「最高のコーチは教えない」吉井理人著 まとめ

コーチングについて勉強中です。

もともと野球好きでして、旧態依然とした野球界において吉井理人はしっかりと体系立てた指導をしている印象があり著作も気になっていたので勉強のため読んでみました。


・コーチの仕事とは選手が自分で考え課題を設定し自分自身で能力を高められるように導くこと

・まずは相手を観察し話し合うことから始める
理由も説明せずにいいからやれと言った軍隊式では選手はやる気を失うが、やり方がわからない選手には「いいからやれ」が効果的な場面もある。

だからこそまずは相手を見て話し合う必要性がある。

★コーチが教えてはいけない理由
コーチと相手の経験・感覚が違う
目的を見失ってしまう
自尊心を傷つけてしまう

・コーチのコミニケーションミスからモチベーションを下げる選手は多い。
苦言を呈したい場面でもまずはいいところを褒めたりしてから相手がどのように思っているか聞いてあげなければならない。

・コーチは自分の言葉の重みを自覚しなければならない
深く考えずに言った言葉が選手の精神状態をかき乱すこともある

・選手を信頼し、やる気の出させる言葉を使う
上から「やれ」とは言わない。
選手に「お前はどうしたい?」と聞いて選手が自分の考えを口にしたら「ほなやりなはれ」と言うのが吉井のやる方。

・コーチングの基本は選手に主体があること。
コーチが強い言葉を使いすぎると上下関係が強調され味方であるはずのコーチが選手にプレッシャーを与えかねないし注意しないといけない。

★コーチングの基本は相手が主役
相手の主体性を促す言葉をかける

・アドバイスは邪魔なものだと肝に銘じる
コーチのアドバイスは本来選手にとって邪魔なものである。
だからこそコーチは自分の経験に基づいた言葉だけでアドバイスするのは避けるべき。
「わかる」と「できる」は違う

叱るべきタイミングとは?
手を抜いたとき、ただし選手のミスは絶対に叱ったらダメ。本気を出さない時手を抜いたときだけ叱るということを故・野村克也監督から学んだ。

★指導行動と育成行動について
育成行動
・心理面での成長
・社会的な面での成長
・課題設定

指導行動
・技術スキル
・専門知識
・パフォーマンスを高める

指導行動は業界・組織・相手のレベルや性格に応じてオーダーメイドする


吉井の思う最もモチベーションが上がる方法
小さな課題を設定し成長のスパイラルを作る
結果小さな成功を継続的に積み上げていく方法

課題設定のポイント
課題を解決するために必要な要素が全て自分でコントロールできるもので構成されていること。


だからこそコーチは選手が難易度の高い課題(夢)に挑戦する前にクリアしなければいけない課題があることを根気強く説得し理解させ納得させなければならない。
→課題の分解を行ってやる

課題を自己設定する習慣を身につけさせる
上手く課題設定できる人は自分の特徴を知った上で自分にあった小さな課題から始めている。

質問を深堀し相手にとことん語らせる

コーチは絶対に答えを言ってはいけない
コーチは選手に自分の言葉で語らせることに徹底して意識的にならなければならない

★コーチは質問に徹する
・相手に自分の言葉で語らせる
・答えは絶対に言わない

プロ意識とは?
自分のパフォーマンスを上げるための思考・行動を全ての思考・行動に優先させる意識である。

悩みを聞くカウンセリング力もコーチには必須
選手に思っていることを言ってもらうために向こうから話しかけやすい雰囲気を作るのも大事だと思う。

性格によって指導を変える

慎重で臆病なチキンと呼ばれる人は内面で自分と戦っている人が多い
そう言ったタイプにはイメージを外に向けさせる

勢い任せの野蛮な勇気の持ち主にはまず最悪のケースを想定させる
その上で最悪のケースだけは避けるような具体案を伝える

臆病な人にはいざという時ポジティブになれるようにコーチングする

4つのステージで指導方法を変える「PMモデル」

PMとは?
パフォーマンス(職務遂行機能) 
メンテナンス(集団維持機能)
という2つの側面から類型化したリーダーシップ論

第一ステージ「指導型コーチングスタイル」
初心者段階の選手を対象にした「指導型コーチングスタイル」
指導行動、技術指導を中心に行う段階

技術などがある程度ある選手には省略することもあるステージ

第二ステージ「指導・育成型コーチングスタイル」
中級者段階を対象とした「指導・育成型コーチングスタイル」

難易度の高い課題が課せられる。
実力的に中級者なのでクリア出来ないこと多く、壁に突き当たることが多い。

技術指導も必要だが壁に突き当たって折れかけたプライドを慰めモチベーションを上げる必要がある。
ビジネスで言うと中堅社員、主任や係長と言った肩書きがつくまでの社員。

第三スタージ「育成型コーチングスタイル」
中上級者を対象とした育成型コーチングスタイル。
技術やスキルはそれなりに完成の域に達しそのせいで自信とプライドがかなり高くなっている選手。
しかし精神的に成熟段階に至っていため色々と迷ってしまう時期。
技術指導もプライドが邪魔をして受けれにくい。
そのため練習の仕方や社会においてどうあるべきかといった育成行動を中心に指導していく時期。

