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10日間ロサンゼルス旅行エッセイ⑤

ロサンゼルス空港からラスベガスへのフライト。
既に日本は大晦日真っ只中。人々が年越しの瞬間を待ち侘びている時だった。人見知りインドア人間の俺は俺自身の対義語のような人々が活動を行う、ラスベガスに向かっていた。俺×ラスベガスは世界一似合わない異色のコラボレーションだ。そろそろ下北沢の行きつけの喫茶店が恋しくなってくる自分を感じていた。

現地に到着すると、そこには異世界が広がっていた。まるで大規模な電飾。超高層ビル、高級車を乗り回すセレブアメリカ人。同じ世界に住んでいる人間同士だけど、そこは俺が住んでいる世界と時空が違う気がした。

謎のエッフェル塔発見

俺達はラスベガスに来たからにはカジノで遊ぶとういう事を決めていた。とはいうものご存知の方は多いと思うが、カジノというのはホテルの1Fもしくは地下に併設されている。ホテルに向かいいざスロットをやってみるも基本的には負ける。
たまに勝ってもすぐ次のゲームでは赤字になってしまう。俺達は正直なところ3時間程度で飽きがきてしまっている事を実感していた。そこで一つゲーム制を持たせた。カジノには負けた人達がポイ捨てしていく価値のない金券が落ちているのだが、1セント分を10枚集めるとゲームがワンプレーできるのだ。そう地面に落ちている金券を集め、しがないサラリーマンがラスベガスのカジノで一発逆転を狙う、カイジごっこinラスベガスが開幕した。もちろん俺は演技の面もこだわる。

「スロット台がキンキン
に冷えてやがるっ.....!!!!!!!」

某俳優のモノマネを存分に行いながら地べたを這いつくばり、金券を集め、ゲーム中に言葉を口頭で羅列する。一見すると頭のおかしい東洋人であるが、もはや異国の地で羞恥心は無かった。結局絵に描いたような人生大逆転は起きず、黒字にすらならなかったが、なにかリミッターが外れた気がして、テンションが上がっていた。

テンションが上がった俺達はラスベガスの街を一望できる観覧車に乗る事を決めた。観覧車の部屋はかなり広く、異国の方々と同乗する事になった。観覧車は上へと動き始め人々は感動の声をあげはじめた。これがラスベガスの夜景だ。夜になりネオンの灯りが倍増していた。ラスベガスの夜景はとてもあざとくギラついていており、とても自分の器に収まらない景色だなと実感した。そして乗車中、元男子学生である俺達の悪ノリが発動してしまった。乗車した観覧車からは一才日本語は聞こえてこず、東洋人の顔をした人はいたが、中国語らしき言語を喋っていた。そこで味をしめた俺達は、日本語の卑猥な言葉を大声とまではいかないがなんとなく乗客全員に聞こえてくるような声の大きさでお互いターン制のもと、発していくゲームを開始した。
(発した単語については割愛)
普通であれば面白くても不道徳さを感じ、発せないような言葉を発しても、誰も何もビクともしない。この異様な光景がクセになってしまっている自分がいた。俺は決して品行方正ではなく、お酒を飲むとよく人に迷惑をかける。ただお酒を飲み、酔っ払うと人格が変わる人がいるが、それは人格が変わっているのではなく、内に秘めた本来の自分が出てしまっているだけなのだ。そういう意味では社会のルールやモラルに抑圧され、姿を消したもう1人の僕とラスベガスで再開できた気がしていた。そんなところでカッコよくまとめようしているが、要は下ネタが結局一番面白いのだ。
(女性読者の皆様、すいませんでした)


アンソニー足元。俺達の観覧車内の行動と載せた写真の方向性の違いによる解散

ハイになった元男子学生である俺達は、観覧車を降車し、年越しの花火を見るため、ラスベガスの街を徘徊した。

ラスベガス警察の方々がファンサで一緒に写真を撮ってくれた。日本の渋谷ハロウィンと比べたらありえない対応だ。アメリカの大晦日は公職もそのくらいのテンション感になる。むしろアメリカよりも日常で発言や行動を役圧される日本人のイベント事の治安というのは「抑圧からの解放による狂い」というジャンルにおいて世界最狂なのかもしれない。

そんなこんなしてる内に花火が打ち上がった。明けましておめでとう。よろしく2024年。後厄も乗り越えます。

俺達はラスベガスでの冒険を終え、1時間以上かかってしまうがせっかくなので徒歩で空港に向かった。空港に向かう途中、コンビニに寄り、軽食を購入したのだが、コンビニの前に佇む1人の老人が俺達に話しかけてきた。
どうやらお金が欲しいようだ。
中々日本の路上でホームレスからお金をたかられる事はないのでしばらく動揺したが、せっかくのハッピーニューイヤー。自己満なのは分かってるけど、ポケットに入っている小銭をすべて老人に渡した。世の中の全ての物事が幸せへと動き始めますように。

で締めくくろうと思ったのだが、ラスベガスにいるホームレスってどういう経緯で誕生するのだろうか。ラスベガスの周りというのは砂漠で囲まれており、そもそもお金がない人が自力で行き着くには困難な街なのだ。
俺の勝手な考察になるがお金がない人が全ての力を振り絞り、砂漠を徒歩で超え、一発逆転をかけ、ラスベガスのカジノに集まったが、惨敗し、そのままラスベガスに幽閉されてしまっているのだろうか。
とにかくラスベガスでも炊き出しをやって欲しい。

空港に到着し、ロスへの戻りの飛行機に乗車する為、検問所を通過した。そこで事件が起きた。
俺は黒人の検問員に腕を掴まれ、連行され、ディスプレイを見せられた。何か俺に向かって喋っているがディスプレイを見て察しがついた。俺のポケットに何かしらの物体が入っており、それに対して非常に警戒されているような話ぶりでポケットをみせろといわれてるようだ。おれは一瞬ヒヤッとし、何者かにクスリを忍ばせられたかと思い、人生の終焉を感じた。しかしポケットを確認したところ中に入ってたのは昨日の昼飯に食べたパルプフィクションのダイナーで貰ったマスタードだった。
場内検問員は全員大爆笑。新年初笑いを意図せずに勝ちとってしまった。正直なところマジで恥ずかしかった。ただファンサしてくれたラスベガス警察に連行されるような事にならなくて本当に良かった......。

ロスのホテルに到着し、オールナイトで活動した体を労り、就寝した。これにてロサンゼルスツアー前半戦が無事終了したのであった。

前半戦終了。ご愛読ありがとうございました😊

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