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『街のインフラを皆で点検してEarn「TEKKON」で持続可能な社会を』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.11.29

■社会貢献型Web3アプリ「TEKKON」

「TEKKON」は、インフラ老朽化の課題に対し、市民が力を合わせて撮影・投稿、レビューし合うことで、インフラの安全を確保することを目的とした社会貢献型Web3アプリです。

マンホールをはじめとする社会インフラの「写真を撮影・投稿する」もしくは「投稿された写真をレビューする」ことで、報酬(インセンティヴ)となるポイントを得ることができるリワード機能を有し、ポイントを使って相棒となる犬のレベルを上げたり犬の数を増やしたりすることで、獲得できるポイントが変わるようゲーム設計されています。

プレスリリース自体は「TEKKON」のアップデート情報と今週から始まったイベントの告知なのですが、「TEKKON」自体をご存じない方も多いと思うので基本情報からご紹介したいと思います。

これから人口減が続いていく日本では、街中のインフラ老朽化対策に人手や予算を割くことが難しくなると考えられています。

「まずは危険個所の早期発見から」なのですが、今でも公的セクターだけでは人数が足りず、また市民からの通報が自発的に来る時には老朽化が深刻なレベルで進んでいる状態なことも多いはず。

そこで考えられたのが市民参加型×Earn要素を織り交ぜたweb3型インフラ老朽化発見ソリューション「TEKKON」です。


■「TEKKON」について(以下プレスリリースから引用)

「TEKKON」は、インフラ老朽化の課題に対し、市民が力を合わせて撮影・投稿、レビューし合うことで、インフラの安全を確保することを目的とした新・社会貢献型位置情報ゲームです。

マンホールや電柱をはじめとする社会インフラの「写真を撮影・投稿する」もしくは「投稿された写真をレビューする」ことで、報酬(インセンティヴ)となるポイントを得ることができるリワード機能を有し、ポイントを使って相棒となる犬のレベルを上げたり犬の数を増やしたりすることで、獲得できるポイントが変わるようゲーム設計されています。

アプリ名:「TEKKON」
利用料金:無料
ダウンロード方法:
 iOSアプリ版:App Store(iPhone)配信
 Androidアプリ版:GooglePlay配信
対象機種:
 iOSアプリ版:iPhone(iPhone6s 以降 OS ver.15)
 Androidアプリ版:Android(Android 以降 OS ver.7)
サービス一般開始日:2022年10月17日(月)


■今回のアップデート内容

プロット機能

今回新たに追加される「プロット機能」は、対象インフラの位置情報のみの投稿を可能とする新機能です。

これまで、「場所の選択(位置情報)」「写真の撮影・投稿」が1セットとなっておりましたが、位置情報のみの投稿だけでもポイントを獲得することが可能となり、写真撮影に適さない夜間等にも遊んでいただけるようになります。

位置情報+写真投稿がセットだったところを、位置情報だけでも投稿できるようにしたのが今回のアップデートの概要です。

・夜間にしか参加できないユーザーも取り込めること
・位置情報のみの場合は写真つきの投稿比で20%のリワードEarnに制限することでコストを抑制できること
・位置情報だけでも点検が必要な地点を絞り込めて一定の業務効率化が図れること
・最終的に「プロユーザー」が現地を確認してEarn対象かを確定させるフローがもともとあり手間は変わらないこと

が今回のアップデートでの運営側の視点だと思います。

この度、「プロット機能」の実証イベントとして、渋谷エリアを対象とした「電柱聖戦 in 渋谷〜プロット編〜」を2022年11月28日(月)~12月15日(木)の期間※、開催いたします。

「TEKKON」はリアルフィールドを舞台としたサービスであるため実地×実ユーザーでのテストが欠かせません。期間とエリアを限定して狙い通り機能するかを確認するのは良いですね。


プロットコンプ宣言機能

ユーザーが実際に該当エリアを歩き、プロットが正しく行われていることを確認したら、プロットコンプ宣言を行うことができます。複数人によるコンプ宣言が行われると、当該エリアでは追加のプロットはできなくなります。複数人によるコンプ宣言後、プロユーザーによる最終確認が行われ、最終的なプロットデータが確定します。

