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百字小説

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100文字の小説 ※タイトルとハッシュタグは除き、本文だけで100文字 ※文字数カウントはnote執筆画面の表示を参照しています
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2023年11月の記事一覧

【開けられたアドベントカレンダー】  明日から12月という事で、妻がアドベントカレンダーを買ってきた。が、少し目を離した隙に、幼い娘が1日から24日まで全て開けてしまって。苦笑していると、テレビから声。 「今日はクリスマスイブですね!」 #百字小説

【そんなつもりじゃなかったんです、と怪物は語る】  平和な村に怪物が現れ言いました。 「この地で一番旨い物をよこせ」  村人達は大慌て。 「急いで茸を用意しろ!」「は? 一番旨いのは筍だろ」  茸派と筍派が激しい争いを始め、こうして村は滅んだのです。 #百字小説

【感覚の違い】  2XXX年、荒廃した地球に、宇宙人がやってきた。近隣の住みやすい星への移住を提案し、賛同した多くの人々をUFOに乗せる。 「こんな極寒の星は住み辛かったでしょう。すぐ暖かい金星に連れて行きますから」 #百字小説

【甘き毒】 「そうよ探偵さん、私が彼に毒入りの菓子を。……病死で片付く筈だったのに。何故バレたの?」 「簡単です、私にも同じ症状が出始めたので。……実は先程残っていた菓子をつまみ食いして……解毒剤あります……?」 #百字小説

【犯人は誰だ?】 「名探偵と呼ばれる私にだってね、解けない謎というものはあるのだよ。今回の事件は、実に難解だ。全く犯人がわからない。一体誰なんだろうなぁ……助手くんのプリンを食べたのは……」 「先生、お口にカラメルが」 #百字小説

【いなかった女性】  ある漫画原作の実写映画に、原作にはいなかった女性が登場した。女性の演技はヘタクソで、不自然なカメラ目線も多い。だが一番の問題は、撮影現場にも試写の映像内にも、そんな女性などいなかった筈だという事だ。 #百字小説

【木兆太郎】  昔々おばあさんが川で洗濯をしていると、大量の木が流れてきました。その数なんと一兆。  一兆の木が川や村を呑み込んでいく音が赤子の泣き声に似ていた事から、生還者はこれを「木兆太郎事件」と呼んだのです。 #百字小説