映像美への追及 / 内製と連携を重視するクリエイター集団「ufotable(ユーフォーテーブル)」とは⑤《美術部編》


アニメスタジオ・ufotable(ユーフォーテーブル)について解説・考察する記事第5弾。今回は「美術部」についてです。ufotable作品の世界観を作り上げる「背景美術」について紹介します。

※2024年2月更新

前回の記事はこちら↓↓↓



ufotableの背景美術の歴史 / 美術部設立までの歩みとスタジオ・イースターから受け継がれる技術

背景美術にも定評があるufotable。その精巧な背景を手掛ける美術部門が社内に誕生したのは2009年、本格的に社内中心で手掛けるようになったのは2014年以降となります

2000年の設立当初より現・美術部チーフの海老沢一男氏が背景美術として参加していますが、当時はまだフリーの美術スタッフとして活動していたため、正式なメンバーではありませんでした(2007年までに所属になっています)。

初期のufotableの美術は『住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダー 』(2003)をスタジオパインウッド『ニニンがシノブ伝』(2004)をスタジオ風雅、『フタコイ オルタナティブ』(2005)とOVA『テイルズ オブ シンフォニア THE ANIMATION』第1期(2007)を草薙、OVA『テイルズ オブ シンフォニア THE ANIMATION』第2期&第3期(2010 - 2012)をスタジオ天神が担当するなど、基本はバラバラな美術専門スタジオが担当していました。

そして、2006年から2014年のufotable内製メインに切り替わるまでの背景美術はスタジオ・イースター(美麗な背景美術に定評のあるP.A.WORKS作品や動画工房作品を中心に活動する美術専門スタジオ。かつては旧ufotable本社があったビルと同じ建物で活動)が担当。『コヨーテ ラグタイムショー』(2006)『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』(2007)『劇場版 空の境界 全8章』(2007 - 2010)『GOD EATER(プロモーションアニメ)』(2009)『Fate/Zero』(2011 - 2012)『劇場版 空の境界 未来福音』(2013)までの背景美術を担当しました。

その後、ufotable美術部の本格始動に際して、スタジオ・イースターより、衛藤功二氏と矢中勝氏の2人が移籍し、新たに新人の美術スタッフの育成に参加しました。2020年時点のufotable美術部は海老沢氏、衛藤氏、矢中氏の3名を除くと業界歴10年未満の美術スタッフしか所属していない、まだまだ若いチームです(2020年10月時点。2021年には経験豊富な2名のスタッフが他所より移籍)。そのため、スタジオ・イースターと共に制作していた時期や、イースターから移籍した衛藤氏らによる新人指導も含め、設立当初にスタジオ・イースターより受けた影響は大きく、スタジオ・イースターの技術を濃く引き継いでいます。

ufotableの背景美術の歴史 / 美術部設立後

2009年に美術部を設立。活動を開始したのは2010年発売のOVA『テイルズ オブ シンフォニア THE ANIMATION テセアラ編』より。設立に伴い海老沢一男氏が美術部チーフとなります。当時は海老沢氏のほか、實方由佳氏、金玟芝氏、印山亜希氏の3名(2020年現在は3名とも既に退社)が美術部に参加し、アニメの背景美術工程の一部のみを下請けするスタジオの一つとして活動を開始しました。そして、翌年の2011年10月に公開されたOVA『みのりスクランブル!』とOVA『ギョ』にて美術部としては初のメイン背景を担当。

その後、2011年から2012年に放送されたTVアニメ『Fate/Zero』にて、メイン美術を務めるスタジオ・イースターと各話交代制で美術を担当。4話、5話、11話、16話、18話、20話のメイン美術を担当した後、21話から最終話まではイースターと共同で美術を担当しました。
そして、2009年の設立から2013年までの4年間で力をつけ、2014年放送のTVアニメ『Fate/stay night[UBW]』より全話数で自社メインの美術制作を開始2014年以降の作品では美術監督なども含め背景美術をufotable美術部が主に担当しています

設立後は主に衛藤功二氏が中心となり背景美術や美術CGを手掛けていますが、この数年間のうちにufotable社内からも生え抜きの美術監督が誕生しています。今後は様々な作品で社内生え抜きスタッフが美術監督として活躍していきそうです。

