舞台のCGモデリングを美術部と連携して細かく設計しています。これは建物や電車などの乗り物、森林なども含めて主要となる舞台を距離や広さを計算したうえで設計していくそうです。このCGモデルはテクスチャを張るなど、さらに作り込んだうえで実際に作中で使用されます。

テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』では物語の主要な舞台・レディレイクを実際の街の距離を計算し、各建物もすべて違う構造にして細かく設計しています。このモデルは実際にCG背景として作中でも使用されました。

Fate/stay night[HF] 第一章』では冬木の街をCG背景で作り上げ、見せ場となるアクションシーンで披露されました。このCG背景は街を走る車や人々まで、一つ一つのモデルの芝居付けを丁寧にしています。

上記のように、背景CGモデルは美術部の制作したテクスチャ素材などの貼り込み素材を合成し、CG背景として実際に作中で使用されますが、多くの場合はその一つ前の段階である簡易的なCGモデルが3DLO(3Dレイアウト)として使用されます。3DLO自体は近年、多くのスタジオ作品で使用されており、作画スタジオでもCGスタッフが常駐して3DLOを作成している会社もあれば、アニメーター自身が手掛ける場合も年々増えているそいうです。ufotableではデジタル映像部と作画部の連携により、精密にレイアウト設計を組み立てており、絵コンテや各種設定とあらかじめ作成した舞台の背景CGモデルを元にレイアウトをCGで組み立てることで、作画による手描きのレイアウト作成への作業時間・負担の削減を行っています。これにより、従来、構図などを考え作成するのに必要であった時間を画のクオリティアップに費やすことができ、さらに、この3DLOを美術部に提供することで、背景美術においても、あらかじめ作成済みのCGモデルを元に美術を制作できるため、構図作成の時間を削減して背景美術のクオリティアップに時間を割くことが可能となっているそうです

このように、あらかじめ3DCGの背景素材を作成しておくことは、絵コンテ以降の工程、主にレイアウト作成などにおいて、1カットの映像作成に必要な時間を短縮できるほか、どのスタッフが担当してもレイアウトが崩れることは基本的にないため、作画監督や演出担当、美術監督などによる修正時間を減らすことができ、彼らの作業負担を削減させることにもつながっています。そして各スタッフの作業負担を減らすことで全体のクオリティ向上に時間をさけるようになることが、ufotableの安定した作画・背景美術を生み出す要因となっています。
ちなみに3DLOの使用例として、『Fate/stay night』シリーズでは、衛宮邸のカットはほぼ3DLOを採用、穂群原学園のカットは全て3DLOを採用しているようです。これは両者ともに建物全体をモデリングしてあるからできる技とのことです。


さて、3DCGで作成しているのは背景美術モデルやエフェクト素材、3DLOだけではありません。

絵コンテからレイアウト・原画・美術制作作業に入る前段階としてデジタル映像部では『プリビズ(プリ・ビジュアライゼーション)』と呼ばれる映像を作成しています。これは絵コンテを基に先ほど述べた美術CGモデルと簡易的な人物CGモデルを組み合わせて仮のプロトタイプ映像を作る工程です。

これは先ほど述べた3DLOの延長線上の作業で、仮のプロトタイプ映像をあらかじめ制作することで、キャラクターの動きや画面のカメラワーク、尺、テンポなど、演出や動きの設計をレイアウトや美術の作業に入る前に全て可視化することができます。これにより、絵コンテや監督、演出家による指示だけではイメージが難しかったり、個々のスタッフでイメージにズレが生まれてしまう現象を解消することができ、スタッフ全員で映像の完成形を明確に共有しながら原画や美術、CGの制作作業を行うことができます

プリビズで予めでも映像を完成させておくことは、原画などの作業に入る前に演出陣が「テンポがおかしい」「ここのレイアウトを変更したい」などの判断を早期に行うことができ、コンテやレイアウトの修正・差し替え・変更も早期に行うことができます。そのため、原画作業が進んだ後にもう一度作り直すなど、修正・変更に必要な負担を減らすことができ、ほかにも、作業全体にかかるコストの検討や作画かCGのどちらでアクションを表現するかなどの戦略もより明確に立てられます。また、ufotableのような内製メインの制作体制の場合は、「このスタッフなら任せられる」「このチームが得意な表現だ」など、スタッフ個人やチーム単位で方向性の検討を行うことができます。このように、作業負担や制作期間、予算、人選など、全体的な要素をコントロールする際にも活用されています

プリビズは特にアクションシーンで頻繁に使用されており、古くは『劇場版 空の境界 第五章』の式VS荒耶の最終決戦に使用され、現在ではCG背景がメインとなるアクションで特に使用されています。

プリビズを駆使して、作画部、美術部などと連携を強く取った結果、生まれたアクションが『Fate/stay night[HF] 第一章』の高速道路のアクションや『鬼滅の刃』最終話の無限城です。ufotableではアクション・日常芝居に関わらず、2016年以降は至る所でCG背景が多用されています。また、CGと作画を合わせたアクションを表現する際には作画とCGのスタッフが連携して1ピクセルのずれもなく作画とCGが融合した映像を作り上げています。これらの映像を作り上げるためにもプリビズは欠かせないのです。

また、プリビズ作成においては、CGアニメーターのアニメーションに対する知識や技術力も問われます。アクション設計などの知識も必要となるため、同社のCGクリエイターは作画におけるレイアウトや芝居のセンス、映像演出のプロとしての能力も要求されるのです。


エフェクトでは撮影処理や手描きエフェクト以外にCGエフェクトも多用しており、この作成にも力を入れています。3DCGによるエフェクトは雲や水、魔法陣や爆発、斬撃などに使用されています。自然現象のエフェクトに関しては、その現象を実際に研究し、物理演算などもしたうえで使用されているため、リアリティが通常のCGよりも向上しています。以下は竜巻の物理演算時の動画です。

