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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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2021年12月の記事一覧

【取材した怪談193】関ヶ原古戦場(岐阜)

とある女性の話。 占い師だか霊能者だかに、「あなたには才能がある。努力・修行すれば霊力(霊感のようなもの)を得ることができる」と諭された。その時は、具体的な行動は教示されなかったそうだ。霊力を得たいと思った彼女は、[ひとりで心霊スポットを巡る]という手段を自分で考案した。曰くつきスポットの情報をかき集め、安全に配慮しつつ各所を巡った。 ある日の昼間、ひとりで岐阜県の関ヶ原古戦場に赴いた時のこと。 史跡を歩いていると、胸部右上にズキリと疼痛が走った。 それと同時に、熱さも感じ

【取材した怪談192】3時00分

会話状況:女性Aさん・女性Xさん・私の三人。AさんとXさんは友人同士である。録音してないので正確ではなく、かつ言葉を補っているが、だいたいこんな会話だったと記憶している。 ・・・ Aさん「怖い体験かあ、そんなことあったかなあ……。あ、そういえば■■(九州地方)に旅行したとき!」 Xさん「あ! あの部屋なんかいたよね」 AさんとXさんは顔を見合わせる。 私(興味津々で)「一緒に行かれたんですか」 Aさん「はい、私とXと、あともう一人で二泊しました。私がネットで予約し

【取材した怪談話191】ミニ・プレデター

ある人が生涯で金縛りを1回だけ経験している場合、それに何らかの怪異現象が伴うことが多い。今回はそんなお話。 「これ、怪談っていうのかどうか分かんないですけど」と前置きして話してくださったのは、Yさんである。 彼が二十代前半の頃の初冬、夜に自室で敷布団を敷いて寝ていたところ、ぱちりと目覚めるとともに身体が硬直状態に陥った。腕も脚も首もまるで動かない。かろうじて眼球だけを動かせる状態だ。生まれて初めての経験。横になっている自分の頭上のカーテン越しに隣のマンションの外灯の光が弱

【取材した怪談話190】事故死の夢

「お前が交通事故に遭って死ぬ夢を見た。三夜連続でな。運転、気をつけろよ」 その朝、当時二十歳だった慶吾さんは、車で出勤する前に同居の父親にそう忠告されて些か面を食らった。 「大丈夫だよ」 慶吾さんは努めて明るく答え、作業服を身に纏って仕事先の工事現場へ車で向かった。 ・・・ 運転中、先ほどの父親の言葉が、脳裏をよぎる。大丈夫とは言ったものの、心中穏やかではない。 普段は夢の話など口にしない父親だったが、さすがに三夜連続で不吉な夢を見させられては忠告せざるを得なかっ

【取材した怪談話189】兄だけ……

話者:二十代女性 兄が大学生のころ、友達と心霊スポットに行ったらしいんです。場所ですか? 分かんないですね。関東のどこかだとは思うんですが……。四人ぐらいで行って、その場では何もなかったようです。 後日、兄が通ってた大学の先生に<視える方>がいて、皆ひとりひとりに別々の霊が憑いてるって言われたそうです。A君には若い男の霊が憑いてて、B君には年配の女性の霊が憑いてて……というように、順々に指摘していって。 最後に兄の番になって、兄が「俺には何が憑いてるんですか」と恐る恐る

【取材した怪談話188】旧伊勢神トンネル(愛知)

五年前、名古屋のキャバクラでボーイをしていたT氏は、店のスタッフらと肝試しのために旧伊勢神トンネルへ向かった。愛知県豊田市の伊勢神峠に位置し、明治三十年に竣工された全長約三百メートルの石造トンネルである。伊世賀美隧道という名称で国の登録有形文化財になっており、現在も通行可能だ。 「愛知じゃ有名な心霊スポットで、以前に僕が行ったことあるから案内役で同行しました」 夏の夜に男三人、女三人の計六人でワゴン車に乗り込んで名古屋を出発した。国道153号線を通り伊勢神峠を目指す。T氏

【取材した怪談話187】線香の作法

火のついた線香を口の息で吹き消してはならず、手で仰いで消すか、または線香を振って消す──という作法がある。仏教では、口から吐かれる息が不浄と考えられているためだ。 かつてTVドラマ『HERO』で検察官役のキムタクが火のついた線香を息で吹き消すシーンが放映され、物議を醸したこともある。 今回は、そんな線香の作法に纏わるエピソードを紹介する。話者は愛知にお住まいのM氏。 ・・・ 僕は小さかったから憶えてなくて、後で母から聞いた話です。 うちの母方のご先祖のお墓が名古屋市

【取材した怪談話186】ウォーターサーバー

一人暮らしの翔子さんは、ウォーターサーバーを利用していたことがある。レバーを手で動かして給水するタイプのものだ。ペットボトルを頻繁に購入するよりも手間が少なく、お湯も速やかに利用できるメリットがあった。 ある日の夜中、寝ていた彼女が目覚めてトイレに立った時、サーバーの給水口から水がチョロチョロと流れているのに気付いた。なぜかレバーが上がっており、給水状態になっている。だが、半分寝ぼけまなこで早く眠りたかったため、あまり気にせずにレバーを元の位置に戻して水を止め、再びベッドに