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文化人類学・民俗学・経済人類学

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主に自分が書いたブログから転載、編集した文章です。 伝統文化、異文化には興味がありますが、文化人類学の理論にはまったく興味がありません。
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#聖婚

聖婚、聖娼、性瑜伽

古代から中世にかけて、世界各地で、「性」と「聖性」は不可分なものとして存在していました。 これを分離したのは、ユダヤ、キリスト、イスラム教による抑圧と、近代合理主義・啓蒙主義による世俗化の結果でしょう。 本投稿では、このテーマに関して、古代オリエント・ギリシャの「聖婚儀礼」と「聖娼」の制度、そして、キリスト教グノーシス主義の「聖婚の秘儀」、中世インドの「性瑜伽(性ヨガ)」、中世日本の「歩き巫女」と「稚児灌頂」などについて簡単に紹介します。 古代メソポタミアの聖婚儀礼

農耕文化の信仰とコスモロジー

「シャーマンと伝統文化の智恵の道」で書いた文章を転載します。 このページでは、新石器時代以降に生まれた農耕文化の宗教的コスモロジーを、下記ページで紹介した狩猟文化のそれと対比してモデル化します。 天の男神と地の女神の聖婚 シャーマンに関して対比すれば、狩猟文化が「脱魂」型の男性シャーマンが中心だったのに対して、農耕文化では「憑依」型の女性シャーマン(霊媒、巫女)が中心となります。 冥界に行くこと、動物の魂を冥界に送ることは、「死」に関わるので男性の仕事であり、一方、現