ここまで解説したデジタル映像部による各セクションへのサポート体制は、『キャラクターの感情表現を最も精密に行えるのは作画である』という彼らの理念からきているものであり、『作画』や『美術』などのスタッフが担当カットのクオリティを上げることに時間を費やせるようにCGスタッフ陣が参考素材を多く用意してサポートしています。この理念は後述する撮影処理でも同じことが言えます


各セクションとの連携 / 撮影による映像美の表現と世界観の確立

ufotable作品の大きな特徴の一つは『撮影処理』です。近年、世間ではアニメにおける「映像美」という部分が大きく評価されている印象があります。それは新海誠監督の作品などが一番分かりやすいかもせれません。これらの「映像美」を生み出すには作画・背景・仕上げの工程も重要ではありますが、何より重要なのが『撮影処理』と呼ばれる所謂「お化粧」の工程です。

ます、仕上げまでの工程が終了した画に撮影処理が加わることでどのように映像が変化するのかを見てみましょう。

このように、撮影処理が加わることで色味や質感、奥行き、空気感やライティングに至るまで、画の情報量が飛躍的に増します。撮影処理は昨今のアニメの制作工程において最終的な画面を作り上げる、とても重要な工程となっています。

ufotableではこの撮影の工程を特に重視しており、TVアニメシリーズにおいても上記ツイートのように、劇場版と同程度の撮影処理を施しています。そのため、ufotableでは作品や媒体を問わずに何重にも撮影処理が重ねられた映像演出が成されており、一目でufotable作品だとわかるような映像を演出しています(ただし、意図的に撮影処理を少なくした『衛宮さんちの今日のごはん』のように、作風や世界観に合わせて処理方法は調整されます)。

この撮影処理による映像美の演出は、作画や美術にエフェクト処理を足せばいいだけという簡単な話しではありません。美麗な映像を表現するためにデジタル映像部では作画のレイアウトや美術の美術ボード作成の段階から演出陣や作画部・仕上げ部・美術部と密接に連携しており、撮影処理によって光源やエフェクトをどのように足していくのかを画面設計の初期段階から各所と連携し、原画や仕上げ素材、背景美術が手掛けられています。

特に美術部との境界は限りなく薄く、照明効果や空間的な表現、雲や水などの自然現象などに関して、デジタル映像部のスタッフが撮影とCGの両面から密接に連携しています。また、撮影スタッフがCG素材を制作していることもあり、作画とCGを一つの画面に両立できるように調整することがとても上手いです

上記ツイートのように色彩も撮影により大きく変化します。この色彩表現に関しても、同フロア内の仕上げ部と密接に連携してufotable特有の色の世界を生み出しています。

また、デジタル映像部は旧・撮影部の時代から仕上げ部と共同で新たな特殊効果の表現に挑んでいます。その中でも得に有名なのが、『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』にて、原作イラストのグラデーションを再現するために、2007年当時、TVアニメとしては初めて実践されたキャラクターの頬へのブラシペイントや髪へのグラデーション処理を全話数全カットで行うという挑戦。これらは全て仕上げ部と連携の上で当時の撮影部が作り上げており、この処理技術が現在のufotableの特殊効果にもつながっています。この時のように、仕上げ部と撮影スタッフが連携して特殊効果を作り上げる際には特殊効果のクレジットに「ufotableデジタル部」とクレジットされることが現在でもあり、このクレジット表記の際には仕上げスタッフと撮影スタッフの共同名義であるのことが多いです。

ここまでの撮影処理については『仕上げ部』の記事にも記載しているので参照してください。


ほかにもufotableの特徴として、監督や演出家が常に社内に常駐しているため、監督が気軽に仕上げ部・美術部・デジタル映像部の共同エリアを訪れて進捗状況や監修をその場で行うことができる環境にあります。通常は素材発注やCG演出、撮影処理に関する打ち合わせのために別の外注スタジオを訪れたり、簡単な確認作業にも数日以上の時間を要する現場もあると言われている美術・撮影・CGの指示出し・発注・監修工程がその場ですぐに行えるため、監督や演出家の意見を直接聞きながら彼らの求める映像表現に近づけることができ、ほかにも自分たちのやりたい映像表現を監督らに直接伝えたり、CGや撮影処理を強調した演出表現について、より密接に連携して作業を行えるなど、通常のスタジオの作品以上に撮影・CGについて挑戦的な表現を行える環境を整えています。その他にも、発注などに要するはずだった時間をクオリティ向上に費やすことができたり、同じメンバーで作り続けている影響で演出陣との信頼関係が出来上がっているため、演出陣が撮影・CGの工程への理解が深いことも同社の特徴となります。

撮影処理によって作画は劇的に変化します。しかし、これに関しては「せっかく描いた画の線が撮影の力で盛られて見えなくなるから、作画で描く意味がなくなる」という批判も出てくると思います。実際、撮影部が本格始動した当初はufotable内でも撮影で盛るのか盛らないのかで喧嘩することも多かったそうです。しかし、長い年月を同じメンバーで制作してきた影響により、撮影への理解が作画スタッフの中でも深まり、現在では密接に連携してufotable特有の映像を生み出しています。作画部のエースアニメーターの一人・阿部望氏は、LO段階からデジタル映像部に頻繁に顔を出し、撮影スタッフと密に打ち合わせをしながら自身の原画を完成させ、撮影処理までを共に創り上げるそうです。

撮影はあくまで作画・色彩・美術を「美しく引き立たせる」ための工程です。作画や美術などの素材のクオリティも良くないといけませんし、やたら撮影処理を盛ればいいというわけでもありません。上記でも述べた通り、デジタル映像部の理念は、『キャラクターの感情表現を最も精密に行えるのは作画である』というもの。『作画』や『美術』などの素材をより美しいものに仕上げて視聴者に届けることがデジタル映像部にとっての誇りなのです

