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【取材した奇談31】茨城奇談・二篇

茨城県に纏わる奇談をご紹介する。二話とも女性Dさんから伺った。

【一話目】忘れられないお花見

十年以上前、彼女は茨城県水戸市の桜山公園に四~五人で夜桜を見に行った。
桜スポットに歩いて向かっている途中、近くの巨木にふと視線を向けると──。

「藁人形が釘で打ち付けられてました。人形の顔、両手、両足の五ヶ所にそれぞれ釘が刺さってて。人形の顔の部分には写真が貼られてましたが、何が写っているかは分からないぐらいグチャグチャになってました」

──桜を見る前に、ものすごくテンション下がりましたね。

苦い顔を呈しながら呟く彼女に対し、私は頷くしかなかった。

【二話目】鬼血骸村

「キチガイ村って知ってますか? ずいぶん前に四人で車で行ったんですが……」

キチガイ村とは、かつて茨城県下妻市に存在した古い二階建て一軒家及びその周囲に密集する不気味な大量のオブジェ群を指す。

不気味なオブジェというのは、意味不明で不可解な文字が書かれた廃棄物、看板などである。ネットで調べると、例えば、「重要文化財」と書かれた廃棄冷蔵庫、「学術森」と書かれたドラム缶、手書きの禍々しい文字が書かれた看板などが大量に密集していたらしい。

これらのオブジェは一軒家の住人が単独で作製したものらしく、自宅の敷地外にも多数放置していたようだ。目的はよく分からない。

その異様な光景に起因して「キチガイ村」と呼ばれるようになった。漢字で表記すると「鬼血骸村」。「筑波総合研究所」という別称もある。
上記の一軒家に住む老人が襲ってくる、という噂もあったそうだ。

Dさんらがキチガイ村に行った時代はインターネット環境もほとんど整っていない頃だ。村が何処にあるのか正確に把握できない状態で、人伝に聞いたルートを通って運良く辿りついた。

彼女らは現場で以下のオブジェ?を目撃した。

★電柱に固定された一台の自転車。地面から四~五メートルの高さに少し斜めになった状態で固定されていた。「どうやって取り付けたんだろうと思いました」

★コンクリート道路に縦一列に大きく書かれた呪文のような白い文字。数メートルの距離にわたって、変な文字がチョークか何かで書かれていた。「何て書いてあるか分からないけど、達筆でした」

★件の一軒家の塀に並べられた複数の人形の頭部。塀の上から等間隔に複数の棒が突き出ており、それぞれの棒の先端に人形の頭部が固定されていた。

★赤文字で「死」と大きく書かれた椅子。人形も括り付けてあった。

現在、オブジェ類は撤去されている模様。

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