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映画鑑賞キロク「すずめの戸締り」

「複雑やわぁ〜」
「新海さんに複雑な気持ちやわぁ〜」

私が映画「すずめの戸締り」を見終わった後に夫にもらした感想だ。
無理矢理自分の記憶をほじくり返されたような。
そんな気持ちで映画館を出た。
あの震災は私にとっては離れた場所で起こったことだ。
それでも、テレビの記憶ばっかりな私でもなかなかにきつい記憶だった。

これは、見たらあかん人がたくさんいる。
一度負った深い傷がまたえぐられてしまう。
なのになんで新海監督はこれを作ったんだろう。

もう疑問というか疑念というか。
悶々悶々としてしまっていた。

私の新海誠作品鑑賞歴

「君の名は」
「天気の子」
「言の葉の庭」
は鑑賞した。
「秒速5センチメートル」は気になりながらまだ観ていない

私から見たその作品たちは、
風景、ストーリーや音楽が全てキラキラしているものだった。
「君の名は」「天気の子」は、災害を描いたものではあるけれど、
隕石や止まない雨は、身近なものとは感じなかったからかもしれない。

複雑な気持ちで映画館を出た後

子供たちは、楽しい感想を持った様だった。
そりゃ猫も椅子もかわいいもんな。
あの震災の記憶を持ってない人の感想。
子供たちにとって、この作品は、過去の2作品と同じような立ち位置なのかもしれなかった。

どうも悶々とした思いが止まらなくて、
作った背景まで知りたくなって、
入場者プレゼント第1弾、新海本1をメルカリにて手にいれた。
この映画を作るにあたっての監督インタビューが載っていると知ったからだ。
(私が観た時は入場者プレゼントは第3弾の時期だった。)

震災を連想する世代がまだいる今だからこそ、
作らなければいけないという思いがあった。

そんな思いが綴られていた。(私的要約)

この映画は敢えてこのタイミングで作られたものだった。
ただ、やっぱり私は
クライマックスで悲しみがぶり返して涙が止まらなくなったし、
鈴芽の最後の希望を感じるセリフも明るく受け止めることはできなかった。
感情がそこには追いつけなかった。

この映画を見る少し前、被災者の方がこの映画を見て感想をを述べているのをテレビで見た。

怒っている人もいた。
これを見て、なかなか打ち明けられなかった苦しみを、打ち明けられたといった人もいた。

見る人によって、こんなに様々な感想が得られるのは、
今、このタイミングで、この映画が存在したからだ。

良かった、悪かったとかでは語れない。
私の咀嚼しきれないこの感情は、まだまだ消えそうにない。


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