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【INTERMISSION】 Tokyo Happy Coats Archives

Public Domain


(本稿はアメリカのTokyo Happy Coats研究家Roy Baugher氏の許可を得て日本版サテライトコンテンツとして作成、画像や情報などを共有させていただいております。)

■Television Appearances

1)The Ed Sullivan Show

上記動画『The Ed Sullivan Show』への出演は1966年2月27日の放送。

子供ながらも著名なナイトクラブでそのテクニックを披露し、当時名うてのプロたちを唸らせたKeikoさんのドラミングも堪能できる。

サイト『INTERNET ARCHIVE』で確認したところ、同年発行の雑誌『TV GUIDE』2月26日付に記載されたこの回の出演者は下記メンツ。生ではなく事前収録された素材が放送されている。バンド紹介には”a girls’ jazz band”とある。

Scheduled guests are comic Alan King; singer Petula Clark; rock ‘n’ rollers Gary Lewis and the Playboys; singer Jerry Vale; comic Richard Pryor; the Tokyo Happy Coats, a girls’ jazz band; and the Berosini Chimps. Taped from a live telecast. (60 min.)

『TVGUIDE』(Internet Archive) 

同じ年の『TV GUIDE』9月4日付にもTHCの名前があるが、出演者に若干の異同がある。一部の収録分を差し替えた再放送だったのだろうか。こちらの紹介では”a vocal-instrumental group”だ。

Ed's guests are comics Alan King and Richard Pryor; singers Petula Clark, Blossom Seeley and Nancy Sinatra; rock ‘n’ rollers Gary and the Playboys; the Tokyo Happy Coats, a vocal-instrumental group; the Trio Rennos, aerialists; and the Berosini Chimps. Ray Bloch orchestra. (R; 60 min.)

『TVGUIDE』(Internet Archive)

◇  ◇  ◇

(注:Baugher氏より指摘をいただいた。9月4日は2月分の再放送だという。また両日の出演者の相違については『TVGUIDE』がリストを省略したのかもしれない。例えば、2月27日の放送にもNancy Sinatraが名曲『These Boots Are Made For Walking』で出演している。THCがNancy Sinatraと同じ日のEd Sullivan Showに出演していたとは感慨深いものがある。)


2)『Steve Allen Show』

1969年7月22日放送の『Steve Allen Show』にも出演していたようだ。こちらでの紹介は”Pop group”。

STEVE ALLEN—Variety (C) Guests include comedians Allan Sherman, Stu Gilliam and Pat Harrington; and the Tokyo Happy Coats, Pop group. (80 min.)

『TVGUIDE』(Internet Archive) 

この番組については、以前Frank Zappaが出演した回をyoutubeで観たことがあったし、Bob Dylanなど有名アーティストのシーンもアップされている。ところがTHCについては見当たらなかった。

THCの出演映像について、Baugher氏に観たことがあるかどうかメッセージを送ってみた。以下が彼からの返信である。

I know about the Steve Allen Show episode. The UCLA Film and Television Archive has a copy of the episode. The copy only has the last 25 minutes of the episode. I don't know if the band appears on the existing video. I sent an email to UCLA today, asking the archives staff to check and see if the band appears on the video. The Steve Allen Show is under copyright, so they will not make a copy for me. I would need to travel to California to watch the video.

スティーブ・アレン・ショーのエピソードについては知っています。UCLAの「映画テレビ・アーカイブ」にそのエピソードのコピーがあります。そのコピーにはエピソードの最後の25分しか入っていません。そのビデオにバンドが登場するかどうかはわかりません。今日UCLAにメールを送り、アーカイブのスタッフにビデオにバンドが登場するかどうか確認するように依頼しました。スティーブ・アレン・ショーは著作権で保護されているため、コピーは作成されません。ビデオを見るにはカリフォルニアまで行かなければなりません。

Roy Baugher氏のメッセージで翻訳もご本人。一部引用者が加筆。

アメリカは東海岸に面したある州にお住まいのBaugher氏が西海岸に位置するカリフォルニア州に出向くには、大陸の端から端へ約3,700㎞を移動せねばならない。東京から約1,000㎞離れた場所に暮らす私の移動距離の3倍以上もある。

さすがアメリカ、スケールが違うのだ。


3)『Fanfare』

時代は遡るが、THC渡米翌年の1965年8月14日には『Fanfare』という音楽バラエティにも出演していた。

この『Fanfare』については、Baugher氏がFacebookに音声をアップしてくれている。

14 August 1965: “The Most Delightful Export from Japan”.... Tokyo Happy Coats perform on ‘Fanfare’, a television show...

Posted by Tokyo Happy Coats on Thursday, September 3, 2020

現在判明しているTHCのTV出演は以上の3番組である。

■Studio Recordings

1)「FOREVERMORE "KINIO ITSUMADEMO"」

”若大将”こと加山雄三「君といつまでも」(1965年)のカヴァー。オリジナルは東宝映画『エレキの若大将』挿入歌として300万枚を超す大ヒットとなった。エレキ(ギター)ブームとともに、高度経済成長期の昭和時代を象徴する曲として今も愛されている。