デジタル映像部チーフ・寺尾優一氏は作画で表現されるキャラクターや背景美術と3DCGのコンポジット(合成)によるマッチングを常に意識しているとのことで、『正しくライティングを行えば、どんなスタイルのキャラクター・背景美術とも3DCGは自然に融合する』という理念を持つそうです。そんな寺尾優一氏を中心としたデジタル映像部が手がける映像は『フォトリアリスティック』な画面演出と評価されることがあります。これは写実的な映像表現法のことであり、寺尾氏が、アニメーションらしい外連味のある映像を追い求めるなかでリアリズムに手を加えるとアニメーションと相性の良い作為的な映像になることを知ったため、画面設計に取り入れるようになったそうです。

これらの映像表現を生み出すために、デジタル映像部では過去の技術を再利用・発展させつつ、新たな技術も開発・採用しながら、年々、様々な処理方法を考案して使用しています。そのため、過去作品と比べると年々撮影技術が蓄積され、進化していることがわかるので、ぜひ見比べてみることをお勧めします。


デジタルに強い演出家たち / 撮影・CGスタッフが生み出す映像世界

前述したように、ufotableはCGと撮影技術を駆使したデジタル色の強い画面設計が特徴的なスタジオです。そんな彼らの技術と長年を共にしてきたことで、その能力を把握している演出陣たちによるCGの魅せ方も特徴のひとつ。そして、そんな同社作品にはデジタル系統の画面設計がさらに色濃く押し出されている作品も存在します。それは、デジタル映像部のスタッフが演出を担当している作品です。

まずは下記の動画をご覧ください。

この動画はBSフジの深夜アニメ枠『アニメギルド』のOPジングルです。この動画こそ、デジタル映像部が演出を含めて主導で制作した映像のひとつです。監督はデジタル映像部チーフの寺尾優一氏(ちなみにナレーションを担当している声優はufotable所属の江原裕理さんです)。

映像を見るとわかると思いますが、デジタル映像部のスタッフが監督・演出を務めることで、CGやエフェクト処理などのデジタル色の濃い映像表現が可能となっています。この作品では美術やエフェクトを含め、映像の中心となるドラゴンの少女以外はほぼCGで制作されています。

デジタル映像部が絵コンテなどの演出面に関与するようになり始めたのは、2007年の『劇場版 空の境界』から。元々は前述したプリビズの導入や3DLOの積極的な採用もあり、デジタル映像部が演出的な部分に深くかかわる必要性がでてきたことで演出の知識を求められるケースが増えたことがデジタル映像部内でも演出家を育成しようという流れに繋がりました。

その中でも、特に演出に深くかかわるのは寺尾優一氏。寺尾氏は現場責任者として通常の元請作品でも演出打ち(監督と演出による絵コンテを基にした打ち合わせ)や作打ち(演出とアニメーターによる担当カットの方針に関する打ち合わせ)に参加し、特殊効果やCGの配分を細かく決めるなど、積極的に各作品の演出面にも関わる人物の一人です。そんな寺尾氏は、元々自主制作アニメも手掛けていた影響から、演出や作画的な知識も持ち合わせていました。デジタル映像部のメンバーの中でも特に演出家として活動している人物の一人になっています。

寺尾氏は『劇場版 空の境界 終章』(2010)にて雪の表現や撮影処理などの演出に深くかかわり、以降、演出面にも深く関わるようになります。2011年に発売されたゲームソフト『ブラック★ロックシューター THE GAME』ではOPアニメーションの副監督&サビ部分の絵コンテを担当。背景美術での3DCGの多様、撮影処理の新たな試みなど、現在のufotableにつながる実験的試みを多くおこないました

上記のような作品のほかに、近年ではTVアニメ『鬼滅の刃』第26話Aパートの無限城パートにて絵コンテ・演出を寺尾氏が務め、デジタル映像部として初のTVアニメ作品の演出を担当するなど、デジタル映像部の活躍の幅は今後もどんどん広がっていく模様です(『鬼滅の刃』第26話Aパートは現在のufotableデジタル映像部の特徴を全て詰め込んだような映像表現となっているので一見の価値ありです)。

寺尾氏のほかにも、演出家として活動していた撮影・CGスタッフがいます。元・デジタル映像部所属のCGスタッフ(現・東映アニメーション所属)である武中敬吾氏は同社所属時代に『GOD EATER RESONANT OPS』(2018年)にて初の監督に挑戦し、続く『GOD EATER 3』(2018年)でも監督を務めました。こちらに関しては、同じく2016年以降『GOD EATER』シリーズの演出を担当している演出家の栖原隆史氏がサポートに入っているそうです。


ほかにも、2019年に公開された『アイドリッシュセブン』 作中ユニット・ŹOOĻ の2ndシングル「Bang!Bang!Bang!」MVアニメーションでは、監督・絵コンテを元・デジタル映像部CGスタッフである宍戸幸次郎氏(現・株式会社 萌 所属)が担当。演出面では同社演出家の滝口禎一氏と竹内將氏がサポートをしているようです。

ほかにも、寺尾氏がコンテ・演出を務めた『鬼滅の刃』第26話Aパートでは、絵コンテ協力としてCGスタッフの西脇一樹氏、佐藤号宙氏が参加するなど、デジタル映像部のスタッフが徐々に監督やコンテ・演出に参加するようになってきました。

ちなみに、撮影・CGの職種から監督・演出家になった例に関しては、実はアニメ業界内でも多く存在しています。有名どころでは『鋼の錬金術師(2003-2004)』『機動戦士ガンダム00』の監督で現在も第一線で活躍する水島精二氏(撮影出身)、『ラブライブ!』『宝石の国』監督のサンライズ出身・京極尚彦氏(CG出身)など、どちらも監督作品ではそれぞれの分野の強みを生かした演出法を築き上げている演出家です。


撮影・CGスタッフが演出を担当するメリットとして、ufotableの場合では

・デジタル映像部スタッフとの連携がより密になる
・トライ&エラーがやりやすい

という点がメリットに挙げられています。

まず、デジタル映像部スタッフとの連携がより密になる点について。これにより撮影・CG面での意見交換や修正指示などを常にリアルタイムで行うことができます。また、演出のコア部分がデジタル映像部内にあるということは最終的に映像の仕上げを行う撮影スタッフと通常の作品以上に完成形の映像イメージを密に共有して作業ができるため、演出の思い浮かべた完成映像により近い映像が生まれるほか、場合によっては通常の画面以上にデジタル色の強い映像を生み出すこともできます。

