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残照小説

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残照小説の記録  残照小説とは:固定の小説参照
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2024年2月の記事一覧

残照小説 2024/02/26捕獲 仮題:玉葱の種 「玉葱って、中身が出てくるまで剥けばいいんですよね」 「…………表面の皮だけ剥く。わかる?」 「えっ」  こいつホントに料理しねえんだなと思いながら後輩の手元を見ると、玉葱の皮の隙間から桃の種みたいなものが覗いていた。

残照小説 2024/02/23捕獲 仮題:妹の中から  どぶり、どぶりと、妹の中から私が醜い音を立ててこぼれ落ちていく。  ああ、失敗したんだと悟った。

残照小説 2024/02/22捕獲 仮題:愛猫と親友の命  死んだ飼い猫が帰ってきた。  親友を殺した甲斐があった。

残照小説 2024/02/15捕獲 仮題:目覚めと廃墟  随分と長く眠っていたような気がする。  重い瞼を開くと目の前に広がるのは廃墟だった。

残照小説 2024/02/14捕獲 仮題:水筒の弟  すると、水筒の中から弟が這い出してきた。

残照小説 2024/02/07捕獲 仮題:心からの忘れ物  駅に着いたところで、ふと、心臓を忘れてきたのに気付いた。

残照小説 2024/02/05捕獲 仮題:通れない 「実はさ俺あそこ通れないんだよね死んでるから」  は。  何を言っているんだ、この人は。  何を、軽い口調で。  だって、ふたりで脱出する為にずっとここまで頑張ってきて。 「な、だから、お前、ひとりで行けよ」