美麗な美術を生み出すための育成制度 / 業界歴10年未満の若手スタッフによるチーム

前述の通り、2020年時点のufotable美術部は中心となる海老沢、衛藤、矢中氏の3名を除くと、まだ業界歴10年未満の若手ばかりで構成されています。具体的に記載すると、業界歴50年以上の大ベテランである海老沢一男氏、業界歴が20年近いスタジオ・イースター移籍組の衛藤功二氏&矢中勝氏の3名を除けば、2020年時点の所属スタッフで唯一の移籍組(京都アニメーション)&美術部在籍年数最長である樺澤侑里氏でも業界歴7年。残りの所属メンバーは全員がufotable出身者ですが、その中で在籍年数最長である鬼頭裕子氏は業界歴5年、眞鍋和棋氏が業界歴4年、加藤弓絵氏が業界歴3年、陳堃氏と李高霖氏が業界歴2年、残りの7名は業界歴1年。つまり所属スタッフ16名のうち、13名が業界歴7年未満で、その多くがまだまだ業界内でも新人と呼べるほどの経歴しかないスタッフが多いのです(※2020年10月時点。2024年時点での所属人数は経験豊富なスタッフの移籍や新卒入者などもあり、全20名に)。

しかし、近年のufotable作品ではEDクレジットを見ても分かる通り背景美術の多くが内製で制作されています。世間で高く評価される背景美術を、この若手チームがなぜ表現できているのか。各々の基礎技術の高さももちろんあるでしょうが、理由のひとつは徹底した育成制度にあると思います。

美術部では入社したばかりの新人スタッフに対して現在の美術で主流であるデジタルペイントを使用した背景美術の制作を禁止しており、その代わりにポスターカラー(絵の具)を使用した筆による手描き(アナログ)のみで背景美術を手掛けることを要求します。これは美術スタッフ全員の総合的な画力の向上を目的として行われているもので、基準となる技術が身に付くまで行われるそうです。また、ufotable美術部チーフの海老沢氏はデジタルが一切扱えず、ポスターカラーの手描き背景のみで活動しています。その影響もあり、ufotable元請作品の多くで現在もアナログ背景が採用されることが多く、海老沢氏の美術監督作品ではアナログがメインとなるため、スタッフ全員がアナログ背景の技術を身につける必要があるのです

基礎的な技術指導は海老沢氏がメインで行っていますが、それ以外の実践的な教育は衛藤氏がメインで行っているそうです。衛藤氏はufotable移籍当初、海老沢氏以外は新人ばかりであった美術部の実力に不安を覚えていたそうですが、アナログ美術をメインに教育させる海老沢氏の教育方針の影響で全員がレベルの高い画力を既に備えていた影響もあり、業界特有の知識を教えるだけで、僅か数か月で仕事を任せられるレベルにまで直ぐに成長したとのことです。

ufotableの美術の現場は、海老沢氏のもとでアナログ背景、衛藤氏のもとでデジタル背景やCG背景など背景美術に関する様々な技術を学べるほか、作画部や仕上げ部、デジタル映像部と距離が近いため、レイアウトから色彩、CG、撮影処理などのアニメーションの知識を総合的に学べる場となっています。若手スタッフの実力の高さは、教育制度の充実やセクション同士の距離の近さに理由があるのかもしれないですね。

アナログ・デジタル・CGを組み合わせたハイブリットな背景美術

ufotable作品の美術ボード、背景美術の制作を担当する美術部。その美術には主流となっているデジタルペイントの背景美術だけではなく、ポスターカラーを使用した手描きのアナログ背景も多く使用されています。これは、美術部チーフの海老沢氏がポスターカラーと筆を使用したアナログ背景しか描けない点からufotableでは各作品でアナログ背景も積極的に採用しており、その流れからデジタルとアナログの双方の背景美術をひとつの作品の中で同時に採用しています。また、『劇場版 空の境界 第四章』や『衛宮さんちの今日のごはん』のように主にアナログ背景メインの作品もあります