次にトライ&エラーがしやすい点について。これは、絵コンテを描きながらCGモデルを動かしたりカメラワークを実験的に付けたりするなど、構図やテンポを常に確認しながらコンテ制作を行えるところが利点として挙げられます。常にQAR(クイックアクションレコーダー:制作途中の動画などの動きを一時的にチェックする作業)を行える環境での制作となるため、映像の完成度に磨きをかけることができるそうです。また、前述したとおり撮影・CGスタッフが周囲で活動しているため、意見交換や修正指示がすぐ可能な点もトライ&エラーがしやすい点に繋がっています。

一方でデメリットもあり、以下の点が難題となるそうです。

・絵の修正指示がアニメーター出身の演出家よりスムーズにはいかない

デジタル映像部のスタッフの中には作画部出身者や絵を描けるスタッフも在籍していますが、それ以外のほとんどのスタッフは本職と比べると絵に関する指示というのは出すのに不慣れな点があるそうです。この点は作画監督やキャラクターデザイナーなどの助けを借りてカバーしているとのことです。


以上のようなデメリットもありつつ、ufotableでは2007年ごろを境に、デジタル映像部が演出面に大きく踏み込み始めています。これは、

「アニメーション制作の工程でデジタルの要素が徐々に強くなってきている。だから、デジタル化に合った制作工程をいち早く構築して取り入れるべきだ

という判断のもと、2009年以降の『劇場版 空の境界 終章』『ブラック★ロックシューター THE GAME』からコンテ段階でデジタル技術を導入するなど積極的に実験的な取り組みをしたことが大きいです。この10年間の成果が近年のデジタル色の強い美麗な画面設計を生み出しているようです

近い将来、デジタル映像部主導によるTVアニメの担当話数や劇場・OVA作品が見れたりする日も来るかもしれないですね。


作業の効率化を目指して / ツール開発とは

「ツール開発」という職種は、通常のテレビアニメで見ることは少ないかもしれません(CG・VFXスタジオのグラフィニカなど、CGスタジオの作品ではEDにクレジットされていることもありますが)。これは、デジタル作画や仕上げ済みの素材、美術素材、CG素材、合成素材(コンポジット)など、作品に関連するデータを全て管理するソフトウェアを開発する職種です。撮影部門にはコンポジット作業のために大量の素材が集まります。その素材を管理するには膨大な管理用ファイル・フォルダが必要です。しかし、溜まる素材は完成品だけではなくエラー素材や試作素材などもあります。さらに、作画素材だけでもレイアウト、原撮、動撮など同じカットだけでもデータが膨大となります。ここから目的の素材を探すだけでもかなりの時間を要することになり、それをスタッフ全員が共有するのも一苦労となります。

そこで、ufotable......というより、撮影スタジオでは、ソフトウェアの操作作業省力化のために各作品ごとにツール開発を行っています。なぜ、作品ごとにツールを開発する必要があるのかというと、制作する作品の体制ごとに求められる管理システムが異なることが大きいからです。

デジタル映像部ではこのツール開発を、デジタル映像部所属のクリエイターと企画演出部が中心となり開発しています。デジタル映像部のスタッフがツール開発を担当している理由としては、実際に現場で活動するクリエイターが管理ツールを開発することで、現場の求めている要件を反映したツールを開発できるためだそうです(他のスタジオではツール開発専門のスタッフが雇われていることもあります)。

各作品ごとに発生する大量のデータファイルの管理を自動化・省略化して作業効率を上げることで、撮影スタッフのみならず、作画・美術・CGなどの全スタッフが目的のファイルを探す時間を最小限にして映像制作などに時間を費やせるようになります。作業効率を上げるためにも、ツール開発は重要な仕事なのです


編集への関わり / VS ハーディング

ufotable作品では映像編集をソニーPCL神野学氏が担当しています。そのため、撮影した各カットの素材はソニーPCLに送られ、音響・音楽と合成して全てを繋ぎ合わせるわけですが、デジタル映像部では編集に送る前にある取り組みをしているそうです。

一つ目は仮編集。デジタル映像部でとりあえず絵コンテの通りに完成カットを編集で繋げて映像を一度完成させてしまう作業を行うことが作品によってあるそうです。ただし、自分たちで編集テストを何度も行い、「これもう完成でいいのでは?」という映像が出来上がっても、その素材をソニーPCLの神野氏の元で再編集してもらうと、「凄くキマった、素晴らしいテンポの映像になる」「自分たちではできない」となるそうです。本職の編集さんの腕前はやはり凄いですね。
一方で、前述のようにCMやPV映像は文字素材も含めufotableデジタル映像部で基本的には作成・編集されています(「制作:ufotable」と大きくクレジットされる場合はだいたいufotable制作のCM・PVです。また、作品ごとに見比べると寺尾氏ら編集者の癖のようなものがわかり、どれがufotable制作のCMか分かると思います)。一部ゲーム作品のOPアニメーションの編集も制作部の高中優氏などのスタッフが行うことがあるそうです。
今後は後述のオンライン編集のような高価な機器を使用した編集は難しくとも、オフライン編集のようなカットを繋ぎ合わせる編集は社内で行っていく可能性が高いなと感じています。実際に、2022年7月以降より、ポリゴン・ピクチュアズの各作品で編集を務めていた鹿島 英明(かしま ひであき)氏が同社に移籍しており、PV編集などを担当しています。ufotableの編集路線にも注目です。

