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ユウとカオリの物語

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LGBTQ+当事者カップルの2人が描く恋愛小説。ユウ目線でのお話と、カオリ目線のお話を2人で書きあっています。セクシャルマイノリティの世界ではない、ごく日常の中で出逢った2人の物…
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#カミングアウト

[小説・ユウとカオリの物語] 告白 │ユウ目線10話

恋愛はもう、やりきったの......  カオリさんの突然のカミングアウトに僕が、「知ってましたよ」と言った時のカオリさんは、とてもびっくりしていた。そしてこの前のレッスンの日も、種明かしで「ノンケの人はノンケって言わないですよね~」なんて僕が言って、2人で大笑いをした。カオリさんとはあれからもそんな、穏やかな優しい関係が続いてる。だけど...... 傷つく覚悟、か......  僕はカオリさんが言ったその言葉がずっと、心から離れなかった。カオリさんはずっと僕を気にかけて

[小説・ユウとカオリの物語] カミングアウト │ユウ目線9話

「実はわたし、LGBTQ当事者なの。パンセクシャルってやつかな。恋愛において男女の区別がある感覚がわからない」 「......えぇ、知ってましたよ」  僕がカオリさんのところに、プログラミングの勉強に通いだしてからしばらくした頃のこと。あの約束の日にカミングアウトしていた僕は、レッスン後の雑談の中でいつしか、過去の恋愛のことや、今の自分のジェンダーに対する葛藤の話なんかを、なんでも話すようになっていて。あの日も、昔一度だけ付き合ったことのある彼女の話をしていた。 「僕は