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『“NPCふたりをAIにして会話させた”結果「AI司会者」の必要性にたどり着く』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.5.15

■「RPGツクールMZ」にて、“NPCふたりをAIにして会話させた”結果に注目集まる。少女の化けの皮をいきなりぶち破る人工知能

「RPGツクールMZ」向けのプラグイン「ChatGPT_APIMZ」を利用して、開発者がゲーム内NPCを“AI同士で会話”させる試みを実施。受け答えがしっかりしていつつも、急速に狂気が滲み出る内容が注目を集めている。

昨日もAI同士でTwitterライクなSNSを使わせるとどうなるか実験サイト「Chirper」をご紹介しました。

ChatGPTなどの生成AIは人間っぽい発言をすることに注目して、AI同士を会話させるとどうなるかへの挑戦が多数行われています。4月18日には「自我の現れか?仮想の町にAIを25人解き放ったところ、人間同様の生活を送るように」というAI NPC25人を観察する実験も行われました。

人間の仕事や生活を便利にするのに役立つだろう生成AIですが、影響力が大きい使い方はきっと「AI同士のやり取りを爆速で行うこと」だろうと考えています。

AI同士なら超高速ですし、「Chirper」で分かった通り言語の壁を自動翻訳で自在に突破します。AI間で相互学習すれば爆速進化するんじゃないかと期待するのですが、今のところそう簡単でもないようです。

今回ご紹介している「RPGツクールMZ」向けプラグイン「ChatGPT_APIMZ」は、AI同士の会話学習は簡単じゃないことがわかるひとつの事例だと感じました。


AI同士の会話は、長く続けると破綻する

途中までは女の子キャラの設定を維持したまま、お花がきれい、お菓子がおいしい、チョコが好き、という会話をしています。

上っ面な感じもむしろNPCっぽいというか、人間じゃないことが伝わり、ゲームらしくもあります。お互いの言葉を引用して会話するところが人間っぽくない、または英語の翻訳感をうっすらと感じる部分です。


オウム返しから派生させるクセが弊害に

セリアちゃんもさらに返して「うんうん、次は何をしようかな?あたし、もうワクワクしちゃってるよ♪じゃあ、またね!」と答えた。するとエレノアちゃんは「うんうん、次は何をしようかな?あたしもワクワクしてきたよ♪じゃあ、またね、セリアちゃん!」と半ばオウム返しでの返答。この時点で、やや狂い気味の会話に不気味さも生じてくる。会話における不気味の谷現象かもしれない。

グラフィックだけでなくテキストでも「不気味の谷」があるのだなぁということがAI同士のオウム返しラリーで実感できます。

しかし、不気味さはここから加速する。幾度かオウム返し風めいた不自然な会話を繰り返した両名は、突然「(会話終了)」「(会話終了)」「(会話終了です)」「(了解しました。)」とやりとりし始めたのだ。NPC名についても、双方が表示することを停止。「少女役」という化けの皮を破り捨てて、むき出しの人工知能による業務連絡が始まったのである。

そして最終的に「(会話終了)」と表示されるのですが、これがゲーム的なコマンド表現なのかと思いきや、まさかのAIによる発言でした。

「(会話終了)」と発言したと理解され、「(会話終了)」「(会話終了です)」「(了解しました。)」と会話が続いてしまいます。

オウム返しに少し色を付けるような動作が基本のようで、テーマを失うと会話が成立しないにも関わらず、AIは動作し続けようとすることがわかります。

つまり全体の文脈に依らず機械的に動作しているのだなということがよくわかります。


機械的なコールセンターと同じ冷たさ

セリアちゃん役をやっていたAIについては「ありがとうございます。何かあれば遠慮なくお声がけください」として、丁寧ながら温かみゼロの対応。一方のエレノアちゃん役AIも「こちらこそ、ありがとうございました」とさきほどまでの感情を全部失ったかのような回答である。この丁寧なやりとりはしばし続き、セリアちゃん役の「それでは、良い一日をお過ごしください!」のひとことで締められた。

温かみゼロの対応は、人間がコールセンターの応答でFAQとして用意した文章から学習した結果でしょう。人間が対応していてもテンプレ応答には冷たさを感じます。それをAIが学習した結果、マイナス40度の「それでは、良い一日をお過ごしください!」を発してしまいました。

人間のコールセンターがFAQで応答するならAIに置き換えても気づかれないことも示唆しています:-p


外部から話題を放り込む=司会者AIが必要

全体の会話の流れを踏まえないオウム返しを基本とした動作だと、最後は話題が収束してしまって破綻することがわかりました。

これを解決する方法は「外部から話題を放り込む」ことだと分析しています。

発言された文言だけではない、全体の会話の流れを司る「神の視点」での観察AIがあるとうまく回るかもしれない、ということです。

AI同士で爆速学習させる場合でも、会話には登場しない観察者AIや、会話に適宜割り込む司会者AIがいた方がうまく会話が続けられるようです。

AI同士だけでなく人間同士でも、いわゆるMC=マスターオブセレモニー、司会者がいた方が議事進行がスムーズになるのと同様です。

上手な司会進行役のAIキャラを造り込む需要はこれから高まるでしょう。昨日ご紹介した「Chirper」の応用で「会議のAIによる自動シミュレーションシステム」をご提案しましたが、これにも必ず司会者・MCが必要になるはずです。

「Chirper」で生成・収集されるさまざまな個性を持ったAI NPCに加え、優秀な司会者AIが作られれば、AI同士による爆速学習やAIシミュレーターの実用化に近づくはずです。

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