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『「Prompt Style」ソフトバンク系列企業が公開。生成AIのプロンプト共有サイトに物足りなさを感じる理由』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.6.20

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■生成AIのプロンプト投稿サイト「Prompt Style」 ソフトバンク系列企業が公開

 ソフトバンクのグループ会社で出版事業を手掛けるツギクル(東京都港区)は6月19日、生成AIのプロンプト投稿サイト「Prompt Style」を公開した。ChatGPTなどのAIチャットサービスで使えるプロンプトを投稿・閲覧できるサイトで、無料で利用可能。19日時点ではビジネスシーンで使えるものを中心に、1000個のプロンプトを用意している。

ChatGPTやGeminiなどテキスト系生成AIのプロンプト投稿サイトや文例集のサイトはこれまでもたくさんありました。必要なシステムは単なる掲示板ですから誰でも簡単に作れます。

そんな中で新たにソフトバンクグループのツギクルが「Prompt Style」
を立ち上げました。

Prompt Styleのサイト

・・・タイトルくらいは設定してほしいです。
そしてプレビューも設定しましょう。。。

生成AIプロンプト研究所(プレビューに未対応)

業務改善に役立つChatGPTのプロンプト文例集(ソフトバンク、記載時は503エラーでアクセスできず)

ここnoteやニュースサイトなどで取り上げられることを考慮していないサイトが多いのはプロンプト共有サイトのクセのようなものでしょうか。


プロンプト共有サイトに物足りなさを感じる

ChatGPTを使い始めると、うまく狙った結果が得られないケースにぶち当たることが多くあります。プロンプトの書き方が上手な諸先輩方に教えを請いたくなりますし、文例をそのまま使いたくなります。

壁に当たりやすい現状のAIの困りごとを解決するのに、UGCユーザー投稿型のプロンプト文例集サイトは役立ちますが、個人的にはちょっと物足りないと感じるのです。

今回は、なぜプロンプト共有サイトに物足りなさを感じるのかを整理してみます。


世界でダントツに生成AIを使わない日本

物足りなさを感じる理由は、プロンプト共有サイトは生成AIの普及に寄与しないだろうからです。

MicrosoftはAI at Work Is Here. Now Comes the Hard Partにおいて、職場における生成AIの活用状況を発表した。データが出ている国別で、日本は「最も最も生成AIを使用しない」ということが明らかになった。

https://agora-web.jp/archives/240612223923.html

生成AIを使わない理由
1 技術の習得に時間がかかる
2 企業の使用規制
3 生成AIのすごさを分かっていない

日本はぶっちぎりNo.1に生成AIを業務利用していない国であることが2024年5月のマイクロソフトの調査で明らかになりました。このことに本当に強い危機感を抱いています。

「1 技術の取得に時間がかかる」は、プロンプトが難しいのではなく、エクセルと連携させる方法がわからなかったり、Pythonを使うことが難しかったり、または現状の業務の中でAIを使えば効率化できそうなところを嗅ぎつけることが難しいことが課題だと考えています。

「2 企業の使用規制」は報道がAIによる情報漏洩を煽り、保守性の高いビジネスサイドが体よく乗っかったと見ています。リスクは回避することもできるため、いま民間企業がAIを積極利用しないのはサボタージュに見えます。

一番の問題は「3 生成AIのすごさを分かっていない」です。AIは一部のギークが使うもの、自分には関係ない、と目をふさいでしまった人は、生成AIのすごさを知る機会がありません。ましてやプロンプト共有サイトは「自分には関係ないサイト」でしょう。

中国の「91%」は、近所の商店街のおじいおばあがやってる店ですら使っているレベルです。生成AIはギークだけのものではありません。


プロンプト共有サイトはわかっている人向け

プロンプト共有サイトを見る人は、既にChatGPTなどを使っている人です。便利さをわかっていて、何に使えるかをある程度わかっていて、もっと使う幅を広げたり良質なプロンプトがほしいと思っている人です。

または、学生やChatGPT導入を検討し始めた企業など、積極的に学びたいと考えている人です。

加えて、先述のとおり、プロンプトの書き方よりも現状のビジネスプロセスを整理できることの方に課題があるため、業務改善コンサルティングやMAツール導入支援などを生業にしていた人にはニーズがありそうです。

とすると、プロンプト共有サイトは「3 生成AIのすごさを分かってい」る人たちだけに使われます。

 同サイトの監修には、元・東京大学松尾研究室の今井翔太さんが参加。今井さんが執筆した生成AI初学者向けの記事「プロンプトエンジニアリング入門」も掲載している。

「松尾研」に響く人はAIにもともと興味がある人です。コピペで誰でも簡単にAIを使えるというのがプロンプト共有サイトの売りですが、やはりターゲットは生成AIのすごさを分かっている人なのだと思わされます。


業務改善の事例共有があるといい

生成AIのすごさを分かっている人を増やす」ことが「日本は32%」を改善するのに重要です。

であれば、たとえば生成AIが業務改善にどのように活きるのかの事例があれば、生成AIの導入が進むだろうと思います。

事例から自社の課題に近いものを探したり、解決に使われたプロンプトと工夫のポイント解説があれば、具体的に自社への応用を検討しやすくなります。

また別の視点ですが、ChatGPTもそうですが、プロンプト共有サイトもテキストばかりだと見る気を失います。

事例をグラフィカルに表現することで、プロンプト共有サイトの「テキストばっかりで見た目が寂しい」という問題も解決できるかもしれません。


聞けば答えてくれるUXにできないか?

「業務上の課題を投稿して解決するプロンプトを募る」という流れもあるとよいはずです。

1000個のプロンプトを並べ、検索して適切なものを探すUXは大変です。ChatGPTは「聞けば答えてくれる」というUXがウケました。なのにプロンプト共有サイトが検索→一覧の操作を必要とするのは古臭く感じます。

課題を解決したいのであって、プロンプトがほしいわけじゃない。
だから生成AIに興味が向かないという経営者は多いだろうと思います。


AIの業務利用拡大に寄与するサイトが理想

これに尽きます。
簡単な投稿掲示板システムで、誰でも簡単にプロンプト共有サイトは作れます。

「Prompt Style」はここに
・ソフトバンクグループのブランド力を付加。
・1000個の事例を事前に用意。
・「元 松尾研」による権威付け。
を加えましたが、「32%」の改善は指向していないところに物足りなさを感じるのです。

同じソフトバンクグループでも「パープレ」の導入はAIのすごさを多くの人に実感させ普及を促進させる効果が高いだろうと思います。

プロンプト共有サイトも、もっとできることがあるはずです。

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