また、衛藤氏が加入した際、『Fate/stay night[UBW]』にて彼がデジタル映像部の作るCG表現に興味を持ち、直接その技術を教わったことをきっかけに、美術部内で「ufotable美術3Dチーム」を2016年に結成。デジタル映像部の制作するCG背景の監修のほか、背景CGモデルの制作も行うことがあり、同じフロアの隣同士で活動するデジタル映像部と密に連携しながらCG美術制作を行っています。本格的に背景CGを多用するようになったのは2016年の『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』や2017年の『Fate/stay night[HF]第一章』であり、両作品ともに街一つをCGで組み立てるという膨大な作業を行っています。ここで得た技術が後の作品にも生かされているようです。

以上のように、美術部ではデジタル映像部と連携して、デジタルペイントやアナログ、3DCGが融合したハイブリッドな背景美術の制作に取り組んでいます。

デジタル映像部との連携 / 3Dモデルの積極的な採用

上記のように、美術部では同じフロアで隣同士のデジタル映像部と連携した背景美術作りを行っているのが他のスタジオとの大きな違いです

背景美術を制作するうえで欠かせない美術設定(美術全般や作画におけるレイアウトを描く際に必要な詳細な設定集)や美術ボード(美術監督の描く背景の指針となる背景美術。色見本のようなもので、これを参考に美術スタッフが背景を描くこともあれば、美術ボードをそのまま背景画として流用することもある。また、色指定なども美術ボードを参考に色を設定する)。この設定資料の制作段階からデジタル映像部のCGスタッフは美術の構築に参加しています

CGスタッフは美術設定や美術ボードを元に、美術スタッフ監修のもとで物語の主要となる建物や自然風景などの簡易CGモデリングを制作します。CGモデリングを制作する理由は、個々でとらえ方の変化する遠近感やレイアウトのほか光や影などを含めたライティングなどの認識を細かく統一するため。これにより、スタッフ全員が遠近感やライティング、レイアウトの認識を統一できるほか、ある程度の画面設計がすでに終わっているため美術スタッフが背景画を描く際の作業時間を大きく短縮でき、余った時間を利用して美術のクオリティを上げることができます。そして、美術設定、美術ボード、3D素材を美術の作業前に事前に用意しておくことで、これらの設定や素材を活用して監督や美術監督が想定する背景美術に限りなく近い美術を描くことができ作業中のエラーを最小限にとどめることが可能なため、最終的に美術監督が背景画を修正する手間を大幅に減らすことができます。また、作画スタッフが3Dレイアウトを活用するときにも事前に作られた背景CGモデルを流用することができ、作画と美術の双方のクオリティで維持・向上に役立っています

また、ufotableでは前述の通り衛藤氏を中心に「ufotable美術3Dチーム」を美術部内に立ち上げて2016年放送の『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』より本格的に活動を開始しています。このチームはCGスタッフと共同で背景CGの制作・監修を行っています。チーム結成後はufotable作品でCG背景を採用する割合が過去作から格段に増えており、『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』の湖の都市・レディレイクや『Fate/stay night[HF] 第1章』のアクションシーンにおける冬木の街など、街1つを3DCGで制作する取り組みも行っています。撮影処理も加わることで、奥行きやリアリティがありながら作画と組み合わせても違和感なく溶け込むCG背景が生み出され、ufotable作品の大きな特徴の一つとなっています

デジタル映像部との連携 / 撮影処理によるライティングの表現

背景美術でCGの工程以上に美術と密接にかかわるのは撮影です。ufotableでは美術と撮影はライティングや空間の表現、Photoshopを扱う点など、作業の役割が近く、時には同じ作業をする立場として扱われることもあります。そのため、デジタル映像部では美術ボードを作成する段階で撮影スタッフが深く関わっており、照明効果やライティングについて美術スタッフと撮影スタッフが密接に連携してufotable作品の『光』や『陰影』を表現しています

ufotable作品特有の光の表現のほか、自然現象の表現も両部門が連携し、どこまでを美術で表現し、どこまでをCGで表現するのかを模索しながら制作しています。特に雲や水の表現に関しては、『Fate/stay night[UBW]』での雲や『空の境界』での水の表現に感動した衛藤氏の要望も強く、各作品にて雲や水のCGが積極的に採用される傾向にあるようです。一方で、制作作品の作風に合わせてあえてCG表現を抑えることもあり、アナログ背景主体の『衛宮さんちの今日のごはん』や『鬼滅の刃』での美術による雲の表現など、作品の世界観を尊重してCGを極力使用していないこともあります。