そしてもう一つ、ufotableの全作品でオンライン編集(完成映像の明暗や彩度などを、TV局の基準に合わせ専門の機械で自動調整する工程)前に行われる処理として「ハーディングチェックへの対策」が行われます。まず、「ハーディングチェック」とは、所謂「パカパカ」と呼ばれる背景色の点滅による視聴者への悪影響(光過敏性発作)への対策として全テレビ番組で対策している映像処理のことであり、映像の明度や彩度を調整して視覚刺激を抑えているそうです。一般的なアニメ作品では気にならない程度ですが、ufotable作品のようなエフェクト処理が強めの作品の場合は、オンライン編集での自動処理によって、露骨に明るさが暗くなって違和感のある映像になってしまうことも多いそうです。実際の例でいうと、『Fate/stay night[UBW]』のエクスカリバーのシーンをTV版とBD版で見比べるとわかりやすいです。
デジタル映像部では2015年以降、編集に撮影素材を送る前に明るさなどの調整を細かく行い、画面が暗くなることを極力抑えるように対策をとっています。調整の他、チェック対策のために新たに別のCG・エフェクト素材を用意することも多いそうです。そのため、TV画面で見ていても大きな違和感はあまり感じない映像が提供されています。ちなみに、映画館で流される劇場作品やBlu-ray Discなどに収録されるバージョンの映像では調整の一切無いオリジナルバージョンの映像が使用されています


各スタッフの役割 / ポジション紹介・導入ツール

 デジタル映像部では現在、以下のような職種が存在します。これまで記したように、彼らはひとつの職種にとどまらず、本人の能力や意思に従って様々な役割を担っています。2023年5月に公式でも紹介されたので簡単に紹介します。

・コンポジッター(撮影)
 いわゆる一般的な「撮影」の職業。各セクションの素材(仕上げ素材・美術素材・CG素材)を合成して「絵」として完成させる仕事です。ufotableでは特に「カラーグレーディング(簡単に言うと色による演出)」に強いスタッフを育成しているそうです。

・エフェクトアーティスト
 VFX(視覚効果)のスペシャリスト。原画マンによる手描きのエフェクトを除く、CGエフェクト(雨・雪・炎などの自然現象から、崩壊する岩場や建築物、引き裂かれる布など)を担当。メインツールは3dsmaxですが、その他、スタッフ個人に合ったツールを使用しています。

・モデラー(キャラクター・プロップ)
 キャラクターや小物(プロップ)のCGモデルを作成する仕事。ufotableの場合、作画とCGを組み合わせることが多く、共同作業になることが多い。

美術設計/背景モデラー
 背景美術用のモデルを設計・作成する。ufotableでは近年、背景美術にCGを多用しているほか、美術スタッフのLO用に作中の主要な背景すべての簡易3Dモデルを作成しています。そのため、美術・建築への知識や照明設計、LOの知識など、様々な要素が求められます。

・3DCGIアニメーター
 3Dモデルを駆使してCGアニメーションを創り上げる。ufotableでは3DCGアニメーションを実際に担う以外にも役割があり、作画部門の負担軽減を目的にCGアニメーターが絵コンテを元に簡易CGでシミュレーション映像(プリビズや3DLO)を作成し、演出やアニメーターを支援する役割があります。それはつまり、演出面、キャラクターの動き・LOなどの重要な部分の基礎、アクション設計などを3Dアニメーターが担っているということであり、演出や作画に対する知識・センスが求められる重要なポジションとなっています。

テクニカルアーティスト
 モデルを動かすための骨組み(リグ)や素材・データ管理を容易にするためのツールの設計・開発に携わる。

編集演出(オフライン編集)
 映画特報・CM・PV・ゲームアニメーションの演出・編集を担当。一般的に他の専門企業に依頼するCM・PV制作をufotableではデジタル映像部が担っている。これは、「最も作品やその素材に精通し熱を込められるのは作品に直接関わっているスタッフ達である」という考えからだそうです。映像演出への知識・理解とセンスが求められます。ちなみに、ufotableでは今後、長い尺の編集作業も視野に入れているとのこと。

 以上の役割のほか、各スタッフが絵コンテなど、演出家としても活躍しています。

ちなみに導入ツールは以下の通りです

メインツール
・3dsmax
・AfterEffects
・Photoshop

導入中のツール(必要に応じて自由に使用可能)
・Maya
・Substance3D
・Unreal Engine
・Blender​
・Houdini
・Illustrator
・CLIP STUDIO PAINT
・DaVinci Resolve

開発言語
・Python
・MAXScript
・JavaScript(TypeScript)
・Google Apps Script

詳細は以下のサイトをご覧ください。


所属スタッフ紹介

東京スタジオ《デジタル映像部》 2024年2月時点

 デジタル映像部には2024年2月現在、25名のスタッフが所属しています寺尾氏・松田氏・吉川氏以外の所属スタッフは2007年公開の『劇場版 空の境界』以降に入社したスタッフで構成されており、松田成志氏、佐藤号宙氏、天野礼治氏、鹿島英明氏、野平幸寿氏、奥屋武志氏、小宮美羽氏の7名以外のスタッフは全員ufotable出身の生え抜きスタッフで構成されています。

撮影監督(スタッフ紹介)

・寺尾優一(てらお ゆういち)

 ufotableデジタル映像部チーフ。2003年にufotableに入社。撮影部設立メンバーの一人。現在、制作部に移動したメンバーを除き、デジタル映像部に所属しているスタッフで唯一、部署設立時から関わっているメンバーでもある。

演出・作画部の演出家・栖原隆史氏と共に大阪芸術大学で自主制作アニメーション映画を制作していた。2003年12月、大学3年生の時に大学の先輩からの紹介でufotableに入社。当初は制作部で制作進行業務を希望していたが、面接の際に映像を持ち込んでいたことがきっかけとなり設立されたばかりの撮影部(現・デジタル映像部)配属となる。撮影に関して素人だったこともあり一から技術を学ぶことに。2007年『劇場版 空の境界』より、撮影監督として活動を開始。以降、デジタル映像部チーフ兼撮影監督として多くの作品に参加している。

2007年以降の作品のほぼすべてで撮影監督を務めている影響から、エフェクト処理などに寺尾氏の色が濃く表れており、視聴者が感じる「ufotableらしい映像美や雰囲気などの空間づくり」は、寺尾氏が中心となり作りだしているといってよいufotabeの映像技術の根幹となる人物の一人。ここまで紹介してきた撮影に関する理念も寺尾氏自身の思想によるものといっていい。

ufotable作品のPVやCMの多くを手掛ける人物でもある。様々な分野に精通しており、原画を手掛けることも。演出家としても活動しており、今後の作品での活躍も期待される。

