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『起業のアイデアはAIに聞く?——60日間で275件を事業創出した「HustleGPT」』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.6.11

■起業のアイデアはAIに聞く?——60日間で275件を事業創出した「HustleGPT」、ChatGPTの指示に従い23件はすでに黒字化

話題の波に乗って起業すると、投資家から投機的だと思われたり、事業設計が甘くすぐに破綻してしまったりすることがある。わずか60日間で6,300人以上のコミュニティメンバーを集め、AI コマンドを使って275の新規ビジネス創出を支援し、そのうち23はすでに利益を上げている。

HustleGPT」の創設者 Dave Craige 氏は、これらのスタートアップを「HustleGPT Startups」と呼んでいる。彼は、HustleGPT が人々の起業への情熱を実現するのを助けるだけでなく、起業家のコラボレーションと教育に力を入れ、AI によるスタートアップ構築の実現可能性を証明すると声明で述べている

ChatGPTに「儲かる事業アイディアを作らせる」ことを期待した人は多かったでしょう。

Dave Craige氏はChatGPTに事業創出させるプロジェクトコミュニティ「HustleGPT」を立ち上げ、60日間で275件の事業アイディアを出し、そのうち8%程度となる23件は黒字化したとしています。

ChatGPTで「儲かるビジネス」が作れるのか!とシンプルに読みそうな記事タイトルですが、読み取り方に注意が必要だと感じました。


起業家が主催するコミュニティが最重要

Craige 氏は現在、6,000人以上が参加するコミュニティ HustleGPT で、40以上のテーマ別のチャットグループに毎日参加し、指示やアドバイスをしたり、メンバーに HustleGPT の最新ニュースを伝えたりしている。

HustleGPT のコミュニティには40以上のテーマ別のチャットグループがあり、何千人ものメンバーが AI に起業のための正しい指示を与える方法、生産性を高める方法、インスピレーションを実現する方法、ChatGPT の指示に従って実際に自分のビジネスを始めてみる方法などについて話し合うことができる。

ChatGPTに上手にプロンプトを与えると「儲かるビジネス」を量産できる、そんな便利なプロンプトやアプリケーションが開発されたのかと思ってしまうかもしれませんが、そうではありません。

起業の仕方、起業後のビジネス展開の仕方を熟知しているDave Craige氏が中心となり6000人以上が参加するコミュニティの中で、ChatGPTに上手に起業アイディアを引き出すプロンプトの工夫や、出てきた事業プランを評価しブラッシュアップする話し合いがなされる、という構造です。

仮に「事業創造プロンプト」だけもらったとしても、多数のアイディアの中から成功しそうなものを選定する眼力、実行する体制や資金や経営者の胆力など、必要な要素が別にあります。

プロンプトが大事なのではなく、事業創出の仕方を知っているリーダーを中心としたコミュニティが重要です。

一番儲かるのはこのコミュニティを有料で主催することかもしれません。いいビジネスアイディアを実行する人には資金を出す、とすれば月額フィーを払う人がそれなりに集まるのではないかと思います。


とはいえ60日で23件の黒字化は爆速

継続できるか、大きくなるか、など別のモノサシは必要ですが、60日間で黒字化まで持っていけるアイディアが出せたことは凄いことだと思います。もちろん実行した人が凄いという面もあると思いますが。

最初の起草段階でアイディアを無数に出せることはとても有効です。また周囲の人やファンド相手の壁打ちによるプランのブラッシュアップをChatGPTに置き換えられるだけでもスピードアップができます。


結局、選択も実行も人間次第

HustleGPT をきっかけに、AI命令を使った起業に挑戦する人が増えていますが、このような起業へのアプローチに否定的な見方をする人もいるようだ。

ニュースサイト「Mashable」のテックジャーナリストで起業家の Cecily Mauran 氏は、HustleGPT の AI 起業の形態は、短期間で一攫千金を狙う方法を示すために作られた「陽気で怖い AI 実験」であり、長期的な起業の解決策にはならないと報告している

上記のような「ChatGPTにビジネスアイディアを出させたって長期的に成功するかは懐疑的」という意見が出るのは少し的外れのようにも思います。ChatGPTが担うのは初期アイディア程度ですから、長期的に成功するかどうかは実行する人次第です。またChatGPTが「短期的な一攫千金」のアイディアしか出せないというのは見くびりすぎです。

できればChatGPTがネット通販サイトとデジタル商材を作ってくれて、SNSマーケティングなども勝手にやってくれて、ボタンひとつで売上だけ作ってくれると最高なんですが、まだまだそんな「ビジネス生成AI」みたいなところまではやってくれません。

ChatGPTが出してきたビジネスアイディアからどれを選択するか、そしてどのように実行するかはまだ人間次第です。成功するかに保証はありません。

今回のように起業コミュニティを通じてChatGPTにビジネスアイディアを出させる一番の効能は「これなら行けそう!」というアイディアをたくさん目にすることでやる気になること、そしてコミュニティメンバーやメンターの人がそのアイディアの穴を潰し、やる気になった背中を押してくれること、場合によってはエンジェル投資してくれるかもしれないこと、かもしれません。


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