以上の点から、ufotableでは背景美術と3DCGが撮影処理で融合したハイブリッドな画面作りを行っており、これがufotable独自の世界観を生み出しています。


所属スタッフ紹介

東京スタジオ《美術部》 2024年2月時点

美術部には2024年2月現在、20名の美術スタッフが所属しています。そのうち、美術監督経験者は6名です。また、業界歴5年未満のメンバーが多いという、若いスタッフの多いチームとなっています。

では、以下に代表的なスタッフを紹介します。

・海老沢 一男(えびざわ かずお)

 御年70歳(2023年)。日本アニメーション黎明期の1969年より背景美術を手掛ける業界歴50年以上の大ベテラン現在の日本のアニメ業界で背景美術のキャリアが最も長い人物の一人です。過去の参加作品としては、『ルパン三世 ルパンVS複製人間』のピラミッドのシーン、『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の火星、『風の谷のナウシカ』の腐海、『魔女の宅急便』のキキが魔法を失くす夜のシーン、『AKIRA』のメイン美術など、多くの有名作品で美術スタッフとして活躍しました。

ufotableではufotable結成時の第1作品目、バラエティー番組『うたばん』のジングルで放送された「うたまるくん」のアニメーションにて美術監督を担当。それ以降もフリーの美術スタッフとして在宅勤務をしながらufotable作品や他スタジオの作品に参加していました。その後、2007年までにufotable所属となり『劇場版 空の境界 第四章』にて11年ぶりの美術監督を担当。同作ではほぼ全てのカットの背景美術をアナログによる手描きで一人で描いています。

デジタルペイントが主流となっている背景美術ですが、海老沢氏はデジタル機器を扱えないため、現在でも紙と筆、ポスターカラーを使用した手描きの技術で背景美術を描いています。この手法が2009年に正式に設立されたufotable美術部にも受け継がれ、チーフに就任した海老沢氏のもとでスタッフ全員がアナログ背景の技術を身に着けているそうです。

美術監督をやりたがらない性格もあり、1997年以降は美術監督の仕事は一切引き受けていませんでしたが、『劇場版 空の境界 第四章』では美術監督を担当。2018年にはWebアニメ『衛宮さんちの今日のごはん』にて初のアニメシリーズの美術監督を務めました。

ufotable作品に出てくる手描き背景の多くは海老沢氏が手掛けており、特に「花」のカットの美術を手掛けることが多いです。近年では「鬼滅の刃」第4話の「藤の花」のカットを担当しています。また、建造物の美術にも定評があり、『空の境界 第四章』の病院のカット全般や『空の境界 未来福音』の路地裏のカット、『Fate/stay night[UBW]』の衛宮邸を手掛けました。

海老沢 一男 氏 美術監督作品
・うたばん(2000年)
・魔界戦記ディスガイア2(2006年)
・ドラゴンシャドウスペル(2007年) - 三宅昌和氏、井藤早織氏と共同
・魔界戦記ディスガイア3(2008年)
・劇場版 空の境界 第四章 伽藍の洞(2008年)
・トリコ JSAT2009版(2009年)
・セイクリッドブレイズ(2009年)
・ミマナイアクロニクル(2009年)
・ギョ(2011年) - 中久木孝将氏、桑原悟氏と共同
・みのりスクランブル!(2011年)
・Fate/stay night [Réalta Nua] PS Vita版 OPアニメーション(2012年)
・劇場版 空の境界 未来福音(2013年):池信孝氏、衛藤功二氏と共同
・劇場版 空の境界 未来福音 extra chorus(2013年)
・衛宮さんちの今日のごはん(2018年)




・衛藤 功二(えとう こうじ)

 スタジオ・スパロー出身。菊池正典氏のもとでポスターカラーの背景技術を教わる。2003年にスタジオ・イースターに移籍してアニメーション美術に初めて参加。以降、2013年のufotable移籍までに『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』、『STEINS;GATE』、『PSYCHO-PASS』などの人気作品で美術監督を務めた。

ufotable作品参加のきっかけは『劇場版 空の境界』。第二章から美術スタッフとして参加。当初は数カットのみの手伝いのはずが、スタッフからの評判がよく、第五章で50カットの仕事を任される。その仕事の評価からスタジオイースター代表の東潤一氏より第六章以降の美術監督に推薦された。

