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ファインダー越しの君と桜と…

お気に入りのカメラに、大好きな君を収めたくて待ち合わせる度に君を撮っていたあの頃。

時がふたりを分かつ日が来るなんて思っていなかった。

くだらない事でケンカしたり、笑いあっていた日々が懐かしい。

ファインダー越しに映し出される君があの頃の私の世界の縮図みたいで、写真を見ると今でもあの頃にタイムスリップしてしまうけれど…

幼い恋心はいつしか愛に変わり、新しい世界に進む君と別れる事を選んだ。

ずっと一緒にいる事でダメになっていく想いもあるから。

好きだから、大好きだから…

君ともう一緒にいられなかった。

幼い恋心は、今もフィルムの中であの頃の輝きを放っている。

春は今年もやってきて、桜は美しく花を咲かせるから私はファインダー越しに見える春の景色を切り取っている。

君がいなくても、桜の花は綺麗で涙を誘うのだ。

少しだけ意地っ張りの私も、桜の前では素直になってしまう。

ぼやけたファインダー越しの桜はあの日より綺麗に感じられた。

隣に君がいなくても、私は平気。

私は未来に向かって歩いている。

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