【取材した人怖話26】事後報告
十年以上、前の話。
女性Kさんの兄は、中型バイクの交通事故に遭って亡くなった。
その後、警察から返還されたバイクを販売店に引き渡し、処分を依頼した。兄はその販売店でバイクを購入し、いつもその店でメンテナンスしてもらっていた。
引き渡しの際、販売店のオーナーは兄の事故に関して「ヘルメットが真っ二つになるなんて見たことがない。有り得ないです」と、かなり動揺していた。(販売店は警察からも連絡を受けており、事故の詳細を把握している)。
バイクを引き渡してから、およそ一か月後。
Kさんのもとに、一通の封書が届いた。差出人は、バイクを引き渡した販売店だ。「バイクを整備して転売しました」という内容の手紙と、現金十万円が入っていた。
え? このバイクに乗って死んだ人がいて、それを知ってるのに売るの?
こっちは処分を頼んだのに……
Kさんは、吃驚というより、怖かったという。
「そのバイクを買った人は、事故のことなんて知らないでしょうし……。あと、あまりにも転売が早かったから、誰かに売る約束をしてたんじゃないか、とさえ思いました。これはバイクの話ですが、自動車の事故車も同じように流通してるんでしょうね」
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