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タロット19:太陽(The SUN) 高貴な太陽の輝きは「約束された祝福」

星、月と続いて惑星3カード、最後の太陽です。

太陽は暖かさと光を与え、地球上の全てを平等に照らし続けます。
結論、太陽の役割はその誕生の時から変わらず、タロットカードの太陽の解釈もあまり変わりません。

正位置の意味
成功、誕生、祝福、勝利、約束された将来。
逆位置の意味
不調、落胆、衰退、堕胎・流産、意味のない時間。

wikipedia

太陽のカードは、後から追加されたカードだと言われています。
そして太陽のカードはイラストは時代や地域によって変わってきました。
折角なので、太陽のカードの変遷も見ていきませんか?


19:The Sun(太陽)の成り立ち

はい、ちょっとそこどいて。太陽の光が当たらないんでね。

d'Este card

まずは私のタロット記事ではお馴染みの、エステのカードから。
こちらはアレキサンダー大王が古代ギリシアの哲学者ディオゲネスを訪れた時の逸話をベースにしています。

Nicolas-André Monsiau Alexandre et Diogène (1818),musée de Rouen.

この逸話はいろんな絵画にも描かれた、アレキサンダー大王と哲学者ディオゲネスの出会いの場面です。

初対面でどういう会話がなされているかと言いますと・・・
アレキサンダー大王が「そなたの望みはなんじゃ?」と言う問いに対して、哲学者がアレキサンダー大王にこう答えます。
「(あなたがどんなに偉い人か知らないけれど)はい、ちょっと脇に退いて。私にあたる太陽の光が遮られてますんで。」
みたいな会話です。

太陽神と戯れるプット

お次は違う印象のカードを。

Visconti-Sforza Tarot

こちらはヴィスコンティ版。
RWS版に近い印象ですね。

描かれているのは、ヘリオスの仮面を頭上に掲げた黒い雲の上に乗るプット(プットー)です。キューピッドじゃないですよ。
面白いことに、プットとその雲が太陽の光を遮っているようにも見えます。

ちなみにヘリオスとはギリシャ神話の太陽神。
プットとは翼の描かれた裸の男児のことです。ルネサンス期にたくさん描かれた天使みたいな子たちなのですが、天使でなく絵の余白を埋める盛り上げ役です。
絵画においてプットに意味・役割はありません笑
↓有名どころのプットちゃんたち(複数形はプッティ)

Raphael. Sistine Madonna Gemäldegalerie Alte Meister, Dresden, Germany.

ケーリーイエールのタロットでは、ヴィスコンティ版と似たような構図から馬が追加されました。

Cary-Yale Visconti Tarocchi

なぜ馬に乗っているかと言いますと・・・
太陽神であるヘーリオスは四頭仕立ての馬に乗っているのです。

Helios in his chariot, State Museums of Berlin

太陽とは天を翔けるヘーリオス神の4頭立て馬車である、と古代ギリシアでは信じられていました。

この太陽神の四頭馬のつながりで、へーリオスの仮面を持ったプットも馬に乗ったのだと推察されます。

お次はマルセイユタロット。

馬はおらず、子供が二人。
この子たちも裸ですね。
この子供は、双子座を表す子供たちです。

双子座の子たちはどこの誰なんだ?って話なんですが、ゼウスの双子の息子:カストルとポルックス。双子座の神話の子たちです。

わかりづらいのですが上のタロットでは二人は壁の内側で「レスリング」をしていると言われています。

当時レスリングは貴族の遊びでした。
太陽というのは最高神の代名詞。
太陽の子の役割を与えられるというのはそれだけで「高貴」な身分を表すものでした。

下記は双子座のイラスト。
冠をかぶり高貴な衣装を着て、これも抱き合っている、もしくは取り組みしている様子。

Gemini, from the medieval Georgian manuscript of an astrological treatise. Date


タロットの太陽に描かれる子(たち)は、次第に太陽の子=カリスマ性のある役割・意味づけを与えられています。

ちょっと亜種な絵柄も

17世紀のパリの作者不明のタロット。
太陽の元、猿と思われる生き物から鏡を突きつけられる女性です。
女性は自身の映った顔を見て不満そう。


18:The Sun(太陽)のシンボルワードは「約束された祝福」

太古から続く太陽の性質から、太陽のカードが持つ役割は、物質的な豊かさ、幸運、幸せな結婚です。

RWS版では、マルセイユ版をベースとして、太陽のカードの再解釈が行われました。

星の啓示を得て、月夜を手探りで進んだ先にある旅の先は、純真無垢な子供の姿でした。
ちなみに旅はまだ終わりません、続きますよ!
「旅人のみなさんお集まりありがとうございます。さてあなたの旅の評価を始めます」の審判のカードが待っていますから。