寺尾優一氏 撮影監督作品(TV・OVA・映画)
・劇場版 空の境界 全8章(2007-2010)松田成志氏と共同
・OVA版トリコ(2009)松田成志氏と共同
・テイルズ オブ シンフォニア THE ANIMATION(2009-2012)
・Fate/Zero(2011-2012) CM制作、第1期OP絵コンテ(共同)
ギョ (2012年)
劇場版 空の境界 未来福音(2013)
・Fate/stay night [Unlimited Blade Works](2014-2015) 
・テイルズ オブ ゼスティリア ~導師の夜明け~(2014)
・テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス(2016-2017) 
・活撃 刀剣乱舞(2017) 
・劇場版Fate/stay night [HF] I.(2017) オープニング監督
・劇場版Fate/stay night [HF] II.(2018)
・鬼滅の刃(2019) 絵コンテ・演出(26話Aパート)、原画(26話)
・劇場版 Fate/stay night [HF]Ⅲ.(2020)
・劇場版 鬼滅の刃 無限列車編(2020)
・鬼滅の刃 遊郭編(2021-2022)
・鬼滅の刃 刀鍛冶の里編(2023)
・鬼滅の刃 柱稽古編(2024)

寺尾優一氏 撮影監督作品(ゲーム・CM)
・ドラゴンシャドウスペル(2007)
・GOD EATER プロモーションアニメ(2009)
・GOD EATER(2010) - 編集エフェクト
・GOD EATER BURST(2010) - 編集エフェクト
・ブラック★ロックシューター THE GAME(2011) 副監督・絵コンテ
・テイルズ オブ エクシリア(2011)
・テイルズ オブ エクシリア2(2012)
・Fate/stay night [Réalta Nua](2012)
・GOD EATER 2(2013)
・サモンナイト5(2013)
・Fate/hollow ataraxia(2014)
・GOD EATER RAGE BURST(2015)
・テイルズ オブ ゼスティリア(2015)
・テイルズ オブ ベルセリア(2016)
・Fate/Grand Order コラボCM「空の境界」「Fate/Zero」(2016)
・アニメギルド OPジングル(2017-放映中)監督・絵コンテ・演出
・GOD EATER 3(2018)
・CODE VEIN(2019)
・アイドリッシュセブン ŹOOĻ 2ndシングル(2019) 
・月姫 -A piece of blue glass moon-(2021)
・テイルズ オブ アライズ(2021)


・松田成志(まつだ しげじ)

 ufotableで一番業界歴の長い撮影スタッフ。2000年にスタジオ雲雀・撮影部に入社し撮影・特効として活動。2001年中旬、スタジオマトリックスに移籍後は複数の作品で撮影監督を務めた。2005年、一時的にM.S.C(エム・エス・シー)に移籍後、2005年末よりufotableに移籍。正式にufotable撮影部のメンバーとなる。ufotable移籍前より『フタコイ オルタナティブ』に参加していた。ufotable移籍後は同社オリジナル作品『コヨーテ ラグタイムショー』(2006)や『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』(2007)で撮影監督を務めた。寺尾氏が撮影監督としてデビューしてからの数年間は共同で撮影監督業務を行い寺尾氏をサポート。その後は撮影監督を数作品務めつつも、現場のサポートに徹している様子。デジタル映像部を支える大黒柱の一人である。

松田成志氏 撮影監督作品(ufotable作品のみ)
・ゲーム「魔界戦記ディスガイア2」(2006)
・コヨーテ ラグタイムショー(2006)
・がくえんゆーとぴあ まなびストレート!(2007)
・劇場版 空の境界 全8章(2007-2010)寺尾優一氏と共同
・OVA版トリコ(2009)寺尾優一氏と共同
・魔女っこ姉妹のヨヨとネネ(2013)棚田耕平氏と共同
・GOD EATER(2015-2016)


・吉川冴(よしかわ さえ)

 『フタコイ オルタナティブ』が好きだったことと、見学時に寺尾氏に誘われたこともあり、2006年末に入社。『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』より撮影スタッフとして参加している。同チーム所属としては珍しくCGの作成にはかかわらないスタッフでもある。『Fate/stay night [UBW]』『テイルズ オブ ゼスティリア ~導師の夜明け~』『活撃 刀剣乱舞』『鬼滅の刃』など多くの作品で撮影監督補佐を務めており、その仕事の腕前は寺尾氏も幾度となく名前を挙げ絶賛するほど。2009年発売のゲーム『セイクリッドブレイズ』のOPアニメーションで撮影監督デビュー。OVA『百合星人ナオコサン』でOVA作品の撮影監督を務め、Webアニメ『衛宮さんちの今日のごはん』でシリーズ作品の撮影監督を務める。寺尾氏とは真逆の水彩のような優しい色合いの撮影処理を得意としており、新たなufotableの一面を見せてくれる撮影スタッフとなっている。

吉川冴氏 撮影監督作品
・セイクリッドブレイズ(2009)
・百合星人ナオコサン(2010)
・衛宮さんちの今日のごはん(2017-2019)


3D監督(スタッフ紹介)

・西脇一樹(にしわき かずき)

 2010年にufotable入社。『劇場版 空の境界 終章』より撮影スタッフとして参加した。その後はCGアニメーターとして活躍しており、『Fate/Zero』(2012)次回予告の令呪や『Fate/stay night[UBW]』(2014-2015)の雲のCGを手掛けた。ufotableの自然現象CGの根幹をなす人物で、美術部・衛藤氏の美術3D路線に大きな影響を与えた

ufotableの3DCGレイアウトの根幹的人物でもあり、『Fate/Zero』以降の3DLOの現場を統括している。本人曰くCGチームの中間管理職的な立ち位置だとのこと。

