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「ざんしょう小説?」 「そう、残照……『残る』に『照らす』で残照な。残照小説、俺はそう呼んでる」 ある日の夕方。 おつかいの帰り道、僕は、変な人を目撃した。 夏が終わってもまだ暑いのに、黒い長いコートを着ている、男の人。 彼の手には虫取り網。そして、足元にはノートが広げて置かれている。ノートが風で飛ばないようにか、四隅に石が乗せてある。何してんだろう……。 うーん。 不審者かな。 学校の先生に報告しないといけないやつかな。 なんて事を、僕が考えていた時だ。