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小説 石丸伸二②

秘書鈴木から見た石丸伸二という男
完全なるフィクションです

第2章 決戦! 安芸高田市長選

鈴木という男は、中堅企業で働く父と専業主婦の母の間に生まれ、3歳上の兄がいる4人家族の末っ子として育った。

中堅の大学を出て、特にやりたい事もなかった彼は、楽そうだからという理由で地方公務員になり、たまたま採用があった安芸高田市役所で働いている。

働き始めてから10年以上が経ち、良くも悪くも平凡な男は、地域住民と接する部署の管理職になっていた。

何も起こらなければ、定年まで普通に働いて、平凡な人生を過ごしていたであろう男は、
ある事件を境に運命が大きく変わることになる。

その日、いつも通り出勤した彼は、
すぐに市役所がざわついているのを感じた。
課の人間もひそひそと話をしている、
部下に話を聞くと

『課長知らないんですか? 
 どうやら市長が辞めるらしいですよ。
 朝から噂になってますよ』

一瞬、動揺したが、すぐに冷静さを取り戻した。
市役所勤務といっても、市長との直接の関わり合いはほとんどない

どうやら、国会議員から票の取りまとめを依頼された市長が裏金を受け取っていたらしい

国会議員→県議会議員→市長→市議会議員の流れで、贈収賄が行われたそうだ

そして、次の市長は前市長の子飼いの人間になるらしい
首をすげ替わるだけで、特に何も変わらないだろう

市長と言っても実際は、町の有力者やもっと上の指示に従っているだけで、議会を抑える力はない

もっとも、市長を監視するはずの市議会はもっと酷い、
直接の関わり合いはないが、議員はセクハラにパワハラ、気に入らない市役所職員に対しての恫喝、なんでもありだと同期の愚痴を聞いたことがある

午前中は新しい市長の話でもちきりだったが、1通り話が終われば、いつもの日常に戻っていく

こんな田舎町では目立たず、騒がず、無難に生きて行った方がいい
悪い噂でも立てば、たちまち町中に広がるだろう

ただでさえ、この町が地元でない自分にとっては人間関係に人一倍気をつけている

その日、仕事が終わった後に、同期の松岡から居酒屋に誘われた
同期と言っても、それほど親しい訳ではない

松岡は地元出身で同僚からの信頼も厚く、
上司の受けもいい、
そんな松岡からの誘いに最初は戸惑ったが、
断りきれず、半ば強引に飲み会に参加させられた。

町から少し離れた居酒屋に行くと、
この町で見かけたことの無い同年代の男性が待っていた

これが石丸伸二との最初の出会いだった

決戦! 安芸高田市長選②に続きます

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