『詐欺電話に延々と応対し時間を浪費させるAIおばあちゃん、O2が開発』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.11.18
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■詐欺電話に延々と応対し時間を浪費させるAIおばあちゃん、O2が開発
英国の通信キャリアO2が新しい詐欺電話対策AIを発表しました。「デイジー(Daisy)」と名付けられたこのAIは、優しい声のおばあちゃんとして詐欺師と会話を行い、意図的に時間を浪費させます。
猫の話や編み物の話など、とりとめのないおしゃべりを続けることで、最長40分もの間、複数の詐欺師と同時に会話を継続します。最新のAI技術により、詐欺師の発言をリアルタイムで理解して対応。
高齢者設定により、遅い応答や少々ずれた返答も自然に見えます。もともと電話詐欺のターゲットが高齢者であることも、「AIおばあちゃん」に気づきにくくさせます。
そして、英語ならではのAIボイスの違和感のなさも見事です。実際には「AIおばあちゃん」にはビジュアルはありませんが、リップシンクもスゴイ精度です。
逆に言うと、英語圏ではこのレベルでフェイク動画や詐欺電話が展開されているということでもあります。。
Google Pixel9の詐欺電話対策との違い
昨日、GoogleがPixel 9シリーズに搭載した詐欺電話対策について紹介しました。通話中の会話をAIが監視し、銀行を装った口座情報の要求など、詐欺によくあるパターンを検知すると即座に警告してくれます。ユーザーはAIの存在を意識することなく、この保護機能を使えます。ITリテラシーが高くなくても、特別な操作は不要です。将来的には、SNSやウェブ閲覧でのフェイクニュースや極端な意見の検知にも広がっていくでしょう。
O2とGoogleの対策を比べると、Googleは警告によって詐欺被害を防ぎ、O2は詐欺師の時間とリソースを奪います。両方の利点を組み合わせれば、より強力な詐欺対策が作れます。
キャリアにAI会話を引き継げれば最強
O2はイギリスの主要な携帯電話キャリアで、NTTドコモなどにあたる会社です。つまり電話回線の接続を担っているわけで、もう一工夫すれば、今回の「AIおばあちゃん」による詐欺師との会話時間引き延ばし作戦をより効果的にできます。
現在のO2のシステムでは、スマートフォンで詐欺電話に応対している間は端末が使えません。キャリア側でAIが詐欺電話を検知したら、即座にAIおばあちゃんが会話を引き継ぎ、ユーザーのスマートフォンを解放できると、誰もが「AIおばあちゃん」を使えます。
ユーザーは詐欺師との会話から完全に解放される
通話料金の心配が不要
キャリアの通信基盤で大規模な対応ができる
詐欺電話のパターンデータを集めてAIの性能を向上させる
長時間、電話をロックされてしまうという唯一の欠点を解消できるのが、キャリアにAI会話を引き継がせる方法だろうと思います。
詐欺AIとAIおばあちゃんのバトル
将来、詐欺師側もAIを使い始めるでしょう。しかし、それは防御側に有利に働きます。AIとAIが延々と会話を続けることで:
人間が詐欺被害に遭うことはなくなる
詐欺師側のAIの手口を学習して防御を強化できる
詐欺グループの時間と電話代を奪える
詐欺ビジネスの収益が落ちる
こうなってくると、詐欺師も電話で高齢者を狙うということもなくなってくるはずです。
AIで詐欺ビジネスを破壊する
O2の「AIおばあちゃん」とGoogleの詐欺検知システムは、それぞれ異なる方法で詐欺から人々を守ります。これらをキャリアレベルで実装すれば、詐欺被害は確実に減ります。
日本の携帯キャリアにも同様のシステム導入を期待します。技術の進歩により、詐欺対策は「被害を防ぐ」だけでなく、「詐欺ビジネスモデル自体を成り立たなくする」という新しいステージに入りつつあるのかもしれません。