見出し画像

ペンギンという呪いと祝い

最近徒然と思い出すことがあるので書く。

先に申告しておくと、自己語りになる。
痛々しいナルシシズムとネガティブ。
改めて書くと、この程度でこんなことで、今まで思い悩んでたのかと言われるだろう幼稚な話だ。
ところどころまだ消化がされていなかったり、理解しきれていなくて未熟な点がある。長いし、あっちこっちに話が飛んでる。

それでも、今このタイミングで書かなければと思って書いた。

書いたからには、誰かに見てもらいたくなった。

記述は、消化と浄化に繋がる。
消化のための第一歩なので、お目こぼしくださいませ。

わざわざこんな書いて、晒すなんて、かまってちゃん?
仰る通り。
一番嫌いなタイプのはずなんだがね。


+ + + + + + + + + + + + + + + + + +

ふと、演劇活動における自分のトレードマークを作りたいと思った。
先日シロクマのTシャツを見て思いついた。
なんかキャッチ―な物がいい。
某御仁のピンクパンサーのようなインパクトの。
Tシャツで着てみようか、ぬいぐるみを持って行こうか。
とにかく何か、持ちたい。

そうして自分は何をトレードマークにしようかと考えて、
「ペンギン」が真っ先に出てきた。

ペンギンは、地元の友人が付けた私のあだ名だ。
気付けば小2の冬から呼ばれていた。
そのまま「ペンギン」だとか、「ペンちゃん」「ペンタ」だったり、男子とのケンカの時には「鋼鉄ペンギン28号」とかもあった。
…改めて口に出すと語呂良すぎないか、これ。

生物としてのペンギンは好きだ。
陸上での動きも愛らしいし、水中を飛ぶように切り裂く姿は格好いい。
だから嫌な気はしないし、このあだ名自体も彼是呼ばれ続けて20年。
身に染みついている。
由来は分からず、転校した子が付けたとか、アノラックが水色だったからだとかくらいの認識だった。

先日までは。


今年、不思議と縁がつながり成人式ぶりの地元の友人達と会うようになった。その中に由来を覚えていた子がいた。
その友人曰く、
「小2のころ国語の発表の時に、変な動きをしてたんだよ。
それをからかったら、『そんなことしてないもん!』って両手をパタパタさせて怒ってたから誰かが付けた」らしい。

驚いた。

そのエピソード自体は全く覚えていないが、それと似たような話はいくつか覚えている。それらは、当時の私が嫌で嫌で仕方なくて「イジメ」だと思っていた話だ。

嫌で嫌で仕方なかった出来事から付けられたあだ名だったと、20年以上経って初めて知った。

別に激しくイジメられたわけではない。
陰湿な無視されたり、暴力を受けたりしたわけでは、ない。
周囲にしては、からかって楽しんでいる、
面白がっているその程度の認識だったろう。
からかって教室に入れて貰えなかったり、変な動きとかの粗を盛大にバカにして、イジるくらいだったろう。
からかわれつつも、みんなで遊んだりもした。
だから、イジメと言ってイメージするものとは少し違う気もするが、とにかく私はからかわれることが嫌だった。

今でもその傾向はあるが、
当時の私はより「すぐ怒る」「融通が利かない」「そしてよく泣く」ちょっと気難しい子供だった。
家庭環境や元々の性格もあって、「普通」「いい子」じゃなきゃいけないと思いこんでいた。
小学生なのに「普通は~」みたいな口グセがあった時期がある。
可愛げが全くない。
でも、当時は必至だった。
その割に、ボケ要素があって変なところで変なミスをする。変な動きをする。

「腫れ物」がそんな感じなら、そりゃいじるよな。

とは大人になった今だから思う。
それでも、未だにイジられキャラをおいしいポジションだとか思えない。

「普通じゃなきゃ」と思っている人間にとって、変なところをいじられるというのは、「普通」じゃないところを指摘されることなので、大変苦痛で仕方なかった。
それでも笑うようにしていた。
構ってもらえるだけ、マシ。
無視されるよりは、マシ。
やめてよ~って言ったり怒ったりしながら笑ってた。
「笑える」「笑う」「笑われる」は全て違う。
「笑う」けど、嫌なものは嫌だった。

一度、担任のY先生に相談をしたことがある。
「でも、あなた笑っているじゃない。本当は嫌じゃないんでしょう?」

女子集団の中心にいる子がいないタイミングで、取り巻き二人に聞いたことがある。
「なんでこんなことするの?」
「だって、Aちゃんがするから。」

同級生の顔すら忘れていたくらい、あまり昔のことは覚えていないけど、
この2つのエピソードだけは、鮮明に覚えている。
特に後半の話は場所まで覚えている。
小学校一階広場から中庭に出る場所で、放課後少し温かみのある光のなか、
人生で初めてだろう絶望感を感じた。

