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『アバターの「自分寄せ」がブームに?BondeeやSNOWからトレンドを読み解く』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.1.29

■クリエイターから人気を集めるアバターSNS「Bondee」ってなんだ

Bondeeは自身の分身となるアバターを作成し、ユーザー同士で交流するサービスだ。アバターは髪型や顔のパーツから自由にカスタマイズ可能。肌の色は当然グラデーションの中から選ぶこととなる。そして思い思いの服装やアイテムを装備し、自分好みのアバターへと仕立て上げる。

3Dにキャラが動いていると「メタバース」と呼んじゃうのはアレとして、「Bondee」が密かなブームです。

自分の部屋があり、自分の分身であるアバターがいて、友達同士でLINEっぽいUIでメッセージを送れるアプリです。

部屋には家具が並べられハコニワ的な楽しみ方ができます。

キャラがメッセージを運ぶ感覚は昔懐かしい「ポストペット」を彷彿とさせます。

そのゾンビ版「ゾンビメール」というのもありましたね。

アバター+ハコニワ+メッセージングというパッケージは、冒頭「アレ」だなといいつつ「実用的なメタバースのひとつの姿」かもしれません。


■アバターを自分に寄せるブームが来ている?

この「Bondee」はアバターをカスタマイズして見た目を変えられます。
自分に寄せることも、理想的かっこよ像にも、全く別人にも作ることができます。

でも最近は「自分に寄せる」のがブームになってきつつあるように感じます。

ゲームのキャラメイクでも自分に寄せる派、寄せない派と別れていましたが、ネット界隈では「寄せる」のがブーム。

「自分に寄せる」は軸としても、少しだけよく見せたいのは本音。

AIピカソが「自分の理想の姿を描ける」というキャッチコピーの「AIアバター」機能をリリースしました。

SNOWも、自分の写真から学習させて「自分に寄せた」でも「少しだけよく見せたい」を叶えるAIアバター機能をリリースしました。

ただ

SNOWのAIアバターの仕上がりは芸能人の皆さんにはあまり評判は良くないようです…

Instagramの「盛る」思想に疲れてきた反動での「素の自分」を表に出すことにポジティブな流れ。それが仲間うちだけで「盛らない」写真を共有するアプリ「Be Real」の登場につながりました。

TwitterのPFP(Profile Picture)アイコンにNFTをはめるのも、BAYCのサルを自分に当てはめるようなブームは昨年早々に過ぎ去りました。「サルは自分じゃない」という感覚、単なる金持ちやイノベーター自慢という批判も多く、またNFTコミュニティの連帯を表すというユーティリティも「似たようなアイコンが並び個人識別ができない」という問題から批判的な風潮となりました。

そんな流れから「アバターやアイコンを自分に寄せる」ブームに帰着したのは必然です。


■アバターと思考や行動に関する研究

アバターを自分に似せる・似せないに関して面白い研究があります。

以前、Vtuberの方にインタビューした時に、どれくらい自分に似せて作ってるんですか?とうかがったところ、『ほくろの位置は自分と同じにしている』とか、少しでもこれは自分の一部なんだと感じやすくされている方がけっこういたんです。完全に別物ではなく、何かしら自分と地続きのアバターにしたいという思いを持っている方もそれなりにいるのかなと思います。

完全に似せ切らなくても「ほくろの位置を同じにする」だけで自分のアバターであるという認識や愛着を持てるという感覚、

若者を対象に、アバターの影響を使って自分の性格や能力を自由自在に変えられるような時代が来たら、そんな「なりたい自分」になれるアバターをどんなふうに使いたいのか、エッセイを書いてもらって分析してみました。驚いたことにみんな使いたくないと言うんです。そういうアバターを使うと、本来の自分と理想的な自分とのギャップを感じてしまい、“自分はそんな人間じゃないのにまるで人を騙しているような感覚になる”、“罪悪感が芽生える”といった意見が寄せられました。

かつて言われた「メタバースではなりたい自分に自由になれる」というメリットを否定する、自分とかけ離れたアバターは罪悪感すら感じるという感覚、

これらも最近、そして今後はアバターが自己投影され「寄せる」「似せる」ことがトレンドになるだろうことを示唆しています。

ほくろ程度の寄せ方だと他人から見て寄せたようには伝わらないはずですが、大事なのはアバターが分身である共通感覚を自分自身が感じられるかどうかです。ほくろで共通感覚を持てる人もいれば、もっと顔全体を寄せた方が共通感覚を持てる人もいます。

そしておそらく結果的に、多くの人がある程度自分に似せた(少し良く見せた)アバターを使うのがトレンドになるのだろうと思います。

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