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『理想のブロックチェーンを考える。SCPを知ったら別の未来が見えた。』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.12.23

■理想のWeb3ブロックチェーンを考える  ~ Storage-based Consensus Paradigm の衝撃 ~

今のイーサリアムにおけるレイヤー2やロールアップも、やっていることはコンピューティングの切り離しである。負荷の高い計算部分を切り出して、結果だけをイーサリアムに保存して完全性を担保するというやり方だ。そうすることで処理能力を上げようとしている。が、それなら最初からコンピューティングを持たない方がシンプルだよね、というのがSCPであるという理解だ。

そういう意味で、イーサリアムは画期的ではあったが、現実的に考えると中途半端なのかもしれない。機能の付け足し付け足しで何とかしようとして、どんどん複雑化しているように見える。もちろんそれを否定するわけではないが、最初に言ったように、私はシンプルな方が好みである。全てオンチェーンで行くならInternet Computerでいいし、オフチェーンならSCPでいいと思う。

ブロックチェーンはL2やロールアップなどの技術改善を積み重ねて直線的に進化するものだという感覚を大きく変えられた記事のご紹介です。

エンジニアの方には広く知られていることなのかもしれませんが、

ビットコイン、イーサリアムの次の第3世代ブロックチェーンとして密かに期待しているのが、DfinityのInternet Computerである。これであればWebもストレージも、全てオンチェーンで完結し、先進的な開発言語やInternet Identityという素晴らしい認証の仕組みもある。

と紹介される「Internet Computer」や、

SCPのコンセプトを簡単に言うと、コンピューティングとストレージの分離である。イーサリアムでは全てのフルノードでスマートコントラクトの計算が行われるが、それはある意味リソースの無駄であり、永遠に全体のボトルネックになるという考え方だ。ブロックチェーンをあくまでストレージとして利用することで、ブロックチェーンの透明性や信頼性と、従来のWebシステムが持つ性能や可用性を両立させようとしているのがSCPである。

計算結果だけをブロックチェーンに書き残すだけにする発想である「SCP」など、現在のイーサリアムチェーンとはかなり異なるブロックチェーンの使い方が模索されていることを初めて知りました。

確かに今のイーサリアム&EVM互換チェーンを改善することには限界があるかもしれず、特にSCPという発想は短期間で現状の課題を解決できそうな可能性を感じました。

そうなると今のイーサリアム&EVM互換チェーンが覇権を取らない未来もあり得る、ようにも思います。


ブロックチェーンに感動した原点

エンジニアではない自分がweb3、ブロックチェーンに感動したのはマーケター目線でのサービス開発の自由度の高さでした。

「お金」すら国など権威組織のお墨付きを不要とする発想で、一般人が大勢で承認することをもって「信頼してよいデータである」とすることができる。その結果ビットコインやNFTアートなどに代表されるデジタルデータを売買しても大丈夫であると信用することができる。

ブロックチェーンの相互承認を信頼の素とすること、そのブロックチェーンをワールドコンピュータとして自由にプログラムを動かすことができる環境に仕立てることができるイーサリアムの仕組み。

これらをどう使うか次第でこれまで実現できなさそうだったサービスが作れそう。これが「面白そう!」と思った原点です。


今のブロックチェーンは「遅い」「扱えるデータが小さい」

しかし今のブロックチェーンは「遅い」「扱えるデータ容量が小さい」などの問題があります。他にも「ガス代が高い」「難しい」などの問題もありますが、コンピュータの歴史を考えるといずれ解決されるのだろうと、エンジニアではない自分は楽観的に考えていました。今でも楽観的です。

レイヤー2、ゼロ知識証明などによる「スケーリング」つまり高速化も、すごいエンジニアの人たちが日々進めていることだし、ムーアの法則的に加速度的にスピードアップしていくのだろうと。

つまり、今のブロックチェーンがそのまま高速化されていくのだろうという感覚を持っていました。


データが信用できればいい

原点のところに著しましたが、結局サービス開発という目線では「データが権威組織のお墨付き以外で信用できればいい」のだと感じます。

ならば計算処理自体をフルオンチェーンで行う必然性はありません。L2がやろうとしていることも同じで、計算結果だけをチェーンに記録すればデータは信用していい、という発想のもと、別のチェーン上で計算してその結果だけを本体チェーンに書けば本体チェーンの負荷が下がるし処理が早くなるよね、というものです。

SCPでは計算と保存は完全に切り離され、スマートコントラクトはオフチェーンで実行される。極端に言うと、計算を行うのはAWSでもスーパーコンピュータでも、個人のPCでも何でもかまわない。自由である。それにより、理論的には無限のコンピューティング能力を持つことができる。処理能力が足りなくなればどこからか持ってきて、追加すればいいからだ。これにより、スケーラビリティのボトルネックは無くなる。

オフチェーンで計算させ、結果だけをオンチェーン記録する。このやり方であれば処理が高速化しやすいのはもちろん、処理方法を秘匿化することもできます。

企業がブロックチェーンサービスに参入する時の障壁のひとつが技術ノウハウの漏洩懸念ですが、SCPのやり方であれば担保できるかもしれません。

また開発コストも大幅に下げることができる。Solidityなど特定の言語に縛られないので、任意のプログラミング言語で開発できるのだ。なぜならストレージ上にコードはあっても、実行するのは外部のシステムだからである。外部のシステムがストレージからコードを読み込み、実行し、結果をまたストレージに保存する。そしてブロックチェーンでデータの信頼性が担保される。

データが信用できればいいだけなので、処理言語がSolidityに縛られません。開発言語の自由度が増すということは技術者の確保を容易にしますし、将来の言語進化の自由度も増します。

つまりブロックチェーンを使ったサービスが世の中に普及する速度が大幅にアップする可能性があります。

「データが信用できればいい」に集中することのメリットはとても大きそうに思います。


SCPはオフチェーン部分の代替から?

SCPはとても面白そうだと感じますが、今のメインストリームのであるイーサリアムチェーンの延長線上にはありません。

ETH経済圏は今はブロックチェーン界隈では大きく見えていますが、ブロックチェーン自体がまだまだ広まっていない現状、SCPはじめ全く別のものが主流になる可能性はあると思いますが、今はやっぱりEVM以外を選択しづらい。Flowとか面白そうだなとは思いますが。

時々の時勢で主流以外を選ぶのはなかなか難しいものです。しかしオンチェーンが遅いからオフチェーンで処理しよう、という実装部分をSCP発想にしていくことで徐々に広まっていくかもしれません。


イーサリアムがいない未来も想定しておく

諸行無常だとは思いつつどこかで10年後もイーサリアム&EVMだろうなと思っていたところがあります。

しかし今回の記事を読んで改めて、イーサリアムがいない未来もあり得ると感じました。

その時々でベターな技術を選択はしつつ、ひとつの技術自体に全betするのは視野を狭めてしまうことを改めて肝に銘じます。そのうえで面白い技術はどんどん取り入れていって変化を楽しみたいと思います。

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