ただAちゃんがしてる。
たった、それだけのことなんだ。

少し人間が嫌いになった。

いじられてしまう普通にいられない自分も嫌いだ。

自己否定も強まった。

その後、クラスが変わって気が付けばいじりも終わった。
その後も、Aちゃんとも他の子とも普通に遊んでいた。
でも何も感じないわけではない。
いつまた誰かが言いだして、追い出されるかもしれない。
グループに入りきれない疎外感。
本当の友達はいないのかもしれない。

飲み込んだと思っていた小さな骨が、実はまだ喉に刺さっていて、
たまに何かが引っかかったり、化膿したりする。


改めて書くが、
当時を知る人にしたら、「イジメてない」って言われるだろう。
「お前もひどい奴だったじゃないか!」
「お前だって他の人間にひどいことをしただろう!」
とも言われると思う。
「自分を悲劇的に描きすぎじゃない?」
「この程度でイジメとか言うな。本当のイジメはもっと悲惨だ!」
そういう人もいるかもしれない。

それらの意見は分かる。

だけども、
「この程度で辛いと感じるのはおかしい。」と言われる筋合いはミリ単位でない。
他人が何で辛くなるのか、何を悲しむのか、そのレベルで傷つくのか。
それはその人次第だ。
私の感情を、心の動きを、他人が決定する権利など、誰も持ち合わせていない。
うぬぼれるな。
それだけの権限が自分にあると思うな。

この後も順調に拗らせていくのだが、割愛する。

高校で演劇と出会って「普通じゃない」を肯定出来たり、
自分なんかまだまだ普通だと分かったり、
それが少し悲しかったり、
当時の部長のおかげで世界が広がったり、
大学でまた似たような状況に陥って、演劇から離れたり、
社会人になったら頼れる仲間は皆目が死んでいたり、病んで去っていったり。

拗らせたり、ほどけたりしながら30年生きてきた。

未だに気難しい面はあるし、友達は少ない方だと思う。
自分をほめる、大切にすることは、まだまだ苦手だ。

そうしてきたおかげで、私がストーリーを書こうとすると、
「仲間という存在への渇望」「共同体からはみ出す存在」「異人」「マイノリティ」の気配がする。

書くことによる消化と浄化は、まだまだ続く。

話が長くなった。親しんだあだ名が、そういった精神面の構造を作り上げる根っこのトラウマを呼び覚ますものだったと、今更ながら知ってしまった。

普通になれなかった「呪い」
その呪いをかけたのは、自分自身なんだということは、今なら分かる。
それでも、いつかの棘が久々に痛む。

ところで、
「ファーストペンギン」って言葉を知っているだろうか。
陸にいて集団で動いているペンギンの群れから、天敵であるシャチがいる海に飛び込む最初の一羽のことを示す。
一般的には、「先駆者」「チャレンジャー」というニュアンスで使われる。
だが、ただ後ろから他に押されて落ちただけだとも言われている。
こっちの視点だと、哀れな「生贄」「囮」にも思える。

同じ事象だけども、見方が変わるだけで意味合いは真逆だ。
人間社会と同じ。
群れを生き残すため、生贄を作り出す。

それであれば、私は、飛び込む一羽でありたい。
生贄をささげる群れの一羽になりたくない。
落とされただけであっても、「勇敢な一羽」になったつもりで飛び込みたい。
その先がシャチの口の中であっても。
一歩目の意味は、自分で付けたい。

それと同じで、
からかい、変だと名付けられた「呪い」を
ペンギンみたいに変な動きをする自分を、自分を否定する心を、
前進するきっかけになった演劇で「祝い」に変えたい。
もう慣れ親しんで身体の一部になった存在だよ。
ペンギン上等。
いいじゃん、ペンギン可愛くて。
積極的に打ち出してやろうじゃねえか。

そう、思いたくて、忘れないように、ペンギンを持とうと思った。
呪いではなく、祝い。
否定ではなく、肯定。
そう思ったことを忘れないように。

+ + + + + + + + + + + + + + + + + +

週末の舞台に幼馴染が来るかもしれない。
そうするとここのアカウントもバレるので、来たら消そうと思う。

流石に、当時を知る人間には読まれたくない。
ので、期間限定の、呟きボヤキ。
大変駄文失礼いたしました。


(2020/3/29加筆)
このアカウントを本名とリンクさせることにしたけど、折角だからしばらく残しておこうと思う。これを書いた時から数年経ち、演劇に関わり続けたことでこの時の呪いは大分薄れた気がする。
子どもの頃の思い出も、大学の時の演劇部でのことも、前の会社のことも更に記憶が薄れた。割とどうでもよくなってきた。今は楽しむことが多すぎて、過去にかまっている暇などない。
だけど根底にある傷跡は残り続ける。
そしてきっと書くときの原動力はここにある。
だから忘れないように。


…数年前の文章って、ものすっっっごく恥ずかしいんだけどね!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?