部屋の開かれた窓から古いバッグを風にふれさせている女

5.8.2021

太陽のサビアン
牡牛座18度
部屋の開かれた窓から古いバッグを風にふれさせている女
Rudhyar: An woman airing an old bag through the open window of her room. 
♘ 18度
破壊の後、今までと違う流れの中で新たな視野を得る度数

そしてMateria Prima Oracle から出てきてくれたのは「錫」のカードです。
50 • Tin • Sn【126】

牡牛座20度
空を横切る翼のような雲の束
Rudhyar: Wisps of wing-like clouds streaming across the sky.
♘ 20度
外からの影響に左右されない「軸」に則って進む度数

獅子座6度
保守的で古風な婦人がヒッピーの女性と出会う
Rudhyar: A conservative old-fashioned lady is confronted by a "Hippie" girl.
♘ 6度
現実社会と関わっていく度数

仕分ける、という作業

牡牛座16度・17度では、人生の神秘、「知恵のありか」が実は自分の中にあるという気づきがありました。ただ、きっとその「知恵」すらも常に「変わらない」ということはなくて、己の成長度合いと時間とともに少しずつ「変化」していくものなのかもしれません。

「全て自分の中に在る」ということは、「今」のあなたにとって必要なものも、もう必要としないものも一緒くたになってただそこに「在る」。

牡牛座18度では、これから先の旅を続けていく上でもはや不要となった考え方や、習慣、あなたのこれからの生き方に好意的に作用しない「思い込み」や信念などを仕分けて「埋葬」するというような、そんな通過儀礼的な意味合いが込められているように感じます。窓を大きく開け放ち、自分の大切なものが入っている「鞄」の中に溜まった埃を、風に乗せて何処かに送り届けてしまおう、という景色が、どことなく「儀式」的な雰囲気を感じさせるのです。

どうして動物なのか？

この「錫」のカードを見たときに、どうして動物の姿で描かれているんだろう？と考えあぐねたのですが、もしかしたらこの Materia Prima Oracle のクリエイターである Uusi は、オズの魔法使いに登場するブリキ男（The Tin Woodman）をこのカードに重ねたのかもしれない、というところでとりあえず落ち着きました。

人間の心を忘れてしまった、と思い込んでいるために、小さな虫を踏みつぶさないよう、いつも地面を見て歩くブリキ男。そこには、人にできることが自分にはできない、自分の感覚は本質的に「正しくない」という、己への疑念があるように思います。

獅子座6度の「保守的で古風な婦人」と「ヒッピーの女性」は、もしかしたらそんなブリキ男の中に住んでいる「２つの顔」なのかもしれません。今日までの「善」が翌年には「悪」になってしまうようなこの社会や時代においては、自分の思い込みはもちろんのこと「社会全体の思い込み」さえも容易に覆ってしまうことがあって、そんな環境に「この私」として関わっていくときに、もはや見かけや出自、過去、性別、人種、年齢などは「自分が思っているほど」大したことではないのかもしれない、と思うことがあります。

いつも地面を見つめて歩くブリキ男が、自分の感覚は本質的に「正しくない」かもしれないという疑念を振り払って「他の生き物に優しく」という部分、つまり『自分を支える確固とした「柱」』だけを抽出する。

そして、今度はその柱を己を信じる勇気でもって分厚く強靭なものにしていくことによって、いつか彼がふっと空を見上げる心の余裕ができたときに、「この私」として輝くために前から用意されていた「舞台」のありかを、その空の中、雲の形に見つけ出すことができるのではないかと、そんなことを考えています。

心の荷物の整理の後で、もし思っていたよりスカスカな場所ができてしまったとしても、無理に何か適当なもので埋めようとせずに、「余裕（の部屋）」としてしばらく空っぽにしておいてもいいのでしょう。なぜなら「全てが自分の中に在る」ということは、また新たに「湧き出て」きたものがそこへ流れ込んでいく場所でもあるからです。その時、きっとあなたは前回よりもスムーズに、引き出しを開けたり閉めたり鍵をかけたりしながら、「今」の自分に必要なものを必要なだけ選んで、掴み取って、行動していかれることと思います。

今日のあなたが「ちょっと空でも見てみるか」という心の余裕を感じられますように。

Moon Garden