目覚めの時間

朝、太陽が昇ります。目が覚めます。
希望に満ち溢れたまっさらな新しい一日が始まります。
これが太陽の持つ性質です。

オカルティズムやスピリチャリズムを乗せるのであれば、これは「天国に昇る準備ができている純粋・無垢な魂」と言うでしょうし、仏教で言うなれば現生だろうと輪廻転生の場面だろうと「生まれ変わりの時=目覚めの時」を象徴しているとも言うでしょう。
次のカードは審判ですからね、ここまで旅してきて何を得てきたのかはとても重要です。


約束された勝利に祝福を

とはいえタロットカードに書かれた子供、元はプットでして。
プットですけれど、途中から双子座・太陽神の子供という性質も纏いました。

上にも書きましたが、プットに具体的な役割はありません。
それに「子供になる」が3惑星の旅路のゴールなのではありません。

子供は祝福される立場であって、可能性の塊であるけれど何かを成し遂げるような存在ではまだありません。
ここから、太陽のカードは「約束された勝利に、祝福を与える」と言う意味合いが強いです。

祝福された子供


"太陽の子供"たちは貴族や権力者なので、リーディングでこのカードは、地位の高い人々、指導者、父親のような存在から利益を得ることを示している可能性があります。(太陽以外の子たちもあると言う意味です。水星の子供たちとか。)

太陽のカードに描かれているのは、両手を挙げて馬に跨った裸で無防備な子供。
この子が無防備な姿でいられるのは、父親が権力者であり、きちんと手入れされた塀の内側で安全に守られているからです。

それにこんな立派な白い馬を保有しているのは、実家がお金持ちの証拠なんですよ。今風に言えば実家が太い家に生まれた子が描かれたカードです。

祝福〜タロット全体から眺めてみる:森下あかり的解釈

さて、タロットでは「なんでこのカードが出たのか」というのが、リーディングにおいてとても重要なポイントとなります。

類似のカードとの違いを見ていきましょう。

太陽っぽいものが描かれているカード

大アルカナでは3枚。
小アルカナでは黄色い背景(明るい太陽の時間)はありますが、シンボル的に太陽が描かれている絵はありません。

まず恋人。
これは太陽っぽく見えますが、太陽ではないです。
キューピッドという「この世の者ではない者」を表しているものです。
光であることは間違い無いですが、太陽の光ではありません。

そして愚者。
「白い太陽」とも言われていますが、太陽なんでしょうか。
どうだろう??
個人的な解釈として言うなれば、これは「白く光る惑星」です。

白い光を放つ惑星

太陽も惑星のひとつなので、それを太陽というのであれば太陽なんでしょうが。

RWSの愚者で言いたい(表現)のは、太陽っぽいシンボルに具体的な意味があるのではなく、現実的な世界ではなく精神性に重きを置いた「地球とは違う次元」にいる表現ということです。
愚者がいるのは決してマッターホルンの崖など、地球に存在する具体的な名前のある崖では無いわけで。

すごく「物質」的な太陽

愚者の白い惑星に対して逆にいうと、RWSの太陽のカードに描かれている「太陽はすごく地球的」な表現。

占星術の四大元素で言ったら「地」です。すごく物質的。

精神的な充足というよりかは、
「うちにはこんな立派な白い馬がいます」とか
「こんな立派な塀のあるお家に住んでいます」という、
すごくわかりやすい物質的な幸運を表します。

太陽が太陽である理由は「唯一無二」

地球において、太陽は唯一無二の存在です。
そして強力な存在。
この世の全ての良く強い意味の言葉を持っているのが太陽。

タロットにおいてもそれは同じ。
太陽の光の情景を表しているカードはたくさんありますが、太陽直接的に描いたカードは太陽以外にありません。

要は「うちが絶対に一番物質的に豊かだわ」ってことです。

太陽の光で明るいカードは大体良い意味のカード


太陽のリーディング:森下あかり的解釈

というわけで、基本的にRWSの解釈と同じです。

星で得た予兆に対して、二つの惑星はこう答えを返事をします。
月「その決断は今すべきでない」
太陽「祝福すべき決断!成功を約束する。」

太陽が入ってくれるのは祝福の言葉です。
このカードが出たら「成功する、おめでとうー」ってことです。

しかもそれって「目に見える・触れる」ような成功が約束されています。
お金とかね、赤ちゃんの誕生とかね。



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