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取材した奇談

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心霊的・不可思議現象以外の、珍しい話、奇妙な話、人が怖い話などで、かつ取材した話です。
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#不動産

【人が怖い実話20】こんな部屋に入りました

孝弘さんが不動産管理会社に勤務していた頃の話。 二〇〇六年に消防法が改正され、全ての住宅に火災報知器の設置が義務付けられた。この法改正を受け、報知器の設置のために管轄の部屋を訪ねて周ったことがあった。 たいがいの住人が気を遣って部屋を綺麗にしてくれるのだが、汚部屋を他人に見せても全く意に介さない入居者も多い。ゴミだらけ、本だらけの部屋はもちろん、女性の部屋で、床に散乱しているブラジャーを掻き分けながら報知器を設置したこともあるそう。だが、そんなのは序の口だ。 特に印象深い

【人が怖い実話4】退去後の点検

不動産管理会社で勤務経験がある孝弘さんが体験した話。 彼の業務のひとつに、賃貸者退去後の部屋の点検という作業があった。家具・家電付きの物件のため、それらが入居前と同じ状態であるか、室内に新たな物理的な瑕疵がないか、等を調査する業務である。 その日、彼は都内のひとり暮らし物件の退去後点検に訪れた。家賃5万前後の細長い間取りの典型的なワンルームだ。午後の時間帯だったが、部屋は薄暗く、しんと静まりかえっていた。 押入れの引き戸をがらがらと開けた瞬間、彼は思わず腰を抜かして尻餅