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真影の月 第一章 ~ 朔の刻

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真影の月の第一章となる「朔の刻」の話をまとめたもの。
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記事一覧

真影の月 朔の刻:第25話 プロローグは終わり、そして物語が始まる

 メルク村の惨劇が何故引き起こされたのか。事の起こりは実に十年以上前に遡る。  レイモン…

月野文人
4年前
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真影の月 朔の刻:第24話 嘆くだけでは何の解決にもならない

 レインウォーター伯爵家騎士団によるメルク村への襲撃で生き残った村人はおよそ三分の一。こ…

月野文人
4年前
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真影の月 朔の刻:第23話 人生で最低最悪の経験をした

 燃え盛る炎は村の中心部に集まってきている。どれだけの村人が殺され、どれだけが生き残って…

月野文人
4年前
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真影の月 朔の刻:第22話 師匠は確かに強かった。ただ……

 夜空に浮かぶ上弦の月。半刻ほど前まで夜空を覆っていた雲は、風に流されて綺麗に消え失せ、…

月野文人
4年前
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真影の月 朔の刻:第21話 そして勘違いの別れもある

 レイモンドはマルケットの実家に戻ってきている。予定通りの帰宅だ。  次の出発の準備はほ…

月野文人
4年前
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真影の月 朔の刻:第20話 勘違いから生まれる付き合いもある

 メルク村の広場。多くの子供たちが剣術を習っていた、その場所にかつての賑わいはない。剣術…

月野文人
4年前
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真影の月 朔の刻:第19話 敗北は糧に、では絶望は何に?

 『ライジングサン』というチーム名は、主人公であるアーサーが騎士になった時に、自身の小隊につけたコードネームだ。  この世界の軍隊行動は全て小隊単位での行動が基本となる。これは移動手段が関係していた。軍隊の移動は先遣部隊を除けば、ほとんどの場合、徒歩や馬などではなく転移魔道装置が利用される。  これを使えば拠点から拠点までは、起動などの時間を除けば、一瞬で移動出来る恐ろしく便利な魔道具なのだが、やはり欠点はある。  一度に転送出来る量に制限があるのだ。固定式の大型の転移魔道装

真影の月 朔の刻:第18話 盛り上がりに水を差す奴が現れた

 レイモンドの日常は元々きっちりとスケジュール管理されていたのだが、それが更に拡大し、月…

月野文人
4年前
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真影の月 朔の刻:第17話 知れば知るほど遠く感じてしまう

 まだ日が明けきらぬ薄暗い空の下。  レイモンドは寝不足でぼんやりしている頭を、水を被っ…

月野文人
4年前
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真影の月 朔の刻:第16話 忘れられない思い出が出来ました

 広場での鍛錬を終えた後、レイモンドはキャサリンをリズ婆の家に案内した。挨拶もあるが、キ…

月野文人
4年前
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真影の月 朔の刻:第15話 自分が何者かを忘れそうになる

 レイモンドは二週間後には必要な準備を終えて、レインウォーター伯爵領に発つことになった。…

月野文人
4年前
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真影の月 朔の刻:第14話 一線を越えてしまいそうになる

 レインウォーター伯爵家訪問、は形ばかりのメルク村での滞在を終えて、レイモンドは帰路につ…

月野文人
4年前
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真影の月 朔の刻:第13話 何故かチームが結成されました

 村の広場に、午後になって大勢の子供たちが集まってきていた。マーヴィングに剣を教わる為に…

月野文人
4年前
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真影の月 朔の刻:第12話 見つかってはいけない人に見つかってしまった

 レイモンドが宿泊先として選んだのは、湿布薬作りの名人であるリズ婆の家だ。正確には選んだわけではない。村に泊まり込むつもりだというレイモンドに、少し呆れながら、マーヴィングが勧めてくれたのがリズ婆の家だっただけだ。  午前中の鍛錬を終えた後、リズ婆の家に行き、泊めてもらえるように頼むと、あっさりとリズ婆は許してくれた。それなりの宿泊代を要求した上で。  初めから、なにがしかの謝礼はするつもりだったので、レイモンドもそれを受け入れ、宿泊先が決定した。 「ほらよ。貴族様の口には