レーベル面にある曲名のKINITOは誤記、KIMITOが正解なのはよく指摘されるところ。

加山盤の方だが、Wikiに以下の記述があった。

1966年には、アメリカのキャピトル・レコードからシングル盤が発売されている。曲名表記は「君といつまでも」が『Love Forever (Kimi-To-Itsumadero)』(ママ)」、「夜空の星」が「A Star In The Night (Yozara No Hoshi)」。

と、THCの英題とは異なっている。さらに、同様にスペルミスも発生しているのが面白い。


2)「Here Is Happiness」

オリジナルは大津美子が1956年に発表した松竹映画『ここに幸あり』の主題歌でこれまた大ヒットを記録した曲。70年後のいまもスタンダードナンバーとして歌い継がれている。

大津美子のwikiには、こう書かれている。

1956年、師である飯田が作曲し高橋掬太郎が作詞した同名映画の主題歌「ここに幸あり」が空前の大ヒットとなる。とりわけハワイ、ブラジルなどの多くの日系人の間で当時から今日に至るまで愛唱されており、大津も公演に出向いた。

THCがこの曲を選んだのは、このような日系社会での人気を意識したこともあるだろう。しかしなによりも、この曲がアメリカでの人生を選択した彼女たちの心情そのものだった、それが理由ではなかろうか。


3)「Tea-A-Wanna Whistle」

シングル「Here Is Happiness」のb/w。THCがレコーディング契約したというレーベルのオーナーかつプロデューサーBob Marsanoの作品。契約と音盤リリースについての複雑怪奇な事情はこちらに詳しい。

個人的な印象としては、アルバムの埋め草的かつプロデューサーの印税確保的なインスト曲という感じ、ですかね。


4)「He Don't Love Me Anymore」

June Carterにも同名の曲があるが、こちらはプロデューサーBob Marsano作の異曲。スタジオアルバム『Forevermore』の10曲のうち、Marsano作品が4曲含まれている。


5)「Uptight」

Stevie Wonderの初期代表作のカヴァーで、オリジナルのオケが粘っこいアレンジよりもアップ気味。ステージではこれくらいスピード感があった方が客を惹き付けやすいよね。Keikoさんの的確なドラミングが冴えた一曲で、ボーカルもとてもイイと思う。

”レーベルメイト”であるJames Brownの「I Got The Feelin’」が途中でひょこっと顔を出すのも一興。


6)”Outtakes”

これはスタジオ録音時のコンソールの音声も入ったアウトテイク。レコーディング時の関係者からアップされたもの。

動画の解説には、こうある。

This was a session I assisted the late Dave Harrison on at Starday-King Records. Dave, my mentor, recorded and mixed the tunes ....and would later manufacture the world famous Harrison automated audio consoles. These tapes are over 40 years old and are copies of the 2-track Master.

これは、私がスターデイ・キング・レコードで故デイブ・ハリソンのアシスタントをしたセッションだ。私の師匠であるデイヴは、この曲の録音とミキシングを担当し、後に世界的に有名なハリソンのオートメーション・オーディオ・コンソールを製造することになる。これらのテープは40年以上前のもので、2トラック・マスターのコピーである。

(youtubeへのアップは2010年11月。web翻訳は引用者)

■Live Paformance

1)「Bala Bala Bala Bamba」

Ritchie Valens「La Bamba」(1959年)と「The Peanut Vendor」(『南京豆売り』、オリジナルは1928年)という、チカーノロックとアフロキューバンの2大スタンダードを軸にバラバラの要素をひとつに結合させたアマルガムなライブ・ヴァージョン。

アレンジがなかなか良く出来ていると思う。ボーカルや演奏も隙がない。客とのコール&レスポンスも盛り込まれて、ステージでの客受けも良かっただろうなと実感。米軍基地サーキットで鍛えたエンタティナーとしての芸を感じる演奏。


2)「The Beat Goes On」

1967年にSonny & Cherが放った大ヒット曲のカヴァー。S&C盤のオリジナル録音にはスタジオの職人軍団The Wrecking Crewが関わっていて、ベースはあのCarol Kayeである。

THCのアレンジは、これもオリジナルVerよりもアップテンポにアレンジして、アンサンブルの妙をアピールする。特にkeikoさんのドラムをフューチャーする曲なのだろう、Buddy Richも褒め称えたという腕前のKeikoさんが刻むリズムが心地よい。


3)「Spinning WheelーThe Windmills of Your Mind」

1968年に大ヒットしたBlood, Sweat & Tears「Spinning Wheel」と、同年の映画『華麗なる賭け』の主題歌「風のささやき」のメドレー。それぞれ
”糸車”と”風車”を折り込んだ歌をひとつにして、どんな想いを伝えようとしたのか。

演奏はラスベガスでのショーを彷彿とさせる選曲とノリとでも言いますか。マルチプレイヤー集団なので、ステージでは楽器の取り回しなども見せ場のひとつだったのではないかと想像したり。

■Souvenir

1)Pin-Back Button

缶バッジ-表(製造時期・製造元は不明。筆者所有)
缶バッジ-裏(同上)

(【B-1】へ続く)


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