ビジネスにおいては主任や係長、チームリーダを担う20代後半から30代前半あたりが対象となる。
コーチとしてはこのステージも気を使うことが多い。
選手に振り回されコーチにもストレスが溜まるステージでもある。

第四ステージ「パートナーシップ型コーチングスタイル」
上級者段階の選手を対象としたスタイル。
このステージに至るとコーチはほとんど何もすることがない。
ただし何か起こった時に解決しなければならない問題が高度になるため周到な準備が必要。

PMモデルは「物差し」として活用する。
単純に第一ステージから第四ステージに上がっていくと言うものではなく生きつつ戻りつつ第一ステージから第三ステージにとんだりすることも珍しくない。

そのためその選手がどの段階にいるか考えどこでも対応できるコーチングスキルが必要。

コーチは臭い台詞を平気で言えるようにならないといけない。
吉井の例で言うとファイターズでの優勝争い時代
あえて普段は恥ずかしくて絶対に言わないような「お前らのおかげで俺もコーチとして楽しい日々を過ごさせてもらっている。最後まで頑張って最高の気分を味わおうぜ」といいチーム奮い立たせた。


コーチング3つの基礎「観察」「質問」「代行」
吉井の基礎コーチングスタイル始めに「観察」次に「質問」コーチから選手に「何をやりたいか」「どう思っているか」などを聞く。
最後にその選手の立場に立って「代行」する。
指導する選手にはどのような方法が合うかどう伝えればいいかその選手になり切って考えるという意味。
この三つの段階を経て具体的な指導を選手に伝えるようにしている。

答えを教えても相手を惑わせてしまうだけ
答えと言ってもそれはその人にとっての答えのためそれが伝えた相手に合っているとは限らない。

「観察」は相手の特徴を徹底的にリサーチした上で行う
→観察によって様々な対応を把握し傾向と対策を立てる。


「質問」はそこまで余計なことを話さないように注意する。
基本的には質問以外は黙って選手の話す言葉に耳を傾ける。
余計な口を挟まない、ただ相手の知識不足で言葉に出来ない場合は少しだけヒントを与え回答を促す程度のことはする。

質問によって相手の言語化レベルを把握する。
→自分のパフォーマンスをうまく言語化できる選手は調子の波が小さい。
一方言語化できない選手は調子の波が大きい。

自分自身の姿を見せることで言語化のレベルを上げる。
言語化できない選手は自分のイメージと実際に動いている姿がずれていることが多い。
その際に映像を使い画面とイメージをすり合わせていくことで言語化の上達に繋がる。

日記は自分の動きを言語化する訓練になる。
ただし自分だけがわかればいい書き方ではなく誰が読んでもわかるような日記の書き方にするのがポイント。

「質問」の狙いは「自己客観視」と「信頼関係の構築」
質問はコーチング手法の一つとして選手の状態を見ることが目的だが、
真の意味での狙いは質問で選手に「自己客観視」させることと選手とコーチに「信頼関係の構築」を促すこと。

相手が「自己客観視」できるように質問に徹する
相手の主体性を尊重し信頼関係を築く

「代行」によって相手の立場に憑依する
「自分だったらこうする」でと考えるのではなく視点を変えて「その選手だったらどうするか」と考える。

代行を行うには観察と質問、自己客観視と信頼関係を磨いておかないといけない。

コーチはともかくコミニケーションを重ねなければならない。
→コーチの仕事はほとんどがコミニケーション、強いストレスに晒されるコミニケーションに耐えなければ仕事が全うできない。

・いい面に意識を向けさせる質問をする

・急激な軌道修正より着実な成長を促す

・自分の言葉で正解にたどりつかせる

自ら課題を言語化し常に忘れないように意識するため書いておくことが重要。

「目的」「目標」「課題」の違いを明らかにする。
目的とは「何をしたいか」「何をすべきか」「どのような状態になりたいか」と大きく抽象的な未来像で最終的に到達したい地点を目指す。

目標は目的を達成するために必要でクリアしなければならない成果や行動である。
そして目標の成果や行動を実現するために障害となっている状態や行動を実現するために障害となっている状態や行動を課題という。

ex:目的「お金持ちになりたい」なら目標「営業成績1位」→課題「アポイントを十個とる」

コーチはコントロールできる要素だけを意識させる。

コーチが選手と話をするときは腕組みをしてはいけない

チーム・組織は「一人一人の集合体」
日本人はチームプレイというと自己犠牲と意識するが自己犠牲は個人のプレーのバリエーションの一つに過ぎない。
海外のチームスポーツの人たちはケミストリーという意識が強くある。
日本語訳すると化学反応、化学反応は個と個が混じり合うことで別の何かが生まれること。
あくまで個人がベースになりその強みが混じり合いチームに変化をもたらしそれが勝利につながるという考え方

プロフェッショナルは個人の強みに色をつけることに必死になればいそれを組み合わせるのがコーチの仕事。

目指すは仕事と人間性のダブルゴールを目指す

人間性
・社会的にリスペクト
・業界の活性化
・日本の発展

仕事
・一流のプロフェッショナル
・技術・知識
・成果・実績

より広く高い視点を持ち自分の行動に自覚が芽生える

サッカーのコーチは自分が教えてことを選手ができなければそれは選手の責任ではなくコーチの責任であると考える。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?