近年は3D監督として2016年以降の主要作品のCGを統括しており、ufotableに在籍するCGクリエイターの柱的存在である。

西脇一樹 3DLOマネージャー担当作品
・Fate/Zero(2011-2012)
・空の境界 未来福音(2013)
・Fate/stay night [Unlimited Blade Works](2014-2015)
・テイルズ オブ ゼスティリア ~導師の夜明け~(2014)

西脇一樹 3D監督作品
・Fate/Grand Order コラボCM「空の境界」「Fate/Zero」(2016)
・テイルズ オブ ベルセリア(2016)
・テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス (2016-2017)
・活撃 刀剣乱舞(2017)
・劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel](2017-2020)
・鬼滅の刃(2019)  -  第26話絵コンテ協力
・劇場版 鬼滅の刃 無限列車編(2020)
・テイルズ オブ アライズ(2021)
・鬼滅の刃 遊郭編(2021-2022)
・鬼滅の刃 刀鍛冶の里編(2023)
・鬼滅の刃 柱稽古編(2024)


・鉄炮塚大樹(てっぽうづか だいき)

 2013年にufotableに入社。当初は東京・作画部にアニメーター志望で入社。『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』より動画マンとして複数の作品で活動した。2014年の『Fate/stay night[UBW]』より、当時各部署で行われていた人材交流にて数人のスタッフと共にデジタル映像部に移籍。撮影・CGクリエイターとして活動後、作画部には戻らず、そのままデジタル映像部のスタッフとして在籍することになる。

作画のセクションを経験してきたからこそのCGの表現ができると寺尾氏から評されており、『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の肉塊関連のCGを手掛けた際にはアクションシーンで破壊される肉塊の質感と破壊表現を作画の知識も活かして手掛けている。

Fate/Grand Order×氷室の天地 ~7人の最強偉人篇~』(2017)で初の3D監督を担当。『衛宮さんちの今日のごはん』でシリーズ作品の3D監督を務めた。『鬼滅の刃』では3D監督補佐も務めるなど、今後の活躍が期待されるスタッフの一人である。

鉄炮塚大樹 3D監督作品
・Fate/Grand Order×氷室の天地 ~7人の最強偉人篇~(2017)
・衛宮さんちの今日のごはん(2017-2019)


・佐藤号宙(さとう なおき)

 CGスタジオ・オレンジ出身。『コードギアス 亡国のアキト』3DCGディレクターなど同社の数多くの作品でCGを手掛けてきた。

2017年にufotableに移籍。『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』より撮影・CGスタッフとして活動している。ちなみに、読みは佐藤号宙(さとう・なおき)。ufotable社内での愛称は「ごうちゅうさん」である。

同チームのオールラウンドプレイヤーとして知られており、「魅せるカメラワーク×アクション設計」に関してはデジタル映像部内でも随一と言われている。西脇氏と寺尾氏の間の席で活動しており、西脇氏も難しいカットなどは佐藤氏に相談することが多いとか。『劇場版 Fate/stay night[HF]』第一章の高速道路のアクション設計や第二章の影関連、第三章のバーサーカー全般、『鬼滅の刃』第2話の炭治郎が山を駆け降りるCGカット全般、『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の炭治郎&伊之助の列車アクション全般のカメラワーク・レイアウト設計を担当。CGアニメーションで高い技術を発揮しており、チームの支柱の一人となっている。

2021年に発売されたノベルゲーム『月姫 -A piece of blue glass moon-』のOPアニメーションでは3D監督を担当。CG面の監督を務めつつ、監督の竹内氏と共同で演出面にも深くかかわり、3DCGとデジタル作画が融合した美麗な映像を作り上げている。

佐藤号宙 3D監督作品
・月姫 -A piece of blue glass moon-(2021)


ツール開発(スタッフ紹介)

・天野礼治(あまの れいじ)

 ポリゴン・ピクチュアズ出身。2014年から2016年まで活動後、2016年にufotableに入社。『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』(2016)に撮影・CGスタッフとして参加した。数か月間活動した後、2016年から東映アニメーションへ移籍してCGモデラーとして活動。移籍後もufotable作品には撮影協力で参加していた。

2019年9月よりufotableに再び移籍し、ツール開発スタッフとして活動を開始している。ゲームスタジオ「CREEK & RIVER」でも活動中。


編集(スタッフ紹介)

・鹿島 英明(かしま ひであき)

 2022年7月以降より入社。元はポリゴン・ピクチュアズの各作品で編集を務めていた。ufotable移籍後は『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』に関連するPV編集を担当している。


所属スタッフ(その他)

・西中莉麻(にしなか りま)

 2011年に入社。『鬼滅の刃』ではモブキャラクターCG全般の演技を担当して西脇氏から高く評価された。


・井川雄翔(いがわ ゆうしょう)

 2015年より入社。『鬼滅の刃』の主要キャラの3Dモデリングをすべて担当し、外崎監督と松島氏から腕前を高く評価された。


・吉田遥(よしだ はるか)

 2017年に入社。『鬼滅の刃』で吉川氏と共に撮影監督補佐を務め、ベテラン勢にも負けない実力を見せたと寺尾氏から称賛された。


・岩田宗一郎(いわた そういちろう)

 2019年より入社。入社したばかりの若手ながら『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』にて無限列車のCGモデルを鉄炮塚氏と共同で制作した。建築に詳しく、『鬼滅の刃』第26話の無限城のモデリングを一任される。現在のufotableにおける建築物・機械関係のCGモデリングを担当。チーム内でも若手ながら技術力がとても高いと寺尾氏から評価され、今後の躍進が期待されるスタッフである。


フリースタッフ&外部スタジオ所属スタッフ

その他、ufotableと関係の深いフリー&外部所属スタッフも紹介します。

・武中敬吾(たけなか けいご)
 
2015年よりufotableに入社しデジタル映像部に所属。3DCGアニメーション制作のほか3D監督としても参加。『GOD EATER RESONANT OPS』(2018)にて初の監督に挑戦し、続く『GOD EATER 3』(2018)でも監督を務めた。今後の目標は「フルCGアニメーションの制作」。

