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話題のNFT事例から見えてくる2つの異なる使われ方

ご無沙汰な記事になってしまいました。『マンガでわかるブロックチェーンのトリセツ』(小学館)の作者、ももりです。

2021年現在、NFTが盛り上がりを見せておりますね。一部の投機的な話も落ち着きつつ、使われ方が模索されている段階に入ってきたのかなと思われますが、誤解された使われ方なども散見されます。そんなわけでちょっと整理してみようかと考えました。

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NFTとは

NFTはNon Fungible Token の略で、「非代替性トークン」と日本語で呼ばれていたりします。それだとサッパリわかりませんよね。「非代替性」とは「代えが効かないもの」、「唯一無二のもの」という理解で良いかと思います。「トークン」は現実世界だとコインだったり、金券的なものを表すことが多いようです。両方合わせると「唯一無二の金券的な何か」ってことになりますね。うーん、「記念硬貨」とか「記念切手」みたいなやつ?

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記念切手を例に取ると、コレクターの間では高値で取引されるものであっても、一般の人からすると額面通りの価値でしかないですよね。発行している国とは異なる国の人から見れば、額面の価値どころか、「きれいなシール状の何か」と捉えるかもしれません。

更に言うと、お手元にあるであろう、1000円札。私の持っている1000円札と取り替えても価値は同じですよね。つまり代替可能ということになるので、Fungible Tokenという扱いになろうかと思いますが、その1000円札のシリアル番号がゾロ目だったらどうですか?もうなんか代替できない気がしてきませんか?

何が言いたいかって言うと、唯一無二なのかどうかや、どれだけの価値を持つかなどは捉え方だけなんじゃないの?と思うわけです。

NFTの2つの異なる使われ方

NFTを一躍有名にしたものが、ツイッター(Twitter)の共同創業者でCEOのジャック・ドーシー氏が2006年3月21日に投稿したツイートに3億円ほどの価格がついたというニュースではないでしょうか?以降、アート作品だったり、様々なものをNFT化して売りに出されることが目立ちました。ブロックチェーン界隈では、元々は 「CryptoKitties」 というデジタルな猫をトレードするゲームで有名になりました。同じNFTと表現されるものがだいぶ異なる使われ方をしているようです。

証明書的な使われ方

ツイッターのつぶやきや、デジタルアートでの使われ方は、NFTとは別に、「本体」が存在しています。NFTを持っていたからと言って本体であるツイートを改変したりすることはできませんし、デジタルアートを自分だけが独占して眺める事もできません。将来的にはわかりませんが、現時点では本体の所有権や著作権と言ったものを表すものでもありません。

じゃあ一体NFTってなんなんだ?ということになりますが、証明書や鑑定書みたいなものかなと考えます。「本体」がいつどこで製造されたかや、過去や現在の所有者情報が記載されます。「本体」がデジタルなものであれば、ハッシュという技術を使って、その一部を証明書であるNFTに含めることもできるでしょう。

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ソフトウェアでの「実データ」的な使われ方

もう一つの使われ方、先の例だと「CryptoKitties」というゲーム内の「デジタル猫」の方について。こちらはNFT自体がデジタル猫自体になっています。「本体」が別にあるわけではなく、NFT自体が「本体」なのです。ゲームという限られたプログラムが支配するデジタル世界の中で初めて唯一無二の価値を持ちます。

例えば某モンスター収集ゲームの中で、ピ○チュウを持っている人は山ほどいるでしょう。しかし、自分と一緒にプレーし経験値をため、成長させたピカ○ュウは唯一無二のものでNFTとして成立するのではないでしょうか。ゲームのプレイヤーであれば高値を払ってでも手に入れたくなるものかもしれませんが、一般の人からすると何ら実体のないものです。同じゲームの中でも、薬草みたいなものは簡単に手に入り、すべて同じ効果をもたらすので、NFTにする価値はあまりないでしょう。

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必ずしもゲーム内のキャラクターやアイテムに限ったものではありませんが、現時点での主だった使われ方はゲームが目立っています。

まとめ

NFTの事例を眺めている限り、現時点では上記の「証明書」的な使われ方と、「実データ」のどちらかのパターンではないでしょうか。標準的なNFTの書かれ方である、ERC721 の中身を眺めてみると、普通のプログラムで言うところのクラスのインスタンスみたいなものかなって感じです。つまり、プログラム的には上記のような縛りはあまりないんですよね。出来上がったものがNFTと呼ばれるか否かは捉え方次第でもありますし、わかりませんが、ブロックチェーン上のプログラムである「スマートコントラクト」にはまだまだ可能性があると考えています。


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