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エクソソーム:遺伝情報をやり取りする細胞間コミュニケーション

最近の「エクソソーム」に関する発見は、進化論のネオ・ダーウィニズムの原則や、分子生物学のセントラル・ドグマを破るものです。

それがもたらす生物観は、きわめてダイナミックかつ流動的なもので、従来の生物学や医学に革命的な変化をもたらそうとしています。

新しい分野であるため、分からないこともありますし、定説化されていない諸説がありますが、ラディカルな説にも重点を置いて、簡単にメモ的にまとめます。


エクソソームとマイクロRNA、モバイルDNA


人間の臓器や細胞は、その時の環境・身体の状況に合わせて、様々な働きをしなければなりません。

そのために、各臓器同士や、各細胞同士、さらには細胞内の小器官同士が、それぞれのレベルで密接にコミュニケーションを行っていることが分かってきています。

「エクソソーム」は、細胞間の情報伝達を担う細胞外小胞の一種です。
多細胞生物の全身のほとんどの細胞が出していていると思われます。

エクソソームはカプセルのようなもので、その中には、何種類もの「マイクロRNA」をはじめとして、それ以外にも、「メッセンジャーRNA」、「モバイルDNA」、タンパク質などの複数のメッセージ伝達物質が入っています。

そして、メッセージの宛先が指定されていて、血流を流れて全身に運ばれ、受け取った細胞の遺伝子に働きかけて、様々な行動、変容を起こさせます。
つまり、ゲノムの遺伝情報そのものをやり取りすることで、相手の姿、働きを変えているのです。

これらの基本的仕組みは、2007年、スウェーデンのヤン・ロトバルが発見しました。

ゲノムの塩基配列の中で、タンパク質をコーディングしている(いわゆる遺伝子である)のは1.4%だけで、そのタンパク質の合成にはメッセンジャーRNAが使われます。

それ以外の大多数のゲノムは、臓器類の制御などを担っていて、これらノンコーディング・ゲノムを写し取っているのが、「マイクロRNA」です。
すでに2600種類の「マイクロRNA」が発見されています。


例えば、ダメージを受けた細胞が出したエクソソームを、骨髄の幹細胞が受け取って、ダメージをうけた部位に移動して新しい細胞に分化することがあります。

エクソソームは、受取先の細胞のメッセンジャーRNAを活性化、あるいは、不活性化することもあります。
白血球の炎症性サイトカインの活性化、不活性化をして、免疫作用を調整することもあります。

エクソソームは、疾病に関わって使われることもあります。
例えば、癌細胞は、特定のエクソソームを出して、周りの血管を引き込んだり、転移先の環境を整えたりします。
ですから、エクソソームを対象にして、癌の早期発見や治療の研究もなされています。



ゲノムの中や、他のゲノムなどへ移動できるDNA配列は、「モバイルDNA(可動遺伝因子、MGE、モバイル遺伝子)」と呼ばれ、エクソソームの中にはこれらも含まれます。
ヒトゲノムの50%以上は、この「モバイルDNA」で構成されています。

後で書くように、エクソソームの中の「モバイルDNA」は、受取先の細胞に組み込まれることがあります。


エクソソームの個体間、異種間のやりとり


エクソソームは、個体内の細胞間、臓器間のコミュニケーションだけではなく、授乳を通して母から子に伝えられたり、キスによって相手に伝えられたりすることもあります。

母乳の中には何種類ものエクソソームが含まれていて、それが赤ちゃんの免疫系を発達させることが分かっています。


エクソソームは、直径100ナノメートル前後の大きさで、すべての生物でほぼ同じです。
そのため、異種間での授受も行われます。

腸内細菌は、それを持つ個体にとって異種生物ですが、人間に有益なエクソソームを分泌しています。

また、エクソソームは、飲食を通しても伝えられることもあります。
エクソソームは胃酸で分解されず、腸にまで達します。
つまり、食べることによって、その生物の中にあるエクソソームの影響を受けるのです。

例えば、日本酒の中に入っている酵母のエクソソームには、免疫力を高める効果が入っています。


エクソソームとウィルスと進化


エクソソームの中にある遺伝情報は、単に受け取り側の細胞が影響を受けるだけではなく、そのゲノムに組み込まれることもあります。

例えば、松食い虫のゲノムの中には、松の木の遺伝子情報が含まれることが分かっています。
つまり、動物の中に植物の遺伝子情報があるのです。
これは食べることで組み込まれたと推測されます。


ヒトゲノムの約8-10%は、感染したウィルス(レトロウィルス)の遺伝子の逆転写に由来するとされています。
「DNAの水平移動」と言われる現象です。

ですが、ウィルスとエクソソームは似ていて、容易に区別することはできません。
そもそもウィルスとはエクソソームであるという説もあります。

ヒトゲノム内のレトロウィルスのDNA配列は、細胞にストレスがかかると活性化し、他の宿主に感染もします。
バクテリアファージ(バクテリアに感染するウィルス)も、バクテリアの遺伝子の断片、エクソソームにすぎないかもしれません。

いずれせよ、エクソソームは、ウィルス同様の、DNAの水平移動を担っていると思われます。


また、マウスに人の癌細胞を皮下注射する実験によれば、それから出されたエクソソームが血液を循環し、マウスの生殖細胞に入って、子孫に受け継がれることが分かっています。

つまり、エクソソームは、生殖細胞の中にも入り、親から子に伝わることもあります。
そのエクソソームは、異種生物由来の場合もありえます。
そして、これは、遺伝子が発現する表現型に影響を与えます。

この、エクソソームによる核外の遺伝情報の子孫への継承は、一種の獲得形質遺伝であるとも考えられます。


GMOとmRNAワクチン


遺伝子組み換え食品(GMO)やゲノム編集食品(GE)のDNA配列は、胃腸で分解されずに血液中に移行することが確認されています。

また、これら食品には、エクソソームが含まれていて、小腸の粘膜細胞を経て全身の細胞に取り込まれます。
また、食品の遺伝子は、腸内細菌にも移行します。

つまり、組み替え遺伝子は腸内細菌にも人間にも移行しえるのです。


RNAウィルスが増殖する際にも、エクソソームが利用されています。
また、mRNAワクチンの仕組みは、RNAをポリエチレングリコールに入れて細胞に届けるもので、エクソソームに似ています。

ウェーデン・ルンド大学の研究者による実験によれば、今回のファイザーのmRNAワクチンは、わずか6時間で逆転写されてDNAに組み込まれる可能性があることが確かめられています。

ワクチンによって組み替えられた細胞は、その細胞が死ぬまで、毒性物質であるスパイク・タンパクを作り続けます。

また、ワクチン接種されたmRNAや、それによって作られるスパイク・タンパクは、エクソソームを通して体外に排出され、他人の中に移行する(シェディング)可能性があります。


* 参考文献

「「がん」は止められる」落合孝広(KAWADE夢新書)
「ウィルスは存在しない!」崎谷博征(シナノパブリッシングプレス)
など



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