「プロユーザー」の最終確認の効率を上げられる仕組みが、一般ユーザーをバリデータとして活動させる「プロットコンプ宣言機能」です。

仕組み上イタズラ投稿もできてしまうため、投稿されたすべての地点をプロユーザーが確認するのは非効率です。そこで複数のユーザーが「確かに問題がある」と投稿した箇所に限って点検することでハズレを引かない確率が上がります。

行きづらい場所などでコンプ宣言が機能せず見逃されてしまうデメリットがあるかもしれませんが、投稿された写真で個別に判断すればコンプ宣言の有無によらず見逃しは防げるはずです。


■社会課題を解決するweb3の有用性と課題

広く「楽しみながら稼げる」という意味でPlay to Earn(P2E)という言葉を使いますが、「TEKKON」は持続可能性が高いP2Eになり得ると思います。

[予算目途が立つ]
Earn原資がユーザーのNFT課金額に依存せず、もともと行政予算などで確保すべき点検費用が充てられること

[絶対不可避]
インフラの老朽化は長期的に社会問題化するため、いつかは必ず修繕や撤去など手を加えなければならないこと

[楽しみで人数確保]
ゲーミフィケーションやto Earnの要素を加えることで、行政の内部スタッフや業者発注で賄える人数を大幅に超えて動員できること

などが挙げられます。

逆に課題を推察すると

[行政予算の確保する契約が大変]
市民参加型の「TEKKON」も他の民間点検会社も行政から見ると同じ発注先です。両方組み合わせることで効果を高められるはずですが、「TEKKON」は新しいサービスなのですぐに予算を確保するのが難しい自治体も多いと思います。場合によっては入札や随意契約申し込みの要件を満たさず行政予算を充てられないと判断するところもあるでしょう。

[予算の縦割り問題]
ガードレール・カーブミラー・橋などの修繕は国土交通省、都道府県、市町村などの道路管理者が管轄しています。送水管は水道局の管轄、送電線は地域電力会社など民間の場合が多くあります。
つまりEarn原資を払う契約が結べていない管轄のインフラの場合はインセンティブポイントを付与できません。
本来は広く社会インフラすべてをユーザー参加型で点検できた方が結果的にインフラ維持コストを低減できるはずです。国が包括的に「TEKKON」を活用するなどと決めなければ、Earnできる対象とできない対象に分かれてしまいます。

[国が事業化する可能性]
トークンを扱う都合か、「TEKKON」の運営元法人Whole Earth Foundationの所在地はシンガポールとなっています。形式上は国外法人であるため、インフラ点検と整備などを全力で委託するのが難しいかもしれません。
上記の通り本来は国を挙げて活用した方が効果的なので、本腰を上げた際に同じスキームながら別のサービスを国家予算で作らざるを得なくなる恐れがあります。つまり国が「TEKKON」の競合サービスを作ってしまうパターンです。
ウォーキングアプリも民間やSTEPNなどいろいろあるのに国や自治体が別アプリを作ってしまう例がありました。普及させるのが巧くない国や自治体より適切に民間委託できた方が効果的だろうと思いますが、競合サービスを作られてしまうと予算確保が難しくなります。

[他にも運営課題はいろいろあるが]
フィールドワークであるため日本全国・世界各地を網羅するためのマンパワーが運営に必要だとか、トークンEarnの法整備が追い付いていないだとか、集めたデータの機微性から国家機密的なものになりかねないだとか、撮った写真から得られる情報の悪用を防ぐ必要性だとか、いろいろ難しい点を思いつきはします。

でも社会問題をweb3で解決するソリューションとして非常にエレガントだと思いますし、応用範囲も非常に広そうです。

住民の少ない地方都市や諸島部などでも有効だろうと思いますし、今後Earn対象インフラを増やす、エリア拡大するなどして社会全体が持続可能になるための基盤サービスになる可能性を秘めていると思います。「TEKKON」の展開に注目です。

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