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『【リアルすぎる】新宿のUE5データを無料公開。衛星データをもとにAIが作成、個人での商用利用可』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.1.21

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■【リアルすぎる】新宿のUE5データを無料公開。衛星データをもとにAIが作成、個人での商用利用可

 スペースデータは“バーチャル新宿”のUnreal Engine 5向けデータを公開した。

 スペースデータは実業家の佐藤航陽氏が立ち上げた宇宙関連の事業を展開するベンチャー企業。今回公開されたバーチャル新宿は同社の“デジタルツイン・プラットフォーム”という技術が用いられている。

 これは、人工衛星から取得した地上観測データをAIに学習させ地理空間を理解させて、3DCG技術を用いてデジタルツイン(現実の世界とまるで双子であるかのようにコンピュータ上で再現すること)を自動生成するアルゴリズムだ。

デジタルツインを衛星データ+AIで高速・高精度に作れる技術が公開されました。

デジタルツインは現実世界を3Dの仮想空間に再現する技術のことですが、街中をデジタル空間に再現しようとすると、地形や建物のデータを撮影・計測して回ることが大変すぎました。

今回発表された「バーチャル新宿」は、人工衛星でデータを取り、AIに学習させて3D空間を作らせるという手順を取っています。上からのデータだけでどこまでリアルに再現できるの?という疑問が湧きそうですが、このデモ動画を見る限り、UnrealEngine5の凄さも相まってリアルすぎるくらいリアルです。


東京都デジタルツイン実現プロジェクト

実現を目指す東京都のデジタルツインの姿
「『未来の東京』戦略」(2021年3月)においては、2030年に、「あらゆる分野でのリアルタイムデータの活用が可能となり、意思決定や政策立案等で活用」されることを掲げています。
ここでは、目指す東京都のデジタルツインの姿を、「3D都市モデルやインターフェースが整備・継続的に更新され、全ての対象分野において都市の「何らかの」データが、都・企業・都民の意思決定、都の政策立案に活用できる、可変性を持った仕組みが構築されている状態」と定義しました。
本事業では、2030年までにデジタルツインを実現し、2040年までに継続的な改善サイクル構築に発展することを目指します。

都市のデジタルツインといえば、東京都デジタルツイン実現プロジェクトがあります。

東京都のデジタルツインを作り、都市計画の立案でコストダウンを図ったり、自然災害などの発災時の避難計画を作ったり、下水道など公共インフラの管理に使ったりということが想定されています。

2023年3月に東京都がまとめた「デジタルツインの社会実装に向けたロードマップ 第2版」PDFには、目指すビジョンやデジタルツインを構築することで得られる効果などがとても丁寧にまとめられています。世界中の事例も紹介されており、都市のデジタルツインやリアルワールドベースのメタバースに興味がある人は必読の資料です。

また日常使いでは、都バスのリアルタイム位置情報をデジタルツイン上に表示させることも試されています。バス停でも今のバスの位置を表示するデジタルパネルが置かれているところも既にありますし、渋滞で遅延しがちなバスの現在地がわかるだけで、待つイライラも少し軽くなります。ただ、今見る限り、バスの位置がリアルタイムには動かないようです。


Mini Tokyo 3Dと「地図バカ」

Mini Tokyo 3D は東京の公共交通のリアルタイム3Dマップです。今、実際に動いている列車や発着している旅客機をリアルな3Dマップ上に滑らかなアニメーションで表現します。これは、現実世界とそっくりな双子をデジタルの世界に表現した「デジタルツイン」です。

ユーザーは自由に3Dマップ上を動き回り、見たいところにズームインして東京の「今」を知ることができます。路線図として乗り換えルートを調べる、出かける前に目的地の街と天気を下調べする、列車を自動追跡して沿線の様子をただひたすら眺める、終電に逃さないためにダッシュすべきかどうか列車の現在位置から判断するなど、さまざまな使い方ができます。

鉄道のリアルタイム運行状況をデジタルツイン上に表示するのがMini Tokyo 3Dプロジェクトです。先週X(旧Twitter)上で再び話題に挙がっていました。東京じゅうを電車が走る様子を見ているだけでも楽しく、「ずっと見ていられる」と評判です。

東京都の都バス位置情報よりずっとなめらかで、東京都デジタルツインもこのくらいヌルヌル動いてほしいなと思います。

開発者の草薙昭彦氏は、デジタルツインをリアルタイム鉄道情報に使う実用性を追求したというより「地図バカ」として作り込んだものだとインタビュー記事からは伺えます。

昨日TBSラジオで放送された「立飛グループpresents 東京042~多摩もりあげ宣言~」でも、地図研究家の今尾恵介さんが「地図バカ」という新著発売にあわせて出演、同じく地図バカ&鉄道バカの土屋礼央さんとマニアックすぎる話題で盛り上がっていました。

こういう人たちが作り込むデジタルツインがあると、コストダウンや防災対策だけでなく、エンタメ側のデジタルツイン活用が進むんじゃないかと思えます。


衛星データ×AIでデジタルツインを加速

東京都もデジタルツインを推し進めているし、地図バカな人も世の中にはたくさんいそうなこともわかりました。

ARグラスと組み合わせたデジタルツイン活用も盛んです。

フォートナイトのステージづくりにも使える例から、エンタメでもすぐに活用できます。

しかし大きな課題のひとつが、街全体を撮影しつくす手間とコストです。

Googleのストリートビューのように撮影カーを走らせて、すべての道路を撮影する方法だと、デジタルツインがいつ完成するのかわかりません。

衛星データは昔からありましたが、AIに食わせて3D空間を自動構築する技術が編み出されたことで、より広いエリアのデジタルツインを高速に作ることができるようになりそうです。

東京都など行政機関から、民間の推進企業、果ては市井の地図バカまでが、デジタルツインの使い道を編み出すにあたって、昨今のAIの進化によって都市のデジタルツインを網羅的に作る目途が立ちそうだという意味で、今回のニュースは朗報でした。

映画など映像作品で、デジタルツインのバーチャル東京を撮影誘致して世界に発信するような、エンタメでの使い方のほうに個人的には関心があります。未来の映画ロケーションはデジタルツインの誘致合戦になる、というのもあり得そうな予感がします。

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