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『グーグル、生成AIによるバーチャル試着機能をアップデート--男性にも対応』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.11.19


■グーグル、生成AIによるバーチャル試着機能をアップデート--男性にも対応

 米国時間11月16日から、男性向けのトップスを検索すると、Abercrombie、Banana Republic、J.Crew、Under Armourなど数百のブランドの服が、「try-on」(試着)アイコンとともに表示されるという。この機能は、いろいろなサイズの服を実際の人間が着たときにどう見えるかを示すため、AIを利用して本物のモデルが衣類を身につけた画像を生成する。Amazon、Walmartといった大手のインターネット企業や小売業者は、ホームショッピングとバーチャル試着体験の強化を目指しているが、今回の動きもそういった取り組みの最新の例だ。

画像生成AIを使ったバーチャル試着のサービスを、Googleが提供。これは強力です。

このサービスは3つの影響を与えます。

・ECでの衣類販売を一層普及させます。試着ができないことでオンラインで服を買わなかった層に対して、生成AIが安心感を与えます。

・EC事業者のコストダウンを促進します。また結果として衣類と体形に関する数値データがインターネット上に充実します。

・生成AIを自分自身では使わない層にも、洋服のオンラインショッピングを通じてAIの利用体験を広めます。

ひとつずつ見ていきましょう。


ECでの衣類販売を一層普及させる

試着ができないことでオンラインで服を買うことを躊躇している人はまだまだ多いと思いますが、似た体形のモデルデータが服を着た画像や映像を見ることができれば、試着なしで服を買うことの不安をひとつ取り除けます。

この少しの安心感で一度でも買って、それが「ちょうどいい感じ」なら、そのブランドやショップについては次も買って大丈夫だなと思えると思います。

 Googleは試着する服のイメージをAIで生成しているが、その服のサイズ感を示すには実際の人間を使っている。バーチャル試着機能を担当するグループ製品マネージャーShyam Sunder氏は6月の記者会見で、このショッピング機能を開発するために80人のモデル(女性40人、男性40人)を採用したと述べていた。

今回のGoogleのソリューションはトップス限定で、ようやく男女に対応したところです。ボトムスや小物にはまだ対応していないため、コーディネートの確認まではできません。

また、服を着るモデルは実在の人間です。モデル側を生成AIで作ってはいません。そのため、より自分に近いモデルを作り、それに服を着させるという細やかさはまだ実現できません。モデルがAI生成になれば、歩かせたり街中のシーンに置いてみることも可能になりますが、それもまだです。

しかし、ボトムスや小物に対応させること、モデルをAI生成に切り替えることは時間の問題でしょう。

自分が着た時のしっくりくる感覚を味わうには実際に着るしかありませんが、動く、シーンが変えられる、他のMOBキャラと組み合わせて馴染むか見る、など、実店舗で試着するよりリッチな体験ができ、リアルな着せ替え人形遊びのような感覚でECで服を買うことが未来は当たり前になるかもしれません。


EC事業者のコストダウンを促進、結果として服のデータが充実

中国では「WeShop」がアパレル系ECでの生成AI試着ソリューションを開発したというニュースを以前お伝えしました。

「WeShop」のニュース内でも触れましたが、アパレル系ECでは服を売る際に、モデルを雇って服を着せてプロのカメラマンが撮影するのが最高級の対応です。しかしコストと時間がかかります。

これを生成AIに置き換えることで大幅なコストダウンが図れることはもちろん、撮影ロケーションの自由度を高め、モデルとカメラマンとロケ場所の日程調整を不要にし、天候にも左右されずに安定的にECサイトを運営できるようになるというメリットもあります。

これらを実現する「WeShop」と同じソリューションを、Googleという超巨大プラットフォーマーが提供するというのは、アパレル業界に対してものすごく大きな影響を与えるはずです。

また、モデルデータに生成AIで上手に服を着させるために必要なデータが追加入力されることで、これまで丈や渡りくらいしかなかった数値データの種類が増えます。

データの種類が増えてくれば、業界的に標準化されるはずです。
素材の柔らかさや光の反射など、これまでデータとして入力されなかったものが業界標準化され必ず入力されるものになれば、どのECサイトでも安心して生成AIのモデルを参考に服を購入することができるようになります。

このデータを応用して映画の撮影に生成AIのモデルを使ったり、服だけを差し替えたりすることもできるようになるかもしれません。


生成AIを自分自身では使わない層にAI体験を提供

https://www.transcosmos-cotra.jp/report/generative-ai-utilization-survey-for-personal-use-2023

調査にもよりますが、生成AI、特に画像生成AIは、使ったことがない人が多いのが現状です。

しかし衣類の試着を生成AIで、となると、これまで生成AIを使ったことがない層の人でも生成AIを使う体験をするようになります。

ゼロから何かを生み出すわけではありませんが、使ってみる体験がひとつでもできると生成AIに対する安心感も生まれるものです。


今回は3点に注目して挙げましたが、Googleのアパレル向け生成AIのソリューション提供は、アパレルEC、映像業界、一般への生成AI普及など、広範にわたって大きな影響を与えそうです。

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