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『地方の"実用系"メタバース事例 桑名市「メタバース役所」武蔵野大学「登校できるメタバース」』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.2.28

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■桑名市「メタバース役所」の実証実験始める

桑名市は、年金や介護に関する相談などの行政サービスをインターネット上の仮想空間で受けられる「メタバース役所」の実証実験を26日から始めました。

武蔵野大学は「登校できるメタバース」を作り、三重県桑名市は「メタバース役所」を作りました。

この2つの共通点は"実用性"です。

桑名市の「メタバース役所」は

電子申請のサポート、住民相談、市民の交流活動支援のあわせて3種類のサービスを受けることができます。
このうち「住民相談」では育児や教育、介護、年金などに関する相談を受け付けています。

と、実際に役所が提供するサービスを提供していますし、

武蔵野大学の「登校できるメタバース」は

令和6年度に通信教育部で始動する予定で、林教授は「デジタル技術を活用し、集う人が相互作用し、教室のあり方や学び方を転換していく時期に来ている」と話している。

通信教育部で単位が取れるようにしています。

3D空間である必要性がどこまであるかはともかく、実用性を持たせようとするメタバース活用の方向性は正しいと感じます。


地方×メタバースの過疎化問題

地方創生の文脈でメタバースを作るブームが2年くらい前にありました。まとめサイトに挙がっているもので成功と言えるものはないように見えます。2年前のブームの頃から少し遅れて立ち上がったプロジェクトがそのまま止められず、今ごろになって立ち上がったような地方系メタバースも名残りとしてありますが、これも厳しいだろうと思います。

共通の課題は「過疎化」です。

メタバースに限らず観光情報サイトでも地方物産ECサイトでも、流行らせることが大変です。たびたび批判してきた箱モノ系メタバースは、来訪の動機となるコンテンツが薄く、継続的なイベント開催や広告宣伝など集客努力もなく、単に地域のランドマークを3Dで作っただけのものが多いのが共通点です。これでは自ずと過疎化します。

鳥取県のメタバース課はどうなってるんでしょうか。当該ページにはアクセス方法すら載っていません。⼈⼝最少県が取り組む「メタバース関係⼈⼝」創出を目的に掲げていますが、税金を使ったこの取り組みで何人の関係人口が創出され、そのうち何人が今でも関係維持できているのでしょうか。


無人店舗の寂しさ、歩く苦痛

地方の物産をオンライン販売する系メタバースは少し実用性があるように思えるかもしれませんが、そもそも人が来ないところではモノは売れず、商品を並べているだけで店員はおらず、検索もソートもクチコミもない、という単に不便なECサイトになっています。これでは売れません。

3D空間を歩いて移動すること自体に意味がなく面倒なことも多いです。歩くことが意味なく疲れるだけなのに、メタバースという言葉に引っ張られて3D化してしまうことの弊害です。この弊害に対処するために「龍が如く8」や「ゼルダ」など多くのゲームでは目的地近くまで瞬間移動する機能を当然に搭載しています。


バラバラに作られるバースの分断

地方系メタバースは、かつてのホームページのようにバラバラに作られ、それぞれに集客努力をしなければならない状況です。

ホームページはYahoo!のようなリンク集、Googleのような検索によって各々がつながった状態になり、ECサイトはAmazonや楽天市場、メルカリのようなプラットフォームサービスに個店が集約されていきました。いずれもポータル化の流れです。

同じアバターで、地続きのようにそれぞれのメタバースを行き来できるなら良いのに。と常々思います。場所がつながり人が往来できるようになり、マーケティングも共通化できれば、メタバースの過疎化防止にも寄与するだろうと思います。


役所、学校など過疎化が問題にならない秀逸

話を戻して桑名市の「メタバース役所」、武蔵野大学の「登校できるメタバース」はいずれも実用性を軸に作られており、かつまた幼児のある人だけが使うという大勢が来ることを求める必要がない設計になっていることが秀逸です。

つまり過疎化の問題が起きないのです。

また、「メタバース役所」でも「登校できるメタバース」でも、利用者・学生だけでなく、職員の働き方をメタバース化することにつながるのも未来の可能性を感じます。

リアルな地方の過疎化によって職員の確保が難しくなることにも、日本全国世界各地からスタッフィングしたり職員を共通化させるなどで対処しやすくなるでしょう。地方公務員の場合は法改正が必要な部分もありそうですが。

台風や地震災害などで通勤できない場合も、無理して通勤せずにオンラインで対応できるようになると安全性が高まります。職員だけでなく、住人・学生も現場に来る必要がなくなり、皆の安全性が高まります。

箱モノ系メタバース、関係人口の創出というマジックワードに頼らない、地方の実用系メタバースは、エンタメ系の大型メタバースとは別の進化と普及の仕方をしそうだなと興味深く見ています。

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