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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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2020年3月の記事一覧

【実話怪談19】俺の守護霊は?

「学生時代にスキーやってたときの話なんだけど」 接客業Jさんは快活な笑顔を見せながら、話し始めた。 彼は学生時代、白馬のスキー場で寝泊まりする長期アルバイトをしたことがある。 バイトの募集条件は、現役スキー経験を有する学生。 近隣県から合計15人程度の学生が集まったという。 「でね、初日の夜にバイト同士の親睦会したの。 学生の中に某有名神社のご令嬢がいて、その子が霊感が強くて。 なんでも、人の守護霊が解るんだって。 で、その場にいた学生ひとりひとりに、その人の守護霊を

【実話怪談18】アポイントメント

銀行勤務の男性Aさんから伺った話。 今から約二十年前、Aさんの同僚が一本の電話を受けた。 電話の相手は、高齢の男性X氏。 資産家のようで、自分の不動産などの管理や処分について相談したいとのこと。 結局、X氏の自宅に訪問して相談を受けることになった。 同僚は電話でX氏の氏名、住所を聞き、面談の日時を決めてアポを取り付ける。 面談当日、同僚がX氏宅を訪れると、50代ぐらいの夫婦が応対した。 X氏から連絡を受けて財産に関する面談に参ったことを伝えると、怪訝な面持ちで互いに顔

【実話怪談17】2つの…

ユキさんが19歳の頃、旅行でホテルに宿泊したときの話。 一泊して朝に部屋の窓を見ると、窓の下方に手形が付着していた。 部屋に入室して就寝するまで、そんな手形は存在しなかったはず。 人の手を窓にベタりと押しつけたときに形成される手形である。 小さい手形で、幼い子供のものと思われた。 数は、ふたつ。 両方とも全く同じ形だったため、両手ではなく片手だけで付けられたようだった。 それらの手形は、窓の外側に付着していた。 部屋は4階、窓には手摺りもない。ベランダもない。 恐

【実話怪談16】試験前夜

女性Gさんから聴かせていただいた話である。 高校生の頃、一緒に暮らしていた叔母が心不全で急逝した。 それから数日後の夜。 Gさんは2階の自室で、寝そべり読書に興じていた。翌日に学校で漢字の試験が実施されるのだが、その勉強を後回しにしていた。 「勉強しなさい」 聞き覚えのある女性の声が、背後から飛んできた。 声の方向に目を向けると、心配そうな眼差しの叔母が佇んでいた。 Gさんは自分の見ているものが信じられず、目をしばたいた。 身体の一部だけが見えるわけでもなく、

【実話怪談15】伝家の宝刀

北陸にお住まいの男性Dさんの話。 ある日の昼間、彼は奥さんと一緒に、亡くなった叔父の家を掃除していた。 掃除は手分けして行い、一階の和室はDさんが担当した。 和室の床の間には、一振りの刀剣が飾られている。Dさんの家系に古くから受け継がれている家宝のひとつで、叔父が保管していた。 その刀は、黒塗りの拵(こしらえ)(刀を入れる鞘を含めた外装)に納められ、刀掛台(刀を飾るための台座)に掛けられている。 (※コレクション用の刀は、防錆のために拵ではなく「白鞘」(ルパン三世の

【実話怪談14】30分

「僕は霊感ないんですが、母が“視える“人で」 男性Jさんが小学2年のころ、広島に住んでいたときの話を聞かせていただいた。 和歌山に住む彼の曾祖母が亡くなった。葬儀に参列するため、自宅で母と支度しているとき、不意に母が手を停めて、あ、と小声を発した。 母の不自然な挙動に思わずJさんが目を向けると、 「おばあちゃんが来てるよ」 ちょうど母の目線の高さあたり、何もない空中に向けて目線を送りながら、Jさんに教えてくれた。 「どうやら、“人魂”のようなものが、ゆらゆら、と母

【実話怪談13】天狗

飲食店経営者のT氏から伺った話。 この方は非常に感受性が強く、不可思議な事象を数多く経験されている男性である。 25年ほど前の夏、当時10代だったT氏がキャンプのために北陸地方を訪れていたときのこと。 夜間、T氏を含め8人を乗せたワゴン車は海沿いを走行していた。左手側には日本海が、右手側には鬱蒼とした林が広がっている。 一番後ろの座席に座っていたT氏がぼんやりと海側を車窓から眺めていると、海側の道路上に、上空に伸びる光の束が目に映った。 目を凝らすと、光の中に人が立