「推される技術」を読んだ

bambooさんが、クラウドファンディングについて綴った本「推される技術」を読みました。

概要

ロックユニット「milktub」のボーカルであり、美少女ゲームブランド「OVERDRIVE」の代表を務めるbambooさんがクラウドファンディングを通じて得た体験や経験を綴った冒険記。

bambooさんは自らがクラウドファンディングの案件を立ち上げ、オーナーとして実績を残しているほか、キュレーター(舵取り役のような立場)としても多くの成功を収めている。

それらの経験から得たクラウドファンディング成功の秘訣、ひいては昨今のビジネスにおいて不可欠となる「推される技術」について綴っている。

そもそも

私がクラウドファンディングを知ったのは、本書にも書かれている鷲崎健さんの4thアルバム&1stライブプロジェクトの時だったと思います。

当時は、鷲崎さんのアルバムが手に入るし、なんか楽しそうだしやってみるかと思い、支援をした記憶があります。
bambooさんも再三表現している通り、壮大な「悪巧み」で、とにかくお祭り感がすごかったことも強く印象に残っています。

最近は、エレキコミックのやついさんが主催している、やついフェスのプロジェクトで支援をしていて、何かと身近な存在になっていますね。

推される技術

誰かを候補者に推薦するといった意味ではなく、最近では自分の好きなアイドルや俳優、歌手など応援するという文脈で「推す(推し)」という言葉が使われています。

さらに昨今は、youtubeをはじめとした動画サイトや配信サイトで個人でも気軽に発信ができる時代にあって、「推す」という感覚がより身近になっている気がします。

そんな現代にあって、bambooさんの綴るクラウドファンディング体験記はまさに”推される技術”を詰め込んだものだと感じました。
また、一方でインターネットを中心とした活動において”推される”ための技術であると同時に、社内プロジェクトや起業などビジネスの場面においても不可欠な要素なのだと感じました。

bambooさんがクラウドファンディングの成功に必要な要素をいくつか挙げていますが、中でも「ムード」作りの大切さは印象的でした。

多くのプロジェクトがある中で、支援したいと思わせる雰囲気づくりが重要だということです。つまり、私はこういう者で、こういうことがしたくて、支援してくれたらこういうメリットがありますといった情報を開示することがプロジェクトを成功に近づけるということです。

bambooさんがキュレーターを担当したプロジェクトで、オーナーさんに対して、まずは自身の生配信の同時視聴者を100人超にしてくださいと宿題を出したお話も面白かったです。
まさに、SNS・生配信全盛のご時世におけるムード作りの重要さが垣間見えたエピソードでした。

ムード作りは、いってみれば根回しのようなもので、私のように会社員として働いている身としても思わせられるところがありました。プロジェクトという大仰なものでなくても、日々の仕事をいかに円滑に進めるかは、こうした地道な取り組みが必要なのだと。

実業家bamboo

この本を読み終えて何気なく、ウィキペディアのbambooさんのページをみていると「実業家」の文字がありました。

バンドもやって、アパレルもやって、ゲームも作っているbambooさんを実業家という風に考えたことがなかったのですが、「推される技術」を読んだ後ではすんなりと受け入れられました。

実際にそう思わせるようなエピソードがいくつもありました。それが、bambooさんのお祭り好きの性格以上に際立っていたように思います。

中でも、クラウドファンディングに関するノウハウの収集に余念がなかった点は特に目を引きました。
ご自身がプロジェクトを企画するにあたって、自らがいくつものプロジェクトを支援し、オーナーとして以前に支援者の目線で知識を吸収していたことは、その現れでした。
また、キュレーターとしてノウハウを提供する仕事をしつつも、その報酬として金銭以上に情報の蓄積を優先していてる点にもハッとさせられました。

ここに綴られた冒険記は、クラウドファンディングを徹底的に研究しつくしたうえでの賜物でしたし、その姿はまごうことなき”実業家bamboo”さんでした。

おわりに

この本の存在は、出版された当初に知っていたのですが、思う所あってこの機会に読んでみました。

昨年12月に税理士試験消費税法に合格し、税理士資格の取得まであとは修士論文を執筆し、科目免除を受けるのみとなりました。
そこで、自分は税理士としてどうやって生きていくのかと考えたときに、この本が一つの参考になりはしないかと思い、手に取った次第でした。

その点、ムード作りの話や情報収集、マーケティングの話はとても参考になりましたし、bambooさんの新たな一面をみた気がしました。



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