鈍感な君

「わたし、悲しかったみたい」

君は突然にそう言って、
堰を切ったように泣いた。

僕がふと見つけた君の色の変化に
君がやっと気づいた心の痛み。
大事に抱えていたものは
どんなにか重かっただろう。
そしてどんなに、痛かっただろう。

身体の痛みにも
心の痛みにも

君はいつも
鈍感だったね。

だから僕は
気になる人の心の動きに敏感という
特技を身に着けて君に出逢えたんだね。

君の表情
君の仕草
君の文字
君の言葉

そのすべてに色が見える。

大丈夫。

これからは僕がその
色の変化に素早く気付いて、
そっと包んであげるから。

君はそのままの
鈍感な君でいいんだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?