『AmazonもAI参入。Microsoft×OpenAI「ChatGPT」、Google「Bard」にどう対抗するか?』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.4.16
■アマゾン、人工知能分野で新サービス「Bedrock」と「Titan」を発表
AIというより「ChatGPT」が流行っているとも言える現状、マイクロソフト陣営に第一想起を奪われたGoogleは「Bard」という名のAIで追従を図っていますが、今度はAmazonがライバルサービス「Bedrock」と「Titan」を発表しました。
ChatGPTに対抗するGoogleはgmail、goolgeカレンダー、googleマップ、Androidスマホなどコンシューマを含む多くの人が普段使いしているサービスにAIが組み込まれることで生活の中にAIが溶け込むという逆転シナリオが描けます。
そしてもう一角のライバル、今回のニュースであるAmazonはクラウドサービス「AWS」の普及率の高さから開発者にサービス開発しやすい環境を提供することでシェア獲得を狙うシナリオが描けます。
ChatGPTが急速に話題になってからたった1か月なはずなのですが、論調が既に王者vs挑戦者と見られているところもAIらしいスピード感なのかもしれません。
既存AIとのアライアンス戦略
後発のAmazonは、単独でAIだけを発表するのではなく既存のAIソリューションとセットで利用できる環境を提供するようです。
特に画像生成AI「Stable Diffusion」は初期登録不要で誰でも触れたことから、マイクロソフト・OpenAI陣営が有する「DALL・E2」よりも使用感がわかっている開発者が多い印象です。
画像生成AIを活用したオリジナルサービスを作ろうと思った時、使い勝手がわかっているStable DiffusionがあるからAmazonのBedrockを選ぼう、というかたちでリーチするアライアンス戦略は後発ならではです。
しかし今後はマイクロソフト・OpenAI陣営も自社開発したAIだけでなく他社のAIを取り込んでリーチを広げる戦略が採れるわけで、動画系AI、音楽系AI、自動プログラミングAIなど専門用途別AIで優れたものが開発されれば奪い合うという状況が続くでしょう。
ユーザーがAIで便利になる手前で、目的特化型AIソリューションを開発した会社がM&Aされ爆益を得るフェーズが今年後半かもしれません。
データ漏洩対策と汚染問題に対応
AIを使う時によく、情報漏洩への懸念が語られます。
プロンプトに機密情報が入力されるとAI側に入力データが取り込まれてしまい、第三者がAIを利用した結果出力に混じって機密情報が表示されてしまうのではないか、という懸念です。
これは別の視点から見ると、AIユーザーが入力したデータで元のデータモデルが「汚染される」とも捉えられます。
大勢が気にしている情報漏洩への懸念への対処と同時に、データ汚染の問題も起こさない、顧客ごとの仮想プライベートクラウドで閉じて利用できることを特徴として謳っています。
この部分を強く訴えているのも、特に企業ユーザーや各国政府などが気にするポイントが「情報漏洩」であることが明確になってきた今参入発表をする後発ならではです。
GAFAMのうち3社のAI競争
当初「GAFA」と4文字で呼ばれたメガIT企業も、OpenAIとChatGPTのおかげで5文字目の「M」=マイクロソフトが一躍最も注目を集めるようになりました。
Meta社も独自の大規模言語モデル「LLaMA」を発表しましたが、メタバースが幻滅期に突入し、同時にAIブームが来てしまった都合の付け焼刃に見えなくもありません。
AppleもAIに関する動向がよく見えません。
Siriは初期の設計に問題があり、Siriの延長線上に現在のような生成系AIは作れないようです。つまり作り直した方がマシな状況。
何らかのAI開発は進めていると思いますが、目立った動きは今のところ見えていません。
今回のAmazonのAI参入発表で、サードパーティーがAIソリューションを開発するベースとなるメインプレイヤーはMicrosoft・Google・Amazonの3社に絞られるのではないかと思います。
ユーザーとしてはこの3社が競争することでより使い勝手の良いAIサービスが早く安く提供されるのは(どこかが独占するよりは)よいことです。
しかしWeb2.0の次の時代もGAFAMの影響力は維持されそうで、まったく新しい勢力が登場したりweb3的DAOがGAFAMに伍する状況が生まれたりするにはもう少し時間がかかりそうです。