六章&七章での仕事が評価され、TVアニメ『Fate/Zero』でも美術監督を担当。その後、『Fate/stay night[UBW]』制作決定時にufotableよりスタジオではなく衛藤氏個人に依頼が来たことでufotableへの移籍を決意。同じくイースターで働いていた同期の矢中氏と共にスタジオ・イースターを退社して2013年にufotable美術部に移籍しました。その後はufotable作品の多くで美術監督を担当し、現在は現場を統括するリーダー的ポジションとなっています。現在のufotableを代表する美術監督

海老沢氏と共に新人教育にも力を入れており、社内美術チームの育成も担当しています。衛藤氏はufotableについて、撮影やCG部門と直接連携が可能であり、制作から完成映像までをすべてチェックできることによる「こだわりや責任感が生まれやすい」ufotableの制作環境を高く評価しています。

CGに関しては、『Fate/stay night[UBW]』で取り組んだUBW展開時の空のCG美術に影響され、デジタル映像部でCG技術を教わり、以降の作品で積極的に使用しています。特に、2016年以降に衛藤氏が結成した『ufotable美術3Dチーム』監修のもと、CG背景の起用が近年急速に増加しています。

当初はフォトリアルな美術を目指しており、3~4日間をかけて写実的な背景を描いていたそうですが、2014年以降の美術監督担当作品ではリアル志向ではあるが、ディテール(線)の数を減らしたり、細かいところを描き込まずに塗りつぶすなどの取り組みをおこない色彩を引き立てることにより、写実的ではなく『絵』であることを意識した美術を描くようになったそうです。これにより、作画を引き立たせる背景美術になったほか、1カットの制作期間も半日~1日未満と大幅に短縮し、社内での内製率も飛躍的に上がっているとか。衛藤氏の最終目標は『社内スタッフのみでTVシリーズの背景美術を完全内製する』こと。現時点で技術面はクリアしており、後は枚数をこなすという課題だけだとか。近年のクレジットや作業の効率化が上手くいっているところを見る限り、達成まではあと少しのようです。

衛藤 功二 氏 美術監督作品
・劇場版 空の境界 第六章 忘却録音(2008年)
・劇場版 空の境界 第七章 殺人考察(後)(2009年)
・ゴッドイーター(2010年)
・ゴッドイーター バースト(2010年)
・アニメ店長×東方Project(2010年)
・Fate/Zero(2012年)
・劇場版 空の境界 未来福音(2013年):池信孝氏、海老沢一男氏と共同
・ゴッドイーター2(2013年)
・Fate/hollow ataraxia(2014年)
・Fate/stay night [Unlimited Blade Works](2014年 - 2015年)
・ゴッドイーター2 レイジバースト(2015年) - 平柳悟と共同
・活撃 刀剣乱舞(2017年)
・劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] 全三章(2017年 - 2020年)
・鬼滅の刃(2019年) - コンセプトアート(矢中勝氏、竹内香純氏、樺澤侑里氏と共同)、美術監督(1話、2話)、美術監修
・劇場版 鬼滅の刃 無限列車編(2020年): コンセプトアート・美術監督(矢中勝氏、樺澤侑里氏と共同)
・月姫 -A piece of blue glass moon-(2021年)
・テイルズ オブ アライズ(2021年):矢中勝氏、樺澤侑里氏、池之上由紀氏と共同
・鬼滅の刃 遊郭編(2021年 - 2022年)
・鬼滅の刃 刀鍛冶の里編(2023年)
・鬼滅の刃 柱稽古編(2024年)※美術監修で参加




・矢中 勝(やなか まさる)

 2003年にスタジオ・イースターに入社。2013年のufotable移籍までに衛藤功二氏と共に美術監督としての経験も積んでいます。2013年に衛藤氏に同行する形でufotable美術部に移籍。2015年の『GOD EATER』で美術監督に就任後は、『GOD EATER』シリーズや同シリーズ開発チーム関連の作品にてアニメーションパートの美術監督を担当しています細やかな街の設計が得意な人物であり、複雑な街の構造を繊細に描いています。

