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『PITAKA 3つのNFCショートカットボタンを備えたスマホケースを発売。スマホの物理ボタン回帰が来る』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.5.23

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■PITAKA 3つのNFCショートカットボタンを備えたGalaxy S24 Ultra用ケース

スマホにアプリをたくさん入れすぎると、どこに何があるかわからなくなりますよね。

よく使うアプリを最下部に4~5つだけ置いたり、用途ごとにフォルダを分けたり、最近ではAI専用デバイス「rabbit r1」のように声でやりたいことを伝えて操作する試みもされています。

そんなアプリが多すぎて探せない問題の解決策として、スマホケースに物理ボタンをつけて、よく使うアプリを割り当てて、押したら起動できるようにしてしまおうという便利な製品がPITAKAから発売されました。このボタンはNFC PinButton™と商標登録もされています。

SamsungのGalaxy S24 Ultra用が現在予約販売中で、1週間ほどで届くようです。

9,999円とスマホケースにしては超高額と言わざるを得ませんが、Apple Watch用のカーボンバンドで定評のあるアラミド繊維を使用し、スマホに接触する部分には高級なナッパレザーを採用、加えてMagSafeに対応させる磁気吸着リングが仕込まれていたりと、価格に見合う質感と利便性は備えているようです。

他社も含めて廉価版が出そうな予感はしますが、増えすぎたアプリを平らな画面から探すのに限界が来つつある現在、AI専用デバイス普及までの過渡期においては物理ボタンでの問題解決はアリな気がします。


NFCタグシールでアプリ起動の応用版

起床時にベッドサイドのタグで天気予報や株価のアプリを開いたり、自動車内ならプレイリストを起動したり、体重計に貼ってアプリを開くなどでもOK。
ビジネスならポスターや名刺に貼って特設サイトや連絡先へ誘導させたり、クーポンの配布など工夫次第で何でもできちゃいます。

技術的には、かなり昔からあるスマホでタッチして任意の動作をさせるNFCタグシールと同じです。

PITAKAのNFC PinButton™でどこまでプログラマブルに設定できるか次第ですが、これまでNFCタグシールの活用方法で編み出された使い方は参考になります。


Amazon Dash Buttonも物理ボタンソリューション

技術的にはNFCではなくWi-Fiですが、Amazon Dash Buttonというのも昔ありました。押したらAmazonに注文が飛ぶというもので、デジタルの物理ボタン化は変わってるなぁと思いましたが、終了してしまいました。

Amazon Dash Buttonは定期便の再注文に使う想定でしたが、Alexaに声で注文したり、通常通りAmazonアプリで再注文する方は未だに好調なようです。

定期便とはいえ、止めたり商品を変更したりはしますから、カスタマイズできない物理ボタンは無理があったのかもしれません。


NFC PinButton™が役立つシーン

PITAKAのNFC PinButton™はもちろんカスタマイズできます。

プロモーション動画の中では、

・電話中にスケジュールを確認→カレンダーアプリが見つからない
・オンラインMTG中に録音を依頼され、スマホで録音しようとする→録音アプリがみつからない
・ルームランニング中、走っているので揺れて画面がよく見えない→ボタン一発で音楽アプリを起動

という物理ボタンで起動できる便利シーンを紹介しています。

公式サイトでは

・Googleマップを起動
・迅速な支払い(PayPayを起動)
・即時のコンタクト(LINEを起動)

の例が挙げられています。

3つの物理ボタンに割り当てるアプリは変更可能で、よく使うものを設定しておくと確かに便利です。


「2軍のよく使うアプリ」がある人向け

実際のところ、たとえばカメラアプリなどは画面下部の固定位置に置いている人が多いでしょうし、いわゆる「1軍」アプリは迷いなく探せるものです。

乱立する飲食店アプリはどれかひとつを物理ボタンに割り当てることは難しいですし、例示されているGoogleマップは毎日使う人は稀だろうと思います。

「フォルダ」が物理ボタンで開けるなら飲食店アプリやキャッシュレス支払いアプリなどの「一覧」を開くことで便利になるケースはありそうですが、おそらくNFCボタンでフォルダを開くことはできません。

スマホの画面上で一等地に置かれる「1軍」アプリを物理ボタンに引っ越して、画面内の一等地のほうに「2軍」アプリを置くのがベストな使い方かもしれません。


車もタッチパネルから物理ボタンに回帰

余談ですが、自動車も液晶パネル化・アプリアイコン乱立と、物理ボタン回帰が起きています。

Euro NCAPは「タッチパネルの使いすぎは業界全体の問題であり、ほぼすべてのメーカーがキーコントロールを中央に配置したタッチパネルに移動させています。これは、運転手が道路状況から目を離して、衝突事故のリスクを高めるものです」と述べ、2026年から「基本機能を個別の物理ボタンに割り当て、より安全な運転を促進しているかどうか」も評価していくことを明らかにしました。

タッチパネル操作の方が、物理ボタン操作よりもやりにくく、反応が遅れることは、自動車メディア・Vi Bilägareの調査で明らかになっています。

テスラが特に顕著ですが、エアコンの温度やオーディオのボリュームの調整もタッチパネル液晶で操作する、極端に物理ボタンを排した自動車が増えつつあります。

ミニマルですっきりとした車内デザインが実現できますが、車は安全第一、運転中に液晶画面を凝視して操作するしかないのは本当に危険です。

そのため最近では物理ボタンに回帰しつつもあり、またヨーロッパでは2026年からは「基本機能を個別の物理ボタンに割り当て、より安全な運転を促進しているかどうか」という安全評価基準を定めるようにもなるそうです。

最近では「SDV」という言葉も誕生しています。

ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)とは、車と外部との間の双方向通信機能を使って車を制御するソフトウェアを更新し、販売後も機能を増やしたり性能を高めたりできる自動車のこと。

これもテスラがトレンドを作ったと言っていいものですが、スマホのようにソフトウェアの追加やバージョンアップで機能拡張できる車をSDVと呼びます。つまり車のスマホ化です。

今後、SDVの流れから車もアプリアイコンだらけになることも起きそうですから、今のうちに物理ボタンによる安全性確保のルールを作っておくことは重要そうです。


アクションボタン然り、物理ボタン回帰は来るか

このように、手触りのない平らな液晶画面に配置した無数のアイコンから目的のアプリを探すUXに時代的な無理が来ているのだろうと思います。

Apple WatchもUltraからアクションボタンという設定可能な物理ボタンが追加されました(使い道がないという問題はともかく)。そしてiPhone 15 Pro/Pro Maxにもアクションボタンが設置されました。

Appleも認識し、PITAKAから物理ボタン付きケースが発売されるほど、アプリが増えすぎて探せない問題は顕在化しています。今後スマホの物理ボタン回帰が来るのでしょう。

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