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はたらく馬のいる景観

人の住む地域の景観は、そこに住むものが周辺環境と関わっていった歴史の結果を見せてくれています。馬たちが働く仕事や文化を地域に取り入れることは、持続性のある景観を取り戻すことになる。そんな場所になったら良いなと森づくりをはじめました。

 馬たちを放棄地となっている茅場や森の中に放牧して、草を食べて放棄地を開拓してくれています。その馬糞を森の広葉樹の足元へ戻していき、さらにその落ち葉は開墾された畑へと戻ってきてくれます。小さな場所だけれど、畑と森が一体となって繋がっている場所になると良いな。


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 森づくりをしている場所は、昔は杉の苗木を作っていたところ。低い位置で3本くらいの枝分かれをして上に伸びていく杉が多く、台木に杉を挿して育てていたものが放置されたものだそうです。杉の苗場だった場所だけに、森の中はかなり密集していました。隣の畑に落ち葉を落としてくれるよう広葉樹をのこして、この杉林を伐っていくことにしました。


 間伐した杉は、馬たちと運び出します。薪にしたり、小屋の材料にしたり。馬たちと森の斜面へ入っていき、丸太のあるところで馬と繋いで、道のない斜面を降ってきます。

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 木が込み入ってるところでは、立ち木や切り株の位置、傾斜や曲がり角の転がりから、どのルートを通すかを考えていくのが面白味でもあります。難しいところを思ったように丸太が引き出され出てくると、安堵して次に向かうくらい緊張感があります。


 はたらく馬としては小さい方ですが、福之助でも小屋作りに必要な丸太を運ぶことができました。小屋の桁に使う7mくらいの丸太が、そのまま小屋を作るところまで運ぶことができるので、継手しないでもそのまま小屋が作れます。

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 小屋を作るために馬搬してきた丸太が集まってきました。何人かの人で引くのもやっとという重さです。これを運んでくれるのだから、ありがたい。

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 馬たちが引き出した後には地面を擦った後が残るものの、簡単に植生が戻る程度の影響しか残しません。馬を通すことのできるスペースがあれば、一度に多くを運ぶことはできないけれど、曲がりくねった長い距離も運びます。山を崩して道をつける必要はなく、土砂崩れの心配もありません。

 はたらく馬のいる場所では、その作業は地道でゆっくり進みます。一度手を入れたら終わりというものではなく、持続的にその場所と付き合っていくような関係が出来上がっていくのではないでしょうか。

 自生していた栗の木に実がなるのが楽しみです。

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