鬼滅の刃』では第1話の町や浅草など町関連のコンセプトアートを担当したほか、全26話中22話分の美術監督を担当。『無限列車編』でも全体的な美術ボードの統括をしており、衛藤氏が現場をコントロールしつつも、本シリーズの実質的な美術の統括を務めました

矢中 勝 氏 美術監督作品
・­アニメ版GOD EATER(2015年 - 2016年)
・GOD EATER 3(2018年)
・CODE VEIN(2019年)
・鬼滅の刃(2019年) - コンセプトアート(衛藤功二氏、竹内香純氏、樺澤侑里氏と共同)、美術監督(全26話のうち22話分を担当)
・劇場版 鬼滅の刃 無限列車編(2020年): コンセプトアート・美術監督(衛藤功二氏、樺澤侑里氏と共同)
・テイルズ オブ アライズ(2021年):衛藤功二氏、樺澤侑里氏、池之上由紀氏と共同
・鬼滅の刃 柱稽古編(2024年):樺澤侑里氏と共同




・樺澤 侑里(かばさわ ゆり)

 京都アニメーション美術部出身。2013年に京都アニメーションに入社後、2014年まで活動。その後、2015年末にufotable美術部に移籍。2016年の『GOD EATER メテオライト編』から美術スタッフとして活動を開始。『Fate/stay night[HF] 第一章』以降、各作品で美術監督補佐を務め衛藤氏をサポートし、2019年、『鬼滅の刃』にてコンセプトアート、美術監督(11話・14話)としてデビュー。ufotableの中でも自然物が得意な美術マンであり、手描きのような影を入れるのが特徴。『鬼滅の刃』のコンセプトアートでも物語序盤に出てくる山全般のコンセプトアートを担当しています。

樺澤 侑里 氏 美術監督作品
・鬼滅の刃(2019年) - コンセプトアート(衛藤功二氏、矢中勝氏、竹内香純氏と共同)、美術監督(11話・14話)
・劇場版 鬼滅の刃 無限列車編(2020年): コンセプトアート・美術監督(衛藤功二氏、矢中勝氏と共同)
・テイルズ オブ アライズ(2021年):衛藤功二氏、矢中勝氏、池之上由紀氏と共同
・鬼滅の刃 柱稽古編(2024年):矢中勝氏と共同




・鬼頭 裕子(きとう ひろこ)

 2015年にufotableに入社。『Fate/stay night[UBW]第2期』より美術スタッフとして参加しています。『Fate/Grand Order × 氷室の天地 〜7人の最強偉人篇〜』第3話にて初の美術監督を務めました。美術マンとしては『鬼滅の刃』で浅草の町の旗を全て担当。今後の活躍が期待される美術スタッフの一人です。

鬼頭 裕子 氏 美術監督作品
・Fate/Grand Order × 氷室の天地 〜7人の最強偉人篇〜 第3話(2017年)




上記5名の他にも、『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』では眞鍋 和棋(まなべ かずき)氏と加藤 弓絵(かとう ゆみえ)氏が美術監督補佐として参加しています。眞鍋氏は美術3DチームとしてCG背景モデルのモデリング制作も多く担当。加藤氏は絵の具のような水彩美術が得意です。また、陳堃(チェン・クン)氏は2年目ながら『無限列車編』の煉獄邸などの美術を担当し、衛藤氏から「天才肌」と評される実力の持ち主です。彼らが元請作品の美術監督として将来、活躍するかもしれないですね。また、2021年からは美術スタジオ「アニメ工房婆娑羅」に所属して京都アニメーション作品等、多くの作品で背景美術や美術監督として参加し、ufotable作品にも複数参加していた日高 綾美(ひだか あやみ)氏がufotable美術部に移籍して活動を開始しています。




今回はufotableの「美術部」について紹介しました。彼らの作り出すアナログ・デジタル・3DCGの融合した背景美術は各作品の世界観を構築するうえで大きな役割を果たしています。背景美術にも注目してアニメーションを見ると、新しい発見があるかもしれません。ここまで読んでいただきありがとうございました。

次回は『⑥《デジタル映像部編》』です。


関連記事はこちら↓↓↓



参考資料・出典↓↓↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?