2019年4月にufotableを退社。同年5月より、東映アニメーション・デジタル映像部に所属しており、CGクリエイターだけでなく演出家としても活動している。ufotable脱退後も『鬼滅の刃』『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』に3DCG制作協力で参加するなど関係は続いている。


・宍戸幸次郎(ししど こうじろう
 東北芸術工科大学卒業。大学在籍以前より多くの映像作品を手掛け、様々なコンテストで賞を受賞。卒業後、2009年にufotableに入社。『劇場版 空の境界 第七章』より撮影・CGスタッフとして参加。ufotableを代表するCGモデラー・CGアニメーターのひとりでもあった。淡々と物凄い量のCGカットをいつのまにか作っていることもあると言われており、いつの間にか指示にもない物凄いCGカットが生まれていたことも(その一つが『ブラック★ロックシューター THE GAME』冒頭の崩壊していく街のカット)。

ufotableの虫CG担当として知られ、同社作品の力の入った虫や触覚のCGの多くは宍戸氏によるものと思っても良い。本人曰く虫を作るのがとにかく好きだとのこと。

社内でも『天才』と絶賛される実力者であり、初監督作品である『アイドリッシュセブン』 作中ユニット・ŹOOĻ の2ndシングル「Bang!Bang!Bang!」MVアニメーションでは彼の演出力が発揮されている。

2020年に退社し、現在は株式会社 萌のCGクリエイターとして活動中。


・中村慎太郎(なかむら しんたろう)
 GONZO出身のCGアーティスト。2003年から2007年までGONZOでCG・VFX・撮影を担当。2007年以降は2010年までufotableで活動。OVA『テイルズ オブ シンフォニア』シリーズ1章&2章にて撮影監督・3D・CGIディレクターを務めたほか、『空の境界』第1章~第7章までの3D監督も務めた。

 ufotable退社後は様々なスタジオで活動し、『Extreme Hearts』では撮影監督も務めた。退社後もufotable作品に参加することがあり、『鬼滅の刃 遊郭編』『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』などで撮影協力を務める。


・阿部鳳駿(あべ たかとし)
 
2015年ごろにufotableに入社。『Fate/stay night[UBW]』より撮影・CGクリエイターとして活動していた。『活撃 刀剣乱舞』ではモニターグラフィックスを担当。『Fate/stay night[HF]』第一章では高速道路のアクションCGを佐藤氏と共同で手掛けている。映像のクオリティに対して余念がなく、とことんまでクオリティを追求するクリエイター。

2018年まで在籍した後は退社し、現在はCGアーティストとして活動中。活躍する舞台は変わっても自身の仕事に対してクオリティを追求し続けている。また、2023年現在もufotable作品に撮影協力で参加している。


・山口祐樹(やまぐち ゆうき)
 2008年末にufotableに入社。『劇場版 空の境界 第六章』より撮影スタッフとして参加しており、各作品で撮影・CGとして参加。2011年より放送された『Fate/Zero』よりツール開発を担当。2011年以降、ほぼ全ての作品のツール開発を担当している。クリエイター視点でのファイル管理ツールの作成に力を入れている。一方でCGクリエイターとしても現役で活動。川や水滴など、水のCG表現に定評がある。


・横山暁(よこやま さとる)
 
 2017年にufotableに入社。『活撃 刀剣乱舞』より撮影・CGスタッフとして活動している。また、山口氏のツール開発にも参加するようになる。

 2018年からはCygamesのデザイナー部テクニカルアーティストチームにてゲーム作品のツール開発等に従事している。移籍後もufotable作品への参加は続いているほか、ufotableに席を置いて活動していた演出家・あおきえい氏が取締役を務めるスタジオ・TROYCAにてツール開発協力を行っている。


・シスターン ルカ (Lucas Cisterne)
 フランス出身のCGアーティスト・美術アーティスト。日本に来て間もなくの頃である2018年にufotableに入社。ゲーム『God Eater 3』や『Fate/stay night[HF] 第二章』『鬼滅の刃』1クール目に撮影で参加した。CM『ドラガリアロスト』の背景美術の一部も担当している。

2019年に退社後も美術アーティスト、コンポジッターとして活動中。Twitterでも活動状況についてツイートしているため、気になる方は是非。


・中村 宣夫(なかむら のぶお)
 フリーランスの歴史CG作家の一人で、日本の歴史をCGで再現している。
「ブラタモリ」「所ジャパン」などのTV番組から小学館「サライの江戸」シリーズなどのムック本など、江戸時代を中心に歴史に関係するCGモデルを作成する業界の第一人者。

 アニメ関連ではufotableとの仕事が主であり、『活撃 刀剣乱舞』の歴史CG作成や『鬼滅の刃』シリーズのモデリング協力として参加している。

 氏のサイトにも掲載されている精密に作られたCGモデリングは必見です。


最後に

 今回はufotableの「デジタル映像部」について紹介しました。現在、世間で高く評価されているufotableや新海監督作品などの『映像美』に関する部分の評価は『撮影』による力が大きいです。その撮影処理技術と高いクオリティの3DCGが上手く融合することで、ufotable独自の世界観が生み出されています。ufotable作品特有のCG背景と作画の融合、撮影処理による世界観の表現に今後も注目してみてください。


 では、最後に2021年発売『月姫 -A piece of blue glass moon-』のOPアニメーションで本記事を締めさせていただきます。ufotableデジタル映像部のこれまで蓄積してきた撮影・CG技術を駆使した映像となっており、ufotableの撮影・CG技術の高さを実感できるアニメーション映像となっています。




読んでいただきありがとうございました。

次回は『⑦《制作部&シナリオ制作編》』です。


関連記事はこちら↓↓↓



参考資料・出典↓↓↓






・GOD EATER 3 ミナト「ufotable」OPアニメーション1万字報告書 ~コンテ演出栖原隆史、武中敬吾による映像解説書~
・テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス テクニカルワークブック
・ブラック★ロックシューター THE GAME OPENING ANIMATION OFFICIAL COMPLETE WORKS

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