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10日間ロサンゼルス旅行エッセイ④

昨日のユニバの疲労と明日の年越しラスベガスに備え、本日はカルチャーアンドショッピングデイ。初日のような何気ないアメリカ人の生活をのぞいてのんびりしよう!という日だ。

まず俺たちが向かったのはロサンゼルスの地元民が愛すダイナーPanns

そうここは映画パルプフィクションの冒頭のシーンのダイナーなのである。

映画興味ない人もポスター一度は見た事あるよね!

店内に入るとそこは映画で見た光景が広がっていた。にわか映画ファンではあるがこのダイナーからタランティーノ流バイオレンス喜劇が始まったのかと思うといてもたってもいられなくなった。

注文はもちろん映画にもでてくるハンバーガーを頼んだ。ただ、初日の脳筋バーガー、ユニバのシンプソンズバーガーを合わせて3日連続バーガー生活を決め込んでしまった。メジャーリーグを目指すマイナーリーガーのような食生活もたまには悪くないと思いながらも、アメリカ3日目にして早くも松屋の牛丼が恋しくなってしまっている自分に気づいてしまった。

アンソニーと映画に出てくる赤いソファのテーブルに移動し、店員さんに写真を撮ってもらった。
その時、1人のAC/DCのシャツを着た高齢のロックおじさんが話しかけてきた。
「HEY!◎△$♪×¥●&%#?!」
まじでネイティブすぎて何も分からなかったが
とりあえず俺達もバンドも好きです!的な事を言っていたら笑顔になっていたのでなんか嬉しかった。するとAC/DCおじさんが店内に飾られてる来店したアメリカのスター達の写真を指さして、
「◎△$♪×¥●&%#?!」
何かを訴えかけていた。いままでの中で一番熱がこもっていた。どうやらあの写真の車は俺のだぜ!すげーだろ!!と言ってるようだ。俺は税関ででくわした野球好きのおっちゃんと同じくオーバーリアクションしたらとても嬉しそうだった。なんとなくアメリカの人は単純な人が多いのかもしれない。俺もそのマインドで毎日生きていくことを目標にしたいと思った。意外と人生というのは素直になる事が幸せになる秘訣かもしれない。
するとAC/DCおじさんは隣にすわってる白髪の女性を紹介してくれた。どうやらおじさんの奥さんのようだ。奥さんはおじさんの正確とは真逆で清楚で品のいい感じのおばあ様という感じで、AC/DCおじさんの事をあなたったら...と呆れながらも幸せそうな笑みを浮かべ、みつめていた。俺もアンソニーも独身だが、こんな老後のひと時を共有できるような相手と結婚できたら幸せなんだろうな。そんな事をふと思った。その後AC/DCおじさんは別れ際にInstagramのユーザー名とサインを置いていった。最後まで可愛かった。そしてどこまで愛くるしい夫婦なんだ。ちくちょう。いつまでも幸せでいてください!

25歳の青春自撮り

俺達はPANNSを出て、周辺エリアを散歩していた。
どのお店に入っても黒人の店員さんばかりで自分が想像しているようなヒップホップカルチャーの街というイメージだった。だが大通りから離れると少し不穏な空気を感じた。道路に並ぶ大量のトレーラーハウス。荷台から野良犬の声が聞こえた。
そこに明らかに目がイってしまってる薬物中毒者が現れた。何も見なかったフリをして目を合わせずに素通りをした。かなりやばい場所に迷いこんでしまっているかもしれない。俺達はただの観光客だ。危険な目にあうわけにはいかない。大通りに避難し急いでUberを呼んだ。今日の運転手はスキンヘッドに丸メガネの韓国人であった。片言の英語でこの地域の話をすると、あまり治安は良くないので長居はしない方がいいと言われた。後から調べたらイングルウッド地区というロスの治安最凶エリアに舞い込んでしまった事が判明した。ただスキンヘッド丸メガネ韓国人の風貌が正直なところ何よりも怖かった。

Uberを利用し、次に訪れた町は、スケーターや古着、いわゆるストリートカルチャーが集う街だった。町中から嗅いだ事のない匂いが漂っていた。おそらくこれが大麻の匂いなのだろう。日本で例えるならば渋谷・原宿のキャットストリートに雰囲気が近いかもしれないけど、それよりかは少し本物の澱んだ空気を感じていた。

古着屋巡りに、ストリートスナップ撮影。俺達のいつもの休日INアメリカを謳歌した。スニーカーやスケーターファッション、窪塚洋介や野村周平の雰囲気が好きな人にはおそらくたまらない街であった事には違いない。俺は現地のNEWERAの店にはいってドジャースのキャップを買った。店員のあんちゃんがここに置いてあるキャップは当店限定だぜ!的な事を言っていたのでのせられてしまった。

ファッキンピーターパン

ストリートエリアからしばらく歩くと今度はセレブエリアに突入した。日本でいう表参道のようなエリアである。スケーターでロン毛のアメリカ人がいたエリアからは一変、セットアップできめてる男、ヘソだしカリフォルニアガールが年末気分で浮かれていた。日本でもみるような有名ブランドのお店が立ち並んでいて、どこの国に行っても資本主義の巣窟を見せつけられる事を実感した。

カリフォルニアポールスミス。インスタ映えスポットらしい。
広告がオシャン

俺達は今日一日を振り返り、資本主義のリアルを痛感していた。トレーラーハウスで暮らす人々、ホームレス、薬物中毒者、リッチカリフォルニアガール、高級車を乗り回すセットアップ男。ここで見た景色は日本と何も変わらない、いやもしかしたら日本よりも振り幅の大きい社会的カーストだった。
アメリカで人気の音楽ジャンルはヒップホップ。
ヒップホップというのはいわゆるラップでアメリカでは貧しい過酷な暮らしをしているような男がライムで成り上がっていく姿に国民が盛り上がっているというのだ。そこには社会的な不安、不満、不平が音楽というカルチャーに乗って爆発的な人気を得ているのだろう。
その国の流行のカルチャーというのはそこに住む人達のルサンチマンなのだ。日本で半沢直樹がひと昔前爆発的な人気を得たのもそういう事だろう。
誰もが対等に夕日を眺めて心を動かす事ができる世の中になったらどんなに生きやすくなるのだろうか。そんな事を考えていた。

少しセンチなラストになってしまったが、いよいよ明日は年越しラスベガス。俺達はUberを呼びホテルに戻った。たくさん休んで明日に備えなくては。

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