私は実母のような最強の味方になる

私は子どもを産んでから、何があっても我が子の味方でいる、と決めている。
もちろん、私に限らず、世の中の父や母の多くはそう思っているだろう。


先日、ママ友から息子についてクレームが来た。
保育園時代からの付き合いだが、近所だから、という理由で親子共にお付き合いしている感じの関係だ。

お宅の息子さんのせいで、うちの子が学校に行きたくないと言っています。
ひどいことを言われたり、話を聞いてもらえなかったり、馬鹿にされたり、オンラインゲームで意地悪されたりしています。

簡単にいえばこんな感じの内容だった。

うちの息子からも一度話を聞いて、改めて連絡します。
と何度も言ったが、彼女は2時間弱忙しい時間帯にも関わらず、玄関先で私に永遠と昔話から最近の話まで、を話し続けていた。


その夜。
「話があるんだけどいいかな?大事なこと」
私がいうと、息子は何も言わずに頷いた。
なんとなくなんの話かは察していた様子だった。

「こんなことがあったって聞いたんだけど、本当はどうなのか教えてくれない?」
と聞くと、息子はポツポツと話しだした。

彼女から聞いた話は、もちろん事実もあった。
息子がお友達に意地悪なことを言ったという事実。
馬鹿にしてしまったこと。
オンラインゲームでの意地悪。
どれも事実だった。

驚いた。ショックだった。
でも、この事実には、息子にしかわからない側面の事実も多くあった。

意地悪なことを言ったのは、向こうが先に意地悪を言ったから。
馬鹿にされたというのは、向こうの言い分をしっかり理解したかったから、繰り返し同じ質問をしたんだ。
オンラインゲームは向こうが先に、反則をして意地悪してきたからムカついて仕返ししたんだ。

私は彼女の言い分を聞いて、うちのこが一方的に悪いのでは?と気にしていたが、そうではなかった。
あちらはあちらで、苦しんでいる息子を助けたい、守りたいから、私に話をしにきたことくらい分かっている。

しかし、一方の子どもの話を全て鵜呑みにしてはいけないんだと改めて思った。


意地悪をされたと感じる子どもの感覚は嘘ではない。
でも、意地悪してしまった子どもが感じた辛さも本当にあったもの。

私は息子に
「ママは絶対にあなたの味方だよ。
でも、相手を不快にさせてしまったことは謝らなければいけない。
自分も嫌な気持ちになったけど、自分の言葉で相手が嫌な気持ちになったことは事実だからね。

今度一緒に謝りに行こう。
けど、ママはその友達を守るため、庇うためではないし、その友達の味方なわけではないからね。
これから先、あなたがやってはいけないことをしてもいい、やってしまったことをそのまま放置してもいい、と思ったまま成長してしまったらいけないから。

こうやって起こったことを話し合うのも、一緒に謝りにいくのも、あなたを責めるのではなく、あなたの味方だからだよ」

そう言うと、息子は涙を溜めながら
「うん」
と返事をした。


話の終わりが見えた頃、息子大粒の涙を流しはじめた。

「俺は、今日の帰り、◯◯くん(ママ友の息子)から死ねと言われた。
会話でわからない言葉があったから、それ何のこと?って聞いただけなのに。
は?言葉が分からんのなら死ねよ。
って俺に言ったんだ。
俺は怒ってたわけでもないし、その言葉が何か、聞いただけだったのに……」

友達同士で意地悪を言いあったり、ゲーム上で喧嘩したり、下校時に揉めたりしていることはあったが、これまで「死ね」というワードが出てきたことはなかった。

生まれて初めて、他人から死ねと聞かされた息子はすごくショックを受けたようで、話をしている中で一番辛そうに泣いていた。
私は、悲しかった気持ちや、辛い気持ちをただただ聞いた。


そして、
自分が言われて嫌な言葉は、自分が他人に使ってはいけないこと
もし、誰かが言っていたら止めれたらいいね
……そんな話をした。


「謝りに行こうね」 「うん」
の会話の後に、息子は、向こうからもちゃんとごめんねって言ってくれるかな?
と聞かれたが、私は答えられなかった。

そして、後日。
これまで我が子がしてしまったことを息子と一緒に謝り、実際にあったことを話たが、案の定向こうからの謝罪は一切なかった……。

息子は納得していなかった。
私が向こうからの謝罪を要求すればよかったのか?と考えたが、なんだか違う気もして、できなかった。

私は息子に、もし自分が怒ったとき、うっかりだったとしても「その言葉」を言ってしまったら、どれだけ怒っていたとしても、謝らなきゃいけないよ。
その一言で本当に死んじゃう人もいるからね。
と、話をして、使う言葉の大切さを改めて話した。


一生懸命毎日を頑張っている小学生。
使う言葉は流行りの若者言葉になっていくだろうし、付き合う友達で言葉遣いも日々変わっていくと思う。
交友関係が広がれば、友達同士のトラブルも増えていくんだろうな、と思う。


成長過程で起こるトラブルで傷つけたり、傷つくことで学ぶことは多くあると思う。
もちろん、傷付けず、傷付かずに生きていけたらそれが最高かもしれないが、今経験して学ぶことも必要だとも思う。
私自身も小学生の頃は友人関係に悩み、学校に行きたくない!と大泣きしていたからよくわかる。

自分が親になったから、当時の親の気持ちもよくわかる。
というより、親の大変さが身に染みる……。


今後も友達同士のトラブルがなくなることはないだろうし、どちらかといえば増えていだろう。

それでも、その度に「ママはあなたの味方だ」と息子に宣言をして、手や口を出しすぎず、いざと言うときは出ていける、最強の味方でありたい。

子どもの頃のトラブルはもちろん、思春期がきたとき、20歳を超えて、法律上大人になったときにも、心が辛くなることはあると思う。
ないに越したことはないが、もし、万が一、この先息子が本当に辛くなったとき、「辛い」と伝えてもらえる、一番安心できる場所でありたい。



私の実母がそうであるように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?