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『パリの超高級ホテル「ル・ブリストル パリ」NFT発行「Real Asset Tokenization」とは?』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.4.7

■パリの超高級ホテル「ブリストル」特典つきNFTを発行!歴史と革新が交差する新たな世界の幕開け

パリを代表するホテル「ブリストル」が、歴史と革新を融合させた前代未聞プロジェクトを発表しました。2023年4月14日にNFT(非代替性トークン)を発行し、これまでにない独占的な特典を提供するという画期的なプロジェクトです。

ホテル「ブリストル」といえば、1925年に開業したフランスを代表する超高級ホテルです。フランス政府が定めるホテルランクの最高位「パラス」の称号をもち、館内のレストラン「エピキュール」はミシュランガイドの三つ星。シェフのエリック・フレション氏はフランス屈指の料理人…。つまり世界中の著名人、富裕層の絶大な信頼と人気を獲得している老舗ホテルなのです。

フランスの老舗・超高級ホテル「ル・ブリストル パリ」がNFTを発行というニュースです。

「ル・ブリストル パリ」は写真で見ても超豪華でエレガントですね。

昨年夏ごろを最盛期に、高級ブランドが猫も杓子もNFT発行、メタバース参入、デジタルファッションアイテムをNFTで販売開始、など、ブームラッシュ時期にはこんなニュースが乱立しました。

しかし今はNFTが下火です。特にNFTアートを投機的に売買する市場は97%減とも言われています。

こんな市況化で出される「ル・ブリストル パリ」のNFTは、これまでの高級ブランドのNFT戦略とは狙いや手段が違います。
いわゆる「Real Asset Tokenization」という手法を採っています。


Real Asset Tokenization(RAT)とは

Real Asset Tokenization(RAT)という言葉を提唱するAlgo Bitzによると

(Real) Asset tokenizationは、有形資産と無形資産の両方をデジタル化し、それらをトークンに変換して、ブロックチェーンに格納する方法です。

Asset tokenization is the method of digitising both tangible and intangible assets and converting them into tokens that are then stored on a blockchain.

としています。

つまり、もともと現実世界で金銭的価値が確定しているモノや権利をトークン化・NFT化することを指しています。

Algo BitzはRAT専用のNFTソリューションを提供することを謳っています。
不動産、ゴールド、株式、債券、自動車という実物資産はもとより、会員権、ゲーム内アイテムなど概念的なものも含めて、現実世界で金銭価値を既に持っているものをトークン化して売買可能にします。

トークン化によって得られるものをAlgo Bitzは以下のように挙げています。

・透明性の向上
・高いセキュリティ
・トレーサビリティ
・改竄できないことによる確実な帰属性の保証
・時間の節約
・流動性の増加(売買しやすくなる、本当に資金を持っていることが確認できている人と取引できる)
・アクセシビリティの向上(小口化して買い手を増やせる)
・トラストレス
・費用対効果を高められる
・中間業者の排除

これらは確かに、実物資産を売買する際の課題ばかりです。どこで誰から買っていいかわからない、詐欺かもしれない、などの不安を解消することができるのがRATです。


「ル・ブリストル パリ」はRATによるweb3参入が適している

今回の「ル・ブリストル パリ」では、いわゆるデジタル会員権としてNFTを発行・販売しています。その会員権に含まれる権利は以下のものが含まれます。

1.11のNFTは11のシグネチャースイートルームに紐づくもので、そこに1泊することができる。
2.6階のパノラマビューのプールへのアクセス。通常このプールは宿泊者専用だが、「クラブレリタージュ」メンバーは週に1度このプールを利用できる。
3.エリック・フレションシェフの秘密のメニュー。
4.ブリストルバーの秘密のカクテル。
5.ホワイトリストに登録され、将来のNFT発行やイベントでの優先権を得られる。
(中略)
気になるNFTの発売価格はおよそ9イーサリアム(約15,000ユーロ=約210万円)。これは「ブリストル」のスイートアパートメントの価格よりも安く、さまざまな特典を考慮すると、お値打ちと言っていいでしょう。

スイートルーム1泊の宿泊料金という分かりやすい金額の比較対象があるおかげで、NFTの価値を分かりやすく保全することができ、「ル・ブリストル パリ」という伝統的なホテルがNFT・web3という新しい分野の革新を取り入れていく際に安全で確実な方法になります。

仮にNFTアート作品を販売するやり方を採ったなら、値段が付かない、完売しない、相応しくない人が投機コミュニティを作ってしまう、買ったあとに価格下落で得意客に損させてしまう、ということが起きかねません。

ゼロから価値を生み出すことができるのはクリエイターにとっては良いことでしょうが、伝統的なホテルで従来からのロイヤルカスタマーを大切にしないといけない「ル・ブリストル パリ」にとってはReal Asset Tokenizationの方が適しています。


NFTアートバブルとRATの実需

Real Asset TokenizationはこれまでのNFTアート市場の問題点をあぶり出します。

ゼロから価値を生み出すことができるのがクリエイターやアートの良いところですが、金銭価値は確定しづらく、また値段が付くこと自体が難しいものです。価値が確定している有名IPならまだしも、無名の新人が絵を路上販売しても買ってくれる人は稀。これが普通です。

そして多くの消費者にとって、アートの金銭的価値を理解するのは困難です。つまり、NFTアートの売買市場が一般大衆にまで広がるのはもともと難しいのです。誤解のないように、NFTアートに価値がないわけではありません。難しいし、バブル的な過剰価値だったということです。

NFTアート市場がもともと小さかったこともあって倍率的には膨らむ余地がありましたが、人数が少なければ頭打ちも早く、かつNFT市場の構成員の多くがアートの理解者ではなく短期投機家だったこともあって、市場が冷めたら脱兎。これが昨今の97%市場縮小の理由です。

それに対してReal Asset Tokenizationは現実社会で確定した金銭価値と比較しますので多くの人にとって理解しやすいのが特長です。そして先述の通り実物資産の売買にはさまざまな課題があり、トークン化によってその課題の多くを解消することができるという実利、NFT化する理由と意味があります。


伝統の維持には革新への挑戦が必要

新聞社が衰退したのはネットやスマホの普及が原因ではなく、グンゼのように時代に合わせた変化、進化、新しい市場への挑戦をしてこなかったからだ、という論評です。

伝統的なホテルである「ル・ブリストル パリ」にとってNFTや暗号資産を使いこなせる若い世代に顧客を広げることは今後も伝統を維持するために非常に重要です。その際にRAT手法でNFTを導入することは最も確実な方法だったと言えるでしょう。

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