ハリーポッターのテーマパークへの意見書(その2)

2 建設予定地周辺の住環境に与える影響について
(1)本計画の予定地の用途について
 本計画は、閑静な住宅地に計画されています。
 「閑静な住宅地」とは単なる比喩ではなく、としまえんに隣接している向山三丁目は、関東大震災直後の1924年(大正13年)12名の組合員による共同借地として住宅開発がはじめられた、都内でも屈指の歴史を持つ住宅地として、建築学でも調査研究されているものです。(例 「城南住宅組合の活動と住環境の形成・維持に関する歴史的研究」中島 伸, 田中 暁子, 初田 香成
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jusokenronbun/41/0/41_1316/_article/-char/ja/ )
 現在の都市計画(用途地域)では、向山三丁目及び春日町一丁目のほとんどは第一種低層住居専用地域、としまえんの地域は第二種住居地域となっています。
ご案内の通りとしまえんは、本邦に都市計画・用途地域制度が成立する前から現在地で営業していたことから、いわば「既存不適格」なものとして、例外的に遊園地としてあったものです。
都市計画における用途地域制度は、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、良好な都市環境を形成することを目的として、土地利用の現況や動向及び将来の土地利用の方向を踏まえて、それぞれの地域における土地利用に対して用途、形態、密度の配分等に関する一定の規制を定め、建築基準法等各種個別法の規定と相まって、良好な市街地の形成と住居、商業・業務、工業等の諸機能の適切な配置を誘導しようとするものであり、その役割から都市計画制度における基本的かつ根幹的な制度です。
第二種住居地域においては、「劇場、映画館、演芸場、観覧場」は建築が許されないことになっています。これは、不特定多数の来場があることで、住居の良好な環境が損なわれる可能性が高いからだと考えられます。
本計画は「博物館その他これに類するもの」とされており、第二種住居地域での適法性が担保されています。そうであれば、第二種住居地域で認められない「劇場、映画館、演芸場、観覧場」の機能を有することはあってはならないと考えられます。
本計画において、これらの機能はないということを明示的にご回答ください。


(2)気温変動への対策について
 本計画は、上記の通り第一種住居地域、そのなかでも良好な住環境維持に配慮した建築が求められる「第一種低層住居専用地域」に隣接するものです。
 計画によれば、本計画の主たる建築物は、東京ドームに匹敵する規模の巨大建造物になると説明されています。敷地の北側は幅員の狭い公道を隔てて第一種低層住居専用地域となることから、近隣への影響が大きくなることが考えられます。
 そこで、主に次の点について明確な数値をお示しください。

① 本計画にあたって、敷地内建築物等の冷房装置等が稼働する際に空中に排出される熱量。特に、猛暑日の午後2時ころに想定される排熱量。また、それらが近隣の住宅地の外気温上昇をもたらすす可能性及び影響範囲。
② 本計画にあたって、近隣住宅地への風を遮ることが影響する範囲。特に、夏季における影響について。
③ 上記①、②について影響評価を行っていない場合、今後実施する予定。


(3)樹林の回復について
 としまえんは樹林に囲まれた良好な環境を有する遊園地でした。今回の開発行為により、数百本の樹木が伐採されたとされています。
 練馬区みどりを愛し守りはぐくむ条例では、「事業者は事業活動を行うに当たっては、みどりの保全および創出に努めるとともに、区が実施する施策に協力しなければならない。」(第5条)とされています。また、代替の植栽についても求められています。
 本計画における樹林の回復についての予定についてお示しください。


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