マガジンのカバー画像

文化人類学・民俗学・経済人類学

19
主に自分が書いたブログから転載、編集した文章です。 伝統文化、異文化には興味がありますが、文化人類学の理論にはまったく興味がありません。
運営しているクリエイター

#マレビト

柳田国男「山人論」、折口信夫「マレビト論」、岡正雄「異人論」の戦い

柳田国男の「山人論」、あるいは、それから転向して唱えた「常民論」と、折口信夫の「マレビト論」、岡正雄の「異人論」、その3者の理論的な争いや関係ついて、霊魂観の違いや、民俗学と民族学と違い、経済人類学・社会人類学などの観点から、簡単にまとめます。 と言っても、とても長い文章となります。 柳田の山人論 柳田国男の民俗学は、平地の農民を「常民」と表現し、その本来的な世界観を「固有信仰」として描くことが特徴とされています。 ですが、彼の研究は、「山人の研究」(1910)以来、日

折口信夫の産霊信仰と鎮魂法

「神秘主義思想史」に書いた文章を少し編集して転載します。 折口信夫は、民俗学、国文学、あるいは、神道学、古代学、芸能史学の学者であり、その総合的で独特な学問は、「折口学」とも表現されました。 彼は柳田国男と並んぶ民俗学の創始者ですが、彼にとってそれは新しい国学であり、彼は最後の国学者でもありました。 また、折口は、釈迢空と号した歌人であり、小説家でもありました。 折口の学問に対する姿勢は独特で、コカインを服用して、古代人の思考方法や世界観を体験的に理解しようとし、直観