見出し画像

SUHOが出来るまで

7月に家賃発生、店舗の名前やコンセプトは決まっていき、そこからポンポンと決まるかと思ったら、なかなか進まずに膠着状態が続く。
とりあえず、ロゴを決めていこうと思い、友人のチョークボーイに相談。
店のデザインまわりや大事なロゴまわりはDAY&NIGHTのオープン時に依頼してから、ほとんど彼にお願いしている。
グラフィックの美しさはもちろん、クスッと笑えるアイデアやユーモアがビシッと決まった内装に入ることで心地のいい抜け感となり店に動きを与えてくれて、他のどこにもない唯一無二の店のディスプレイになったりするから彼の存在はとても大きい。
彼とはオニバスコーヒーの篤史くんに紹介してもらったのが最初だから8年くらい前になる。
彼もオニバス篤史くんもほぼ同級生で(実際はオニバス篤史くんは1個上でチョークボーイは1個下)3人でご飯に行き、熱い話やどうでもいいお互いの状況などをたまに集まって夜まで話す仲だ。
チョークボーイが書籍を出したり、オニバスの篤史くんが新しい店を出したりするのを見てとても刺激を受け、時には刺激を与えながら一緒に切磋琢磨してきた。
印象的なのは一緒にNYに行き、限界まで歩き回り一番イケてる店や建築、ホテルなどを見て回る修行のような研修、通称福田塾。
朝ご飯3食、ランチ3食、ディナー3食の超ハードスケジュールをこなした我々はブラック企業の研修を耐え抜いた同期のように固い絆をガッチリと結び帰国してからより連絡を取り合うようになった。

通称、福田塾 2016年

SUHOのロゴは馬をモチーフにしたものでお願いした。
イメージやコンセプトなどを話したり、自分がそれっぽいイメージのインスタや画像などをいくつか投げてそこからは結構お任せになる。
大体口頭での打ち合わせが多く、ご飯を食べたり風呂に入りながら話すので、忘れ去られること多数。
そこでせっかちになっても良いものは生まれないのでたまに進捗を伺う時もあるが、気長に待つのがいいと思っている。
内装は白っぽくタイル貼りになり店自体は綺麗な感じになってしまうので
あえて土っぽい感じで、とお願いしたり、Sのフォントはこんな感じが良いかも〜
とざっくりで伝えて、お互いぼんやり考えていて機が熟したタイミングでロゴやるか!と打ち合わせに入った。
今回のSUHOの店名は「スーホの白い馬」という物語からきており、そのインパクトある本のイラストに引っ張られないように、そして綺麗めになりすぎないように、何度も線を描き直して、イメージをすり合わせていった。
フォントはクラフトな感じをどう伝えられるかと考えて、
子供に描かせたらどうだろう?
ということになったが、やはりバランスなどの細かい難しさもあり、彼らのデザインチームにハサミでカットして文字を切り出して、SUHOの文字を作ってもらい、世界のどこを探しても見つける事ができない特別なフォントとなったのだった。

全て手作りのフォント作成 WHW!
完成ロゴ

内装はある程度、自分がレイアウトを組むことから始まる。
それには、店で何を提供して、どのくらい出るかを決めなくてはいけない。
これが難しい。。
(ちなみに自分が商業施設などに一切出店しないと決めているのは、何ヶ月も前に決めた事に対しての工事の変更が難しかったり、無駄な設備や施設側の都合などの決まり事が多いため、自分には向いていないと思うから。)
既存店であれば、メニューはもう決まっていて、どのくらい出るかも想像は出来るし、もうレールは敷かれているようなものなので、少しその物件によって機材の配置を直したり、引いたり足したりすることで割と簡単に組めるのだが、新店舗は自由であるが故に、オペレーションの構築、メニューによって必要な機材のリストアップ、売上の目標に対しての人員配置、動線の設定、など様々のことが本当に難しい。
やっていく中で、一度決めた事でもやはりこうしたい。というのが必ず出てくるので、そういう意味では柔軟に対応していただけるデザイナーさん、施工会社が本当に大事だなと今回店を作っていて改めて思ったことである。

家具や照明などに関しても、デザイナーさんのアドバイスもあるが、ほとんど自分のやりたいようにやらせてくれるので、それが楽しくもあり、難しいところだ。
アンティークや名作と呼ばれるもので揃えたいが、予算の都合で難しい場面は多々。
妥協案的なものを出すのだが、妥協はしたくないので、とことん妥協のなかでも最適なものを探すことになる。
1つのベンチを探すために何時間も、アンティークショップのWEBを見まくるし、照明に関しても吐き気がするほど見ていく。
そうやって1つ1つ探したものは、そこにある意味を考えるから、愛着が湧くし、
誰かに決められたものではないから、自分の想いが入り込む。
店とは自分の分身のようだ。と思うのは、デザイナーさんが最後の細かい調整はしてくれてはいるものの、大きく外さなければ、自分で選択をさせてくれるおかげでもあるのだ。

長谷川逸子 バス停のベンチ

店の大きさや物件のかたちによって制約はあるものの、全て自由に決められて、好きに作れるのは難しくもある反面、考えたメニューやオペレーションがはまった時や空間を褒められた時の快感は変え難いものがある。
入ってきた瞬間に店の中を見回して目を輝かせたり、食べた瞬間の表情が笑顔になるなど、お客さんの何気ない本当にちょっとしたリアクションや、良いものをタイミングよく提供出来ていたり、スタッフが楽しそうに働いているのを見て、店作りの楽しさがクセになっているのかもしれない。
毎回スタッフにキッチン狭すぎ!なんて言われながら、今回ももちろんそのように作っているが、制約がある中でスタッフがまた良いものを提供して、お客さんの喜ぶ姿を想像すると早くオープンしたいなぁと思うが、準備不足なところもまだまだ。
年内オープンに向けて1歩進んで2歩下がる日々。
来週には店も完成に近づいているので、今週はこのあたりで。

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?