元親父と引っ越し
元親父は人の引っ越しの手伝いが大好き。
その人の家や私物の数々を見られるからだろうが、
アレコレ人の家やアパートを
「壁の塗りが悪い」
「屋根が下がっている」
「あの部分にシミがある」
「この皿は云々」
「あんまりいい家具じゃないね」
などと実際はそんなに気にならない程度なのにいらぬ事をネチネチ言ったり、
家の持ち主に断りなく扉の調整やら何やら勝手にやるので、
引っ越しに関わった人間がストレスで次々に病に倒れる。
私も自分の引っ越しの時にこれをやられストレス性のメニエルで耳が聞こえなくなりぶっ倒れたクチである。
母の弟(私にとっては叔父。こいつはこいつで自己愛だが)一家の引っ越しの際もやはり購入した家のダメ出しを次々とし、
叔母は元親父のバカ丸出しの難癖を真に受け
「どうしよう…購入した家はよくないのかも」
と悩み 、同居している祖母もげっそりしていた。
元母と姉と私は叔父一家に謝り倒したが
ある日、私は頭にきて
「人の家の事をあれこれ口出しするな。家はその家の持ち主が考える事だ。いちいちダメ出しせずに放っておけ」
と言うと元親父、
「人の家の事とはどういうことかあ!?
ばあちゃんちの事をそんな風に言うなんてアンタはおかしいっ!!人が親切に言っているのに!アンタはばあちゃんちがどうなってもええんかっ!」
とずれまくりの論点でプギャー。
いかに私が普段から冷たい人間であるかを説教し始めた矢先、元母が元親父に
「人がせっかく買った家に文句をつけるのは止めんさいっ!あんたが家の修理費出すんかあっ!?」
と言うと一瞬静かになった。
え?そこまで人の家にケチつけといて修理費出すのは嫌なんかい。
どっちが冷たい人間なんだよ。
しかし静かになったのはその日だけで
脳内も頭皮の具合も鶏頭の元親父は、
翌日の引っ越しの手伝いの時もあれこれダメ出ししていたそうだ。
元母は自分の親命なので、
このように自分の親族に危害が加えられたら反撃はするが、
我が子と孫は平気で生贄にする。
お金は大切に。