お掃除屋さんの休日

 乳臭えガキの頃から、てめえの短足が気に食わなかった。おまけにある日、左の方の小指が電動草刈り機にはねられちまいやがる。なんだって俺ばかしこんな目にあう?まだ殺しのケツも拭けねえ青瓢箪だよ、メソメソ泣き暮らしてたね。歩きにくいんで右足も切り揃えた頃には、ま、なんとか折り合い付けてくしかねえかって思えたんだ。
 だからよ、朝起きて腰から下が別人になってたら、それなりにショックだぜ。イチモツはいつだったか電波野郎の依頼者に潰されてオシャカになってたんで、そこはいいけどよ。ああこりゃ白ひげオヤジのやつが勝手に上がり込んで、NBA選手の両足をジョイントしていきやがったな、とうとう夢が叶ったぞう、なんて大の男がはしゃげるかよ。いい足には違いねえが、使い慣れねえ。ままならねえのさ。

 やったやつは、そりゃ埋めたよ。善意でやったらしいぜ。話によるとこの足の本当の持ち主ってのはビビりで小物なんだが、あのバルナバ組の金に手付けてから2年もの間、引っ越しもせんで逃げ回ってた。ドタマは腐ってるが俊足って訳だ。
 そこまで聞き出した所で、あ、そーいや俺から「足が欲しい」って言ったっけな、と思って、カッとなった勢いで撃っちまった。そりゃ言ったよ言いましたさ、だが「車か何か調達してくれ」って意味なのは、サイコ諸君以外ならわかんだろ?


 んで、我が愛しの短足を移植されて世界最弱の生物になっちまったマヌケは、今もどっかでピンピンしてるんだと。さっきのクソから臨時収入が取れて当分大口のは受けなくてよくなったし、俺はそいつを探しに出る事に決めて、事務所に張り紙もした。
 色々文句もあるが、運命はやっぱり、最近の俺の調子を気遣ってくれてたんだろうと思うぜ。いいさ、たまにゃ旅行も悪かねえ。もしまたふざけた宇宙人が出てきやがったなら、お前のせいで水虫だよって、お礼の鉛玉をぶちこんでやるだけさ。
 本音言うと、義指に仕込んでた爆弾が心配だしな。

【続く】

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