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なぞなぞ


「なぞなぞ」というと必ず思い出すのは、幼いころ父が私に出した問題である。

この歳になってなぞなぞをする機会は滅多にないが、
小さいときに、なぜあんなに?と思うほどのなぞなぞブームがあった。
家になぞなぞの本もあった。ノンタンのやつ。懐かしい。
友達同士で出題しあったり、両親や祖父母に出題するようねだったりした。
友達同士で出題するものは基本的に親からの受け売りだった気がする。

そんななぞなぞブームの中、父に問題を出してほしいとお願いしたら
「朝は足が4本、昼になると足が2本、夜には足が3本になる生き物は?」
と出題された。


答えはなんでしょう?


小さい私は頭をひねったが1ミリもわからず、早々に降参した。
聞くと、答えは「人間」らしい。
人間は生まれた時は四つん這い、成長すると二足歩行になり、老いると杖をついて3つの足で立つようになるから、という理由だ。
全くもって解せなかった。
特に、「朝、昼、夜」という表現。分かりにくい。人生を1日に例えるなんて聞いてないし。
解せなかったので、友達にも出題しなかった。
それからずっと納得はいかないまま、なぞなぞブームは過ぎていった。


ところが高校生のとき、その問題とまさかの再会を果たした。
英語の授業で読まされたギリシア神話の本のなかに原作があったのだ。
『オイディプス王』の中で、スフィンクスがオイディプスに出した問題がそれである。
読んだ瞬間「あ〜〜!!!!」と声が出た。
父がスフィンクスで、私は問題が解けずに殺されるオイディプス以前の庶民であったことが、何年もの年を経て明らかになった。
まず、父オリジナルじゃないんかい!という点と、小さい子どもにそれ出すか?という点が気になったが、
父オリジナルの方がよっぽどやばいかも、と思って少し安心した。
あと、子どもに出す問題の難易度の調節が絶妙に難しいことも今ならわかる。

大学4年になり、美術学の授業で歴史画について学んだとき、この問題とまた再会した。
再会するたびに新鮮に「あ〜〜!!!!」と思えるのがすごい。そうなるほど普段は全く思い出さない話なのだ。
『オイディプス王』は絵画の題材にも多く使われているが、スフィンクスの絵が思ったよりキモくて「見なければよかった」と思った。


なんだかんだで私の人生にちょくちょく浮上してくるこのなぞなぞ、私も自分の子どもに出題